原作を読んでしまった私にとってああん物足りない、という感じは
否めなませんでした。
人の背景(その人の歴史とか)があまり描かれて
いないのでどうしてこの人はこういう行動に出ることになったのか
というのがわかりにくいというか。背景フッ飛ばしてさあ殺し合い、
というはどうなのよとは思うのです。
原作を読んでいればそこら辺を補えるからいいっちゃいいんですが。
しかし、ね、文句うだうだいいながらもこの映画はいいと思ったのです。
それは、こんなにまで人を信じることとか人を憎むこととか
そういう今書いただけでもちょっと恥ずかしくなってしまうことを
真正面からとらえた作品もないんじゃないか、と思うからで。
あと、この映画は子供になめられた大人の復讐の物語でもあったんだ、と
思ったのです。それが大人から見たバトル・ロワイアルだったんだ、と。
監督が70歳のおじーさまだからというのは理由にならないかもしれないけれど、
原作には欠けてた大人よりの描写があったのがすごくいいなって。
キタノ(に代表される大人)の悲しみと覚悟。子供の悲しみと覚悟。相馬光子の言葉を借りれば、
大人にも子供にも「いろんな事情」がある(こうとしかいえないのがとても
イヤなんですが)ということが感じられただけでもこの映画を見て
良かったなあと思うのです。
映画を見にいく前に「正統派アイドル映画だ」というとある人からの評価
を聞いていて、確かにそれもこの映画のある側面だと思いますが、それだけじゃ
ない、それだけのはずがないじゃない。ねえ。