古今和歌集 巻第十七
雑歌上
作品991
筑紫に侍りける時に、
まかり通ひつつ碁うちける人のもとに、
京にかへりまうできて遣はしける 紀 友則
故里は 見しごともあらず 斧の柄の
朽ちし所ぞ 恋しかりける
訳>
筑紫におりました時に
始終出かけては碁を打っていた友人に、
京都に帰任しましてから送った歌
久々に戻った故郷にはかつての面影は少しもありません。
斧の柄が朽ちるまで長い間滞在していたあなたの国が恋しくてなりません。