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真説・森のラリオハ温泉

〜湯気の向こうに三人組は見た〜




「くっ・・・・このワシが退くことになろうとはな。負傷者を収容次第、撤退!」

髭を蓄えた将軍はそう言い放つと、傷ついた部下を率いて砦から去っていった。

「どうにか勝てたようだな」

「これも全て、義兄上の作戦のおかげですよ」

「いや、そんなことはないさ。みんなで力を合わせたからこそだ」

銀髪の青年はそう言うと、剣を鞘に収めた。

彼の名はランディウス。訳あって故郷の村を焼かれ、今はカコンシス軍の別働隊としてレーゲンブルク連邦と戦う身である。

「リッキーとマクレーンが騎兵を引き付けてくれたから、向こうの指揮官と戦うことができたんだ」

「それも大将の作戦通りにやったことだ」

顔の左半分を髪の毛で隠した大男はマクレーン。連邦の将軍ギザロフに妹をさらわれ、その消息を求めてランディウス達と行動をともにしている。

「義兄上はご自分の能力をもっと高く評価されても良いと思うのだが」

髪を軽くかきあげて言う少年はリッキー。血は繋がっていないが、ランディウスの弟である。

「そうですわね。謙遜なさることはありませんわ。あなたの的確な判断があればこそ、誰もたいした怪我もなくいるわけですから」

「どうでもいいけど。早くしないとあの将軍、戻ってくるかもよ。相当怒ってたみたいだし」

そう言う二人の少女は同じ顔だ。そう、双子。

カコンシス王国の姫である二人は、姉のシェルファニールが魔法・妹のアンジェリナが剣術を得意としている。商業国家で兵の少ないカコンシス軍にとって、二人は重要な戦力なのだ。

「もうダメ。ヒールも使えないよ〜」

疲れきった様子の赤い服を着た少女がレイチェル。ランディウスの義妹で、リッキーの姉である。

「ねえ、お兄ちゃん。少し休もうよ」

「そうだな。皆疲れているし、どこかに村でもなかったかな」

「はあぁ・・・義兄上は自身に厳しくとも、姉上にはこんなに甘い。それが最大の欠点かもしれませんな」

「リッキー!余計なこと言わないの!」

「仲の良いこった。で、姫さん達はどうする。正直言うと俺も少々疲れた」

疲れたと言う割りには、身の丈ほどもある長い剣を軽々と持ち直してマクレーンが言う。

「そうですわね。少しだけなら。傷薬も用意しておきたいところですし」

「でも、ここに来るまで村なんて全然無かったじゃない。前の町に戻るなら半日はかかるわよ」

「半日あったらあのオッサン、わんさか兵を連れて戻ってくるぜ。えれえ剣幕だったからな」

「そうか。仕方がないが、先を急ぐか。提督も待っているだろうし」

「あーあ。せっかくお風呂に入って、きれいにできると思ったのにな〜」

レイチェルはぺたんと座り込む。

「ん?風呂か・・・・・」

何かを思い出した様子のマクレーン。

「どうした、マクレーン。何か記憶でも思い出しそうなのか?」

「いや・・・・そうじゃねえんだが。ラリオハって言やあ、温泉があったかな、と」

「頼りないですね」

リッキーはあからさまに不安げな顔である。

「でも確かに少し、硫黄の匂いがするわ」

「向こうの方に道がありますし、この砦の兵士が通っていたのかもしれませんわね」

「おお。姫のご高察にこのリッキー、感服いたしました!」

打って変わって明るい顔で、その道を駆け出さんばかりの様子を見せるリッキー。

「・・・・変わり身の早え野郎だぜ。で、どうする大将。行ってみるか?」

「お兄ちゃん、行ってみようよ〜」

ランディウスの腕にしがみついてレイチェルが言う。

「案外、元気じゃないか。サンダーくらいなら使えるんじゃないか?」

「だって、温泉なんて久し振りなんだもん」

「まだ、あると決まったわけじゃねえんだが」

そう言いつつも、マクレーンは反対ではないらしい。

「行きましょう、義兄上。充分な力を発揮するには充分な休息を、という言葉もありますし」

「そうか。二人は?」

「私は賛成ですわ。遺跡へもそう遠回りにはならないようですし」

「私も、別にかまわないけど」

「じゃあ、行ってみるか」

一行は硫黄の香りが漂う道を進んで行った。




と、道の脇にローブを羽織った人がしゃがんでいる。

「あの、すみません。この辺りに温泉はありませんか?」

「ああ・・・・温泉ならもうすぐですよ・・・・」

「そうですか。ありがとうございます」

そして・・・・

「・・・・・本当にありやがった」

意外そうな顔でマクレーンがつぶやく。

その温泉は、確かに存在した。扉に『営業中』の札もかかっている。

「ちょっと。今の言葉、どういう意味よ!」

「そうです。聞き捨てなりませんな!」

「ま、まあ、いいじゃねえか。あったんだからよ」

「そうですよ、アンジェリナ。マクレーンさんのご記憶のおかげでこうして、温泉に来ることが出来たのですから」

アンジェリナをたしなめるシェルファニール。

「ああ。幻でもなさそうだしな」

「でも、小さいね・・・・」

小さい。更衣室として使うにも狭いような建物だ。

「こんなんで、本当に入れるの?」

「どうでしょう。なにしろ、優秀なる冒険者マクレーン殿のご紹介ですから」

「だあっ!入ってみりゃわかる!」

ガラガラガラーーーーーッ!!!!

乱暴に扉を開け、マクレーンは中に勢い良く飛び込んだ。

「六名様頼も・・・・のわっ!」

「いらっしゃ・・・・きゃっ!」

マクレーンが飛びこんだすぐ目の前にはカウンターがあり、危うく店番らしき女性と正面衝突するところであった。

「い、いらっしゃいませ・・・・」

「なんでえ!びっくりするじゃねえか!」

「マクレーン・・・・それは向こうのセリフだと思うぞ」

「店員さん、青い顔してるよ・・・・」

無理も無い。重武装した巨漢が大声を上げて飛びこんできたのだから。

「え・・ええと・・・・何名様でしょうか」

引きつった営業スマイルを浮かべる女性店員。

「男性三名に、女性三名ですわ」

優しい微笑でシェルファニールが答える。

「そうですか。18Pになります」

その上品な物腰にようやく店員も落ち着いたらしい。

「はい、18Pね」

几帳面な性格から、一同の出納係を任されているレイチェルが店員に料金を渡す。

「では、女性の方はあちらの建物になります」

店員は背後を指差す。

「えっ、あれ!?」

「まあ」

「何よ・・・・あれ」

思わず驚きの声を上げる三人。

じゃーーーーーーーーん!

深く静かな森に囲まれた白塗りの洋館。貴族の別荘と言っても通用しそうである。

「たまげたな。あんなのが風呂だなんて、ありか!?」

「俺の家より大きいぞ・・・・」

「ははは。このリッキーに相応しい、素晴らしい温泉ですね。それで、男風呂の方は?」

「男性の方は、あちらです」

振り返る一同。

「えっ、あれ!?」

「まあ」

「何よ・・・・あれ」

思わず驚きの声を上げる三人。先ほどとは逆の意味で。

ぐて〜〜〜〜〜〜・・・・

茂みの中に吹けば飛びそうな掘建て小屋がある。ご丁寧にも屋根にはタンポポが咲き、虫の声までする。

「マジかよ・・・・」

「崩れそうだな・・・・」

「・・・・・・・・」

脱力する男性陣。リッキーはもはや声も出ない。

「じゃ、じゃあ、お兄ちゃん。行ってくるね」

「では、30分後にここで・・・・」

「まあ、ご健闘を祈っとくわ」

女性たちは女風呂へと去って行った。

「どうするよ、大将」

投げやりな口調でマクレーン。

「どうする、と言われてもな・・・・」

どっとくたびれた顔のランディウス。

「なあ、リッキー。止めておくか。かえって疲れるかも・・・・」

「うふ。うふふふふふ」

「おい、リッキー」

「なんだか危ない目ぇしてるな」

「おい」

肩を揺さぶるランディウス。

「風呂ーーーーーーーーッ!!」

リッキーは奇声を発し男風呂もとい、ボロ小屋に走っていく。

「あ〜あ。あいつ、女風呂とのあまりの落差に壊れちまいやがったぜ」

「やれやれ。とりあえず行くだけ行ってみよう」

仕方が無く男風呂に向かう。

「あ、あの」

二人を呼び止める店員。

「何だ。今さら金返せだなんて言いやしないぜ。騙されたこっちが悪かったからな」

「そうではなく、注意事項なんですが・・・・」

「わかってるって。潰れっから、あのボロ小屋の中で大声出すなってんだろ。そんなこと言われるまでもねえ。なあ、大将」

「実は、あの森に・・・・」

「森に、何だよ。ドワーフの一族でも住んでて、荒らすと呪いをかけるってか?」

「いや、え〜。似たようなものですが・・・・」

「はっきり言いやがれ!ドラゴンが近づく者を食い殺すとか、魔族が魔王召喚でもやってるとかよ!」

「まあ、それにいくらか近いものは・・・・」

「魔女がサバト開いてるとか、地獄犬が暴れているとか・・・・」

「当たりです」

「海蛇竜がイケニエ欲しがってるとか・・・・何?」

思わず聞き返すマクレーン。

「当たりです」

冷静にもう一度答える女性店員。

「あの森にはケルベロスが28頭います」

「いるって言ったって、お前・・・・」

「あの森って、女風呂の周りにあるよな・・・・レイチェル達は危険じゃないのか!?」

思わず身を乗り出すランディウス。

「大丈夫です」

身を仰け反らせて答える店員。

「大丈夫ってなあ、ケルベロスだぜ!30頭も!」

「28頭です」

「ええい、28頭も30頭も変わりゃしねえ!何で大丈夫なんだ」

「女性は襲いません」

「そんな都合のいいモンスターがいてたまるか!」

「いますよ、現に。特殊な方法でコントロールしています」

「どんな方法だ!?」

「言えません。企業秘密です」

「・・・・・・・・」

にらみ合う店員とマクレーン・・・・

「ああ、もう分かった!森に入らなきゃいいんだろ!」

店員の冷たい視線に耐えきれず、叫ぶマクレーン。

「はい」

「しかし、女性はともかく、俺達はどうなんだ。迷い出てきたら危ないじゃないか」

「森と男性浴場の間には監視の兵士がいますから」

「だーーーーーっ!大将、行くぞ!」




「・・・・予想通りってより、予想以上だな」

「・・・・そうだな」

小屋の中は完全に真っ暗・・・・というわけでもなかった。天井に穴が所々開いているからである。

「お〜い、リッキー。どこにいる。早いところ、ここから出るぞ」

「ケルベロスに食われちゃいねえだろうな・・・・」

腰ほどの高さの草が生えている中を捜索する。

「何を不吉な事もぎゅ」

ランディウスは何か黒くて大きく、生暖かい物にぶつかった。

「うわーーーーーっ!出たーーーーーっ!」

「何だと!?あの店員、兵士がいるとか嘘つきやがって!」

戦闘準備をする二人。

その時、『それ』が音を発した。

「むう。出た、とは何ダスか。ワシは化け物じゃないダス」

みしみしと軋む小屋の中で、それは大きく響いた。

「・・・・・人間?」

「・・・・・そうらしいな」

暗くてよくは分からないが、確かに人間のようだ。

「まったく、最近の若者はマナーがなってないダスな〜」

しかし、大きい。大男と呼ばれる部類のマクレーンよりもさらに一回りは大きい。

「それはすみません。まさか、人がいるとは思わなくて・・・・」

「まあな。こんな変わったところにいるなんて、よほどの変人・・ごふっ」

「・・・・弟を見ませんでしたか。つい今、ここに入ってきたと思うのですが」

拳の血を拭いながら、ランディウスは尋ねる。

「弟ダスか。確かに、さっき少年が入って来たダス」

「ええと、それで今はどこに?」

「急に抱きついてきたダス」

「はい。まあ、だいたい分かります」

「恥ずかしいのでつい、アッパーを出してしまったダス」

「え?それでリッキーは・・・・」

「向こうにいったダス」

彼が指差した先には・・・・天井に一際大きく開いた穴があった。

「・・・・わかりました。どうもありがとうございました」

「こちらこそ、あまり助けにならなくてすまんダス」

「いえ・・・・ほら、マクレーン。寝てないで行くぞ」

「ナイスパンチだ・・・・大将」

二人がそこを出ると・・・・小屋は水をかけられた紙細工のように音もなく、潰れた。

「・・・・まあ、少々騒いだからな」

「それで、奴さんはどこへ行ったって?」

「ええと、あっちだな」

森。

「・・・・生きてると思うか」

「大将の弟だけあって、見た目より丈夫だからな。可能性はある」

「・・・・・・・・」

深いため息をつく二人。

「・・・・行くか」

「・・・・ああ」




「あれが、例の監視の兵士か・・・・」

「ケッ。陰険そうなツラしやがった貧相なオヤジだぜ」

二人は茂みの中に隠れて、様子をうかがっていた。

「とりあえず訳を話して、通してもらおう」

「おいおい。ありゃあ、理屈の通じそうな顔じゃねえぞ」

「先見はいけないな。試すだけ試そう」

兵士に近づくランディウス。

「あの、すみません」

「何だ。貴様は」

「弟があっちの森に行ってしまったので、ここを通してもらいたいんですが」

「嘘を付くな。さっきから誰も通っていないぞ」

「ええと・・・・たぶん宙を飛んでいったもので・・・・」

「ほう・・・・宙を・・・・」

「そうです。通らせて頂いて良いですか?」

ニヤリと笑う兵士。かなり不気味。

「この若造がああああっ!どうせなら、もっとまともな嘘を」

ごぎいっ☆

兵士は最後まで言葉を話すことが出来ないまま、崩れ落ちた。

「・・・・大将の会話、聞いてられねえぜ」

「ひどいな、マクレーン。もう少しで説得できそうだったのに」

「あれが説得かよ」

「そうだが。おかしいか?」

いたって真面目な顔で答えるランディウス。

「・・・・大将は外交官や大使にゃあ、なれそうもねえな」

「別になる気は無い」

「まあ、いいさ。大地が割れようが、月が砕けようが、そんなことはありえねえからな」

哀れな兵士を残し、二人は森へと入っていった。




「暗いな」

「そうだな」

「リッキーは大丈夫かな」

「そうだな」

「ケルベロスが出てこなくて助かるな」

「そうだな」

「これ、見たこと無いキノコだな」

「そうだな」

「・・・・何で、『そうだな』しか言わないんだ」

「そうだな」

「マクレーンっておバカさんなのか?」

「そうだな」

「・・・・もしかして、道に迷ったのか?」

「・・・・そうだな」

「・・・・・・・・」

沈黙する二人。

「・・・・マクレーンに道を任せたのは失敗だった」

「何を言う。大将があっちだと、自信たっぷりに言うからだな・・・・」

「自信たっぷりにだなんて、言ってない。ただ、こちらの方に行くと森が深くなっているから気をつけようと」

「気をつけようだなんて、俺は聞いてねえぞ」

「マクレーンの耳が遠いんじゃないのか?」

「言ってねえ」

「言った」

「何時何分何秒にどこで」

「16時21分53秒にあっちで」

「何の根拠がある」

「感」

「限りなく、間違いだな」

「何の根拠で間違ってると決め付ける」

「俺が今、間違っていると判断したのが根拠だ」

「マクレーンは何でも正しいのか?」

「そうだ。俺は正しい」

「なら、今のこの状況をどう説明する」

「・・・・・・・・」

再び沈黙する二人。

「・・・・やめよう。状況は悪化するばかりだ」

「・・・・そうだな」

「落ち着いて考えよう」

「座るか」

ひとまず樹の根に座る。

「どうしようか」

「どうするかな」

「お腹が空いたな」

「腹減ったな」

「寒いな」

「少しな」

「静かだ」

「ああ」

「・・・・・・・・」

三度沈黙が訪れ・・・・ようとしたその時。

「大将、とりあえず助かるかもしれねえな」

ふいにマクレーンが口を開いた。

「助かるかどうかはわからないが、状況は変わった」

ランディウスは剣を持って立ち上がる。

「2・・・6だったか?マクレーン」

「いや、28だ」

マクレーンも立ち上がる。

「おい、出てきやがれ!犬どもとそいつらを操ってるの!」

上を向いて叫ぶマクレーン。

「・・・・鋭い方たちだ」

二人の座っていた樹の枝にローブを着た男が姿を現した。

グルルルルル・・・・・

それと共に大数のケルベロスが木々の合間に現れる。

「あなた達に逃げ場はありませんよ」

「お前はあの時の・・・・」

「道を教えてくれた人か」

「憶えていてくれましたか」

「なぜ俺達を襲う」

「簡単です。女湯へ行かせないため!」

「俺は冗談が嫌いなんだが」

「俺もこういう状況での冗談はちょっと」

「冗談ではありません」

「・・・・・・・・・・・・」

やはり訪れた三度目の沈黙。

「・・・・大将、女湯へ行かせてもらおうか」

「・・・・そうだな。力づくでも」

「そうはさせません。集まりなさい!」

ガルルルルル!!

森のある一方に集中するケルベロス。

「一、二の」

「三!」

同時に樹に体当たりする二人。

どがあっ!!

「うぬぬ・・・ぎゃあ!」

振動で樹から滑り落ちるモンスター使い。

「あっちに女湯があるんだな!」

「ああ。奴らが固まっている方が女湯だ」

指揮官を失って混乱するケルベロスを蹴散らし、二人は進んだ。

「ええい!逃がしませんよ!」




「遅いですわね・・・・」

「遅いね・・・・」

「あんなお風呂で何をどうしたら、こんな長湯が出来るのかな」

三人が風呂に入ってから既に三時間が経過している。

「心配ですわ・・・・」

「子供じゃないんだから、大丈夫だって」

「そうだけど・・・・」

きゃーーーーーーーーっ!!

女湯の方から悲鳴が聞こえてきた。

「何!?」

風呂場から女性が出てくる。

「あの、どうかなさったんですか?」

「へ、へんな男が三人、お風呂場に・・・・」

それだけ言うと女性はおざなりに服を着て、逃げていってしまった。

「・・・・変態さんですの?」

「・・・・痴漢ね」

「うう・・・・こわいよ・・・」

風呂場に入る三人。そこで見たものは。

「お、三人とも無事か」

「こいつらを追い払うの、手伝ってくれないか?」

「ええい、死になさい!」

女湯で乱闘する三人&ケルベロス。

「レイチェル、サンダーでも・・・・」

「い、いや・・・・」

「見損なったわよ、ランディウス・・・・」

「まあ、なんて悲しい事実なのでしょう・・・・」

「・・・・大将。こいつら、人の話を聞いてねえぜ」

「え?」

「・・・・メテオ」

「アースクエイク!」

「成仏なさってくださいね。メテオ!」

三人に降り注ぐ魔法・・・・

「まあ、待て。まず落ち着いてこちらの話をだな・・・・!」

「やっぱり大将は死んでも外交官なんかにゃなれ・・・・!」

「なんで私まで・・・・!」

DOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!!






「・・・・大将、生きてるか」

「・・・・まあな」

「・・・・リッキーの奴はどうなったと思う」

「・・・・聞くな」

と、二人の目の前に人影が。

「何だ・・・・!?」

そこにいたのは。

「や、義兄上。探しましたよ」

「・・・・リ、リッキー!」

「どうしました。幽霊でも見たような顔をなさって。」

「おい、お前!今までどこにいた!」

「男湯です」

「男湯って・・・・あの汚ねえボロ小屋か?」

「はははは。とんでもない。あの向こうに小さいですが、なかなかの温泉がありまして」

「・・・・・・・・」

「あのボロ小屋・・・・ジムとかいうものらしいですが、そこにいた方に教えられまして。場所が違うと、一回殴られてしまいましたが」

「・・・・・・・・」

「義兄上、そういえば今までどこに。待っていたのですが。すっかりのぼせてしまいましたよ」

「・・・・・・・・色々だ」

「そうですか。もう一つ聞いてもよろしいですか」

「・・・・ああ」

「温泉に入ったはずなのに、なぜ前より汚れていらっしゃるのですか?」

「・・・・大将、殺るか」

「・・・・ああ」

「あ、義兄上、そんな物騒なものを持って一体何を・・・・」

ずしっ!ぐしゃっ!ざくっ!ごりゅっ!ばきっ!






「うううう・・・・私にはもう耐えられません・・・・」

ただ泣く、ローブを着た男性。

「あんなことに意味があるとは思えないのですが」

淡々と話す、青い顔をした女性。

「そうです!酷い目に遭いましたぞ!」

怒りを露にする、兵士。

「知っての通り、私は新しい建設計画を進めなくてはいかんのだが」

三人の中心に立つは、細身の男。

「・・ううううう・・新しい材料集めを・・」

「なかなか利用できそうな男を見つけたので、そちらを進めたく・・・・」

「例の女の監視を続けたいと」

「ああ、わかった、わかった。別命あるまでひとまず、お前達は向こうに戻れ」

煩そうに手を振る男。

「「「はっ」」」

三人の姿は消えた。

「この重要な時に・・・・もう少しで面白い事になっていたはずであったが。おい、いるか」

「何でしょうか・・・・」

男の背後の闇からから女性の声が発せられる。

「お前は連邦に潜入し、兵の動きを見張れ」

「かしこまりました」

すぐに声は消える。

闇よりも濃い漆黒の衣をなびかせ、男はつぶやく。

「計画は遅らせるわけにはいかないのだ・・・・」

しかし、男の心の内はその衣よりなお、黒い。

「我らが王、カオス様の復活のためにはな・・・・」

〜終〜