第3回放送分 2003年6月25日 8:22
北の国オランダにもようやく夏が訪れ、少し心弾む今日この頃。みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
今週も知られざる名曲・珍曲をウンチクとともにお届けいたします!
さて、みなさんは「ハワイ」と聞いて何を連想しますか?
フラダンス?サーフィン?ウクレレ?KONISHIKI?
こと、音楽に関してはウクレレを主体にした、クラシカルなハワイアン・ミュージックを連想される人が多いのではないでしょうか?
でも、実は70年代半ばにアイランド・コンテンポラリー・ロック(I.R.C.)という重要なジャンルがハワイで生まれ、日本でも「サーフ・ロック」の名前で盛り上がっていたんです。(「サーフ・ロック」をはじめとしてハワイアン・ムーブメントを後押ししていたのが、1976年創刊の「ポパイ」ですね。昔はアメリカン・カルチャーを熱心に紹介していたポップ・カルチャー・マガジンでした、余談。)
I.R.C.の中で有名なのはセシリオ&カポーノとカラパナで、メインランドと呼ぶアメリカのコンテンポラリーなR&Bやポップスに影響を受けながら、それらをエッセンスとしてロコ・ミュージックと融合させ、アメリカ本国でも人気を博していました。1995年以降、日本でもこのソウルなフィーリングとハワイの開放的なフィーリングが融合したI.R.C.の人気がじわじわと高まり、マッキー・フェアリー、カントリー・コンフォート、サマー、アイランド・バンド、テンダー・リーフといったアーティストのアルバムが高値で取引されてたんです。(最近は、再発も進んだので手軽に入手できるようになりました、感謝。)
ちょっと前置きが長くなりましたが、今週お届けするのは、そのカラパナの元メンバーであったカーク・トンプソンが率いるバンド「Lemuria(レムリア)」です。カーク・トンプソンは1973年に結成されたバンド「カラパナ」のオリジナルメンバーで、キーボディストとして在籍。1978年のアルバムを最後に独立し、プロデュース業に専念。レムリアの他に、Babaduという男性シンガー、ドン・ホーのバックバンドに加わったりし、活躍を続けています。
恐らく、同じくハワイ出身のSeawindのように、プロフェッショナルなバンドを作りたかったんだなと思わせるこのレムリア、メンバーは総勢18人とほとんど米米クラブ状態だったようですが、サウンドの方はシティ・ソウル+ハワイアン・ブリーズという奇跡的な仕上がり。女性ボーカルの歌声も素晴らしいのですが、個人的にはメローなJohn Rapozaのギターと情熱的なHenry Gibsonのパーカッションがこのアルバムをスペシャルな物にしているように思います。
全曲、捨て曲なしの秀作ですが、特に2曲目と4曲目は文句なしの出来栄え。
夕暮れ時、ビールを片手に、海を眺めながら、こんな曲を聴く。
最高の贅沢ですねぇ。ジャケット写真のように黄昏時にぴったりの一曲。
他にもダンサブル1曲目、夜の海にぴったりの6曲目、思わずステップを踏みたくなるウキウキ・グルーブの10曲目、心地良い眠りができそうなインストの12曲目と聴きどころ一杯のアルバムです。黒っぽく、ファンキーで、そしてメロウなハワイアン・ブリーズを聴いてみたい方は、是非本作に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
それでは恒例の曲紹介。
Lemuria / Lemuria 01. Hunk Of Heaven |
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