「ツィゴイネルワイゼン」

私が生まれた年にこんな映画があったのか、という驚き。

誰が死んでいて、誰が生きているのか。ここは現実なのか、夢なのか。

これは手におえない、どうすることもできない、まいったなあと。 でもすごく妖しくて怖くてうつくしくて。

それぞれ思わせぶりなもの達は何を表してるのか、何の象徴なのか。

どことどこに対立項があるのか。

こういう物語を謎解く為の作業を、女の股間から蟹が出てきた瞬間に私は一切放棄しました。

この映画にそんなものは通用しない。この映画に勝とうなんて思っちゃいかんのだなあと あの瞬間つくづく思い知らされたというか。

水蜜桃みたいな、腐りかけの危うさが漂う映像に ただ流されるしかない、そう、監督のいう通り狂うしかない、などと。

流されればやっぱり美味しくて。いけないことをしているような 後ろめたさとそれに伴う快感が、癖になりますぜダンナ。

それにしても、青地(藤田敏八)は園(大谷直子)が戸棚に残した千切りこんにゃく を食べたのか気になるんですが。