「ミリオンダラー・ホテル」

ミリオンダラー・ホテルは元超高級ホテルだった。今でも大統領用スウィートが残されていて 11ドルで泊まれるらしい。

今はアメリカン・ドリームから見放された人達ばかりが住んでいる。

そこの住人であったメディア王の御曹司、イジーが転落死した。その捜査の為に ロボコップみたいなFBI捜査官が乗り込む。

知的障害者のトムトムが住んでいる。彼はイジーの親友だった。同じホテルに住む エロイーズがすごく好き。ある日エロイーズに話し掛ける。でも彼女は言う、 「私は虚像だから」と。

しかし二人は徐々に心を通わせていく。

トムトムの純真さが彼女の心を少しづつ開かせていった。

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…そんなベタな。知的障害者に無垢やら純真さを求めるとは。灰谷健次郎か?

で、トムトムは最後、ミリオンダラー・ホテルの屋上から エロイーズが見てる前で飛び降りてしまう。

結局、この屋上から二人の男が飛び降りた。

一人の男はエロイーズを虚像に変えてしまった。

もう一人の男はエロイーズを再生させた。

しかしそれにしても、あの屋上の美しさを飛び降りる事以外に活用できなかったっていう のが悲しい。

飛び降りたことによって恐らくエロイーズは一生トムトムのことを忘れないんだろう。 自分を愛してくれた無垢な存在として生き続ける、んですかね。 しかしそれって呪いじゃないですか。

何も飛び降りなくても。最後の最後で呪わなくても。

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「飛び降りた後。ふと思ったんだ。人生は素晴らしい、人生は最高だって。」

と、トムトムはいう。

飛び降りなきゃわからないことなんて、私はわからなくていい。