APS 史上最強一眼レフカメラ
Nikon PRONEA 600i




ニコンが1996年12月に生んだAPS史上最強の一眼レフカメラです.すでに生産はとっくの昔に終わっており,他の一眼レフカメラメーカーも新しいAPS一眼レフカメラなど造る気は無いので,今後も最強であり続けます.

おそらく基本設計は当時の35mm一眼レフ中級機の Nikon F70D の設計を流用したと思われ,操作系は同時期に開発された35mm一眼レフ最高級機 Nikon F5を参考にしたと思われます.リアに大型液晶パネルとボタンを配し,メインダイヤル,サブダイヤルの2ダイヤルを備えており,当時としてはかなり高級な操作系を装備しています.慣れてしまえば非常に使いやすい操作系です.

当時はAPSの創生期であり,APSの一眼レフがこのPRONEA 600i と 600i の廉価・若い女性向きバージョンの PRONEA-S の2機種のみで終わるとは考えていなかったと個人的には思います.PRONEA 600i は基本的に普及機であり,当時の普及機のお約束,イメージプログラムモードを備えています.600i というナンバーは普及機のナンバーであり,高級機種であれば 800i のナンバーを与えられたでしょう.しかし,APSの行き先がまだ見えてこなかったため,APS一眼レフ第1世代の最高機種としても耐えられるスペックを与えたのでは無いでしょうか.ベーシックとアドバンストのモード切り替えスイッチはそう考えることも出来ます.APSが35mmと同じくらい普及したら,APS一眼レフ第2世代も生まれ,PRONEA 600i を超える性能のカメラが登場したはずです.しかし,APSはコンパクトカメラ用の規格になり,APS一眼レフ第2世代は生まれなかった.そして,PRONEA 600i がはからずもAPSカメラの最高峰になってしまった.そんな気がします.

プロカメラマンの中にもPRONEA 600iに惹かれた人はいました.私が知っているのは航空機写真家の柴田三雄さん,女性ポートレートや写真雑誌の評論などで活躍されているサンダー平山さんです.

皮肉なことにF5のデジタル版D1のCCDサイズがAPSのフィルムサイズとほとんど一緒だったことから再評価の動きがあるみたいです.35mm信者の中にはデジタル一眼レフは評価しても,APSは目に敵にする人もいるようです,不思議ですが.

プロネア 600i の欠点をあげると以下のようなところでしょうか.

  1. スピードライトがオートポップアップしない.
    しない方がいいという人もいますが,PRONEA 600i にはベーシックとアドバンストの2モードあるのでベーシックモードではオートポップアップして,アドバンストモードではしないというのが良かったと思います.
  2. ベーシックモードでプログラムシフトできてしまう.
    ベーシックモードで使おうという人はプログラムシフトなんて必要無いです.混乱するだけです.アドバンストモードで出来ないのは困りますが.
  3. マニュアルレンズが使えない(マニュアル露出しかできない).
    これについては最近ニコンが出したデジタル一眼レフカメラ用レンズ,絞り環のないGタイプの登場により,ニコンは古いマニュアルレンズを切り捨てたことがハッキリしていますので,しょうがないです.
  4. 途中で電池がきれると磁気記録がおかしくなる.
    これはすごい痛い.取り出して再装填してもエラーになります.だからそのフィルムはそこで終わり.磁気記録も全体が読めなくなってしまう.予備の電池は必ず持っていって,警告がでたらすぐ交換しないといけません.

Nikon PRONEA 600i 大公開

本体スペックチャート


レンズを外したところです.
向かって見て正面の右上の黒いボタンがスピードライトのポップアップボタンです.
その下の赤いところはセルフタイマーのLEDです.
右真ん中の黒いボタンがレンズ脱着ボタンです.
その下の丸いレバーがAF/MF切り替えレバーです.
マウント部の左斜め下にちょこっと見えるのはニコンの一般35mmレンズを使うための
最小絞りに設定させているかの確認レバーです.
左グリップ上にあるダイヤルがサブコマンドダイヤルで
その上のグレーのボタンがシャッターボタンです.


左サイドから見たところ.ほとんど何もないですね.
ちなみにプロネアはストラップを縦方向ではなく,横方向に通す仕様です.


右サイドから見たところ.結構大きめのグリップです.
後に近い色が変わるところにあるのが,フィルム室の解放レバーです.


後ろから見たところです.右側の四角がフィルム室のフタです.
APSの自動ローディングシステムにより,従来の35mmカメラのように
リア全体をドアにする必要がないので大型液晶パネルが付いています.
ここの液晶パネルの周りのボタンで基本的な設定の全てを行います.
液晶パネル右上のボタンがAEロックボタンです.
液晶パネル左上のボタンが液晶パネルのイルミネーターボタンです.


上から見たところです.
グレーの部分がプロネアの外観上の特徴であるおむすび型になっていることが分かります.
右のダイヤルがメインコマンドダイヤルです.
ファインダーペンタミラーの右側にメインスイッチがあります.
その上のボタンはプロネアの機能のひとつ,設定記憶の呼び出しボタンです.
背面のボタンと同時に押すことでAPSの特徴である途中巻き戻し(MRC)が出来ます.
ファインダーペンタミラーの左側にベーシックモードとアドバンストモードの
切り替えスイッチがあります.その上がタイマースイッチです.
右側ストラップの上の部分に小さなフタがあります.
ここにメカニカルレリーズ用の穴があります.


下側を見たところです.真ん中に三脚用のネジ穴があります.
左のグリップ部の下にメインバッテリーリチウム電池CR123Aを2個納めるためのフタがあります.

さて,ひとまわり外観を眺めましたので,使うところをちょっと載せます.

フィルム室を開けたところです.APSなのでよけいなシャフトとかはありません.
カートリッジを写真の向きに入れます.というか他に向きには入りません.
フィルム室のフタ内側にバックアップ,デート用リチウム電池CR2025が納められています.


PRONEA 600i と専用 IX ニッコールレンズのマジック

普通,広角側20mmまでのズームレンズは設計が難しいもので,
高価なレンズになりますが,プロネアの専用レンズ IXニッコールは
これを簡単に実現し,価格もリーズナブルなものです.
そのプロネア本体と専用レンズのマジックのネタを披露します.


プロネアの内部をお見せしますが,奥にミラーがあるのがお解りでしょうか?
ここにマジックのネタがあります.一眼レフはファインダーをのぞき込んだ時に
このようなミラーを使い,撮影レンズを通した実像が見えるようになっています.
シャッターボタンを押すとこのミラーが跳ね上がり,
ミラー後部にあるシャッターが開閉し,フィルムに露光します.
プロネアは撮影サイズの小さいAPS一眼レフカメラなので,他のニコンの35mm一眼レフより,
ミラーを小さく設計できます.しかし,マウントは従来のFマウントですので,
ミラーを小さく設計した分の何もぶつからない空間が内部に出来ます.


専用レンズ IXニッコール後部を見ていますが,マウント面よりかなり後までレンズ後部が
飛び出しています.そうです,ミラーを小さく設計した分の何もぶつからない空間に
これが入るのです.これにより,広角側20mmまでのズームレンズを
簡単に実現しているのであります.
同じFマウントでありますが,マウント面より後までレンズ後部が出ているので,
35mmの普通の一眼レフにはミラーが当たるので装着できません.


プロネア専用IXニッコールレンズ


おまけ


私の PRONEA 600i 用のメカニカルケーブルレリーズです.
なぜ,新世代のAPS一眼レフカメラとして生まれた PRONEA 600i に電子式のリモートコントロールを与えず,
クラシカルともいえるメカニカルケーブルレリーズを使えるようにしたかは謎です.


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