第4回放送分???? 2000年2月9日 16:50


今週もオランダはロッテルダムの空の下、素敵なアルバムをみなさんにお届けしたいと思います。
今回紹介するアルバムは一人でも多くの人に聞いてもらいたい。
もし、あなたが「ロックしか聴かないしぃ」ということでも、このアルバムだけは手にとって耳を傾けていただきたい。

Joyceという名の女性。1948年にリオデジャネイロで生まれ、MPB界で活躍した歌手の一人である。
MPBとはブラジルのポピュラー音楽のことで、ミルトン・ナンシメントをはじめ、アイラート、ジャヴァン、ジョルジュ・ベン等の数多くのミュージシャンが70年代後半から80年代にかけて、「自国語で歌う、今のブラジルのミュージック・シーン」を世界に向けてアピールしたことで日本でも知られるようになった。ブラジル=ボサ・ノヴァ。この図式はハズレではないが、正解ではない。ブラジルの柔軟なリズムを生かしながらも、欧米音楽をうまく取り入れたミュージックシーンがブラジルにも存在する。

ブラジル人みんながボサ・ノヴァを聞いてるわけではないし、伝統的なサンバやボサ・ノヴァからバイーア・ミュージック、最新のヒップホップサウンドを取り入れた楽曲まで幅広いジャンルが存在する。今まではボサ・ノヴァ以外のジャンルにあまりスポットライトが当てられていなかったため、本アルバムもなかなか日の目を見ることが少なかったが、近年MPBシーンの再評価とブラジルブームにより再発された。喜ばしい限りである。

「癒し」という言葉が安易に使われ過ぎている風潮が気に食わないが、このアルバムを聞いていると気持ちが和やかになる。ポルトガル語のせいなのか、優しげなアコースティックギターのせいなのかは定かではないが、心のひだに染み込んでくるような繊細な彼女の歌声に耳を傾けていると荒れた気持ちが癒されていく。特に1曲目の彼女のスキャットとアコースティックギターのアルペジオ、シブーカ(ブラジルのアコーディオン)が絡み合いながらも、だんだんとテンポが高揚してくる部分など背筋がゾクゾクするほど心地良い。ちなみに私は風呂上りにこのアルバムを聴くのがお気に入りだが、みなさんはどうであろう?

Joyce / Tardes Cariocas (カリオカの午後)
Flavour TFCK-87555 税込み2,345円

01. Baracumbara (instrumental)
02. Tardes Cariocas
03. Duas Ou Tres Coisas
04. Luz Do Chao
05. Curioso
06. Nuvem
07. Nacional Kid
08. Ela
09. Sour

それでは、また来週の「FMまちや」をお楽しみに!See ya!!


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