お酒に関する豆知識 |
◆酒造りについて | 造り方によるお酒の酒類などを紹介します |
◆酒類の製造工程図 | 酒造りは大きく7段階に分かれている |
◆お酒の特定名称について | 原材料や造り方の違いにより分類しています |
◆お酒の味について | お酒の味を酸度と日本酒度のバランスで説明しています 酸度/日本酒度により銘柄を選ぶ表の参考例があります |
◆香味によるお酒の分類 | 香味による4つのタイプの分類です 自分だけの利き酒表の作り方が参考になります |
◆利き酒のしかた | 利き酒をしてみましょう |
◆酒造好適米とは | 酒造りに使われる米とは |
酒造りについて | ||||||||||||||||||||||||||||
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酒類の製造工程図 |
![]() @精米 酒づくりの第一歩。精米歩合は飯米が90%〜92%なのに対し、普通酒の醸造用白米は70%〜75%。特定名称の酒となるとさらに削る部分が増す。 A洗米 精白した米を洗い、ぬかを落とし、約20時間水に浸す。寒作りの酒にとっては辛い作業の一つだが、最近は機械化されているところが多い。 B蒸米 酒米は高温の蒸気を吹きつけて蒸し米に。蒸し加減は杜氏の腕のみせどころ。ひねり餅という、蒸し米の一部をとり、手でまるく伸ばして、具合をみるのも独特な手法。 C麹づくり 蒸し米に麹菌を入れ、床揉みして、湿度、温度を保ち繁殖させる。28度前後の室という清潔な室内で行なわれる。 Dもと造り 酒母づくり工程。現在は速醸もとが主流。麹、蒸し米、水を混ぜ、さらに一定の乳酸を加えて10日間ほどでつくる。生(き)もとや山廃もとなど、昔ながらの手作りを守っている酒蔵もある。 E仕込み 麹ともとにさらに蒸し米、水を加える工程。麹の酵素が米の澱粉を糖に変え、同時に酒母がアルコール発酵を行う。普通は原料を三回に分けて仕込み(三段仕込み)、もろみが出るようにする。もろみはタンクなどに入れられ、発酵。この時の泡の出来具合が酒独特の味と香りをもたらす。期間は約15〜20日。 F圧搾 発酵が終わったらもろみを搾り、酒と酒粕に分ける工程。原酒はこの段階で、この後一度ろ過し、殺菌のため火入れし、再びタンクに戻して貯蔵。熟成後に瓶詰となる。 |
お酒の特定名称について | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
平成2年4月より、清酒のうち一定の製法品質の条件を満たしているものは吟醸酒、純米酒、本醸造酒など特定名称の用語を表示できるようになった。特定名称酒以外の酒は普通酒ということになる。 特定名称酒は、原料米に農産物検査法3等以上を使用し、醸造用アルコールを添加する場合は白米の重量の10%以内であることが決められている。 吟醸酒は、良質の酒造好適米を高度に精白し、普通の発酵温度より低温でゆっくりと仕込まれる。果実のようにフルーティな香りとすっきりした上品な風味がある。 純米酒は、醸造用アルコールや糖類は一切使わず、米と米麹と水だけで造られる。これは日本古来の製法で、米の味がそのまま生きており、芳醇で濃厚な味わいがある。 本醸造酒は、醸造用アルコールの使用量を白米1トンにつき116.4リットル以下と制限されており、糖類は一切使わない。 精米歩合は、玄米に対する重量の割合。磨いた後の白米がどれだけ残っているかを表している。高度に磨くほど澱粉質以外のものが取り除かれ、より洗練された酒になる。
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お酒の味について | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
酒の味についてよく甘口とか辛口という表現を用いるが、酒の味は大まかにいって糖分の量と酸味の量のバランスによって決まる。 清酒の糖分は一般に日本酒度で表される。日本酒度は水に対する酒の比重を日本酒度計という比重計で計ったもので、糖分が多ければ重く、糖分が少なければ軽くなる。つまり日本酒時計がたくさん沈むと、糖分の少ない辛口でプラス。あまり沈まないと、糖分の多い甘口でマイナスの表示になる。その数値が多くなればより辛口、より甘口になる。 ただ人間の酒に対する味覚は、日本酒度(糖度)だけでは決まらない。舌にまとわりつく感じや後味の具合などが大きく影響する。とくに酸味の量は酒の軽さ重さの決め手となる。酸度は1.4程度を平均とするが、酸度が多ければより濃醇な口当りになり、酸度が少なければより淡麗の味わいになる。味覚面では酸度が多ければ甘目に、酸度が少なければ辛目に感じるように働く。例えば、吟醸酒は一般に糖類が少なく日本酒度はプラスとなるが、酸度は低いため口当りは甘く感じられるものが多い。逆に、日本酒度がプラスでも酸味などが多ければ辛目に感じる。 つまり、「甘、辛、酸、苦、渋」の五味のバランスにより酒の味は決まってくるわけだ。このほか、飲む温度、肴との相性、飲む人の体調や嗜好、雰囲気によっても味覚は変わってくる。この微妙さが酒の味わいをより深いものにしているのである。 ![]() 下のような表をご自分で作成していって、おおよその好みの酸度/日本酒度の組み合わせで銘柄を選んでいったらいかがでしょうか。
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香味によるお酒の分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
この表の4つの分類を知っていると、好みの酒のタイプや料理に合わせた選択がしやすくなり、日本酒の世界が大きく広がります。 この表は、専門家による数多くの利き酒を行い、そのデータをもとに「香り」と「味」を軸にして整理したものです。
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上の表を参考にして、ご自身でいろいろな銘柄を下の座標に埋めていったらいかがでしょうか。 ご自分だけの利き酒表が出来上がると思います。
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利き酒のしかた |
ふだん何気なく飲んでいるお酒でも、利き酒をしてみるとお酒の意外な個性が見えてきます。このお酒にこんな香りがあったのか、意外な甘さがあるな、すっきりした後味が感じられるなどなど、日本酒の色、香り、味がより鮮明に浮かび上がってきます。箱の背面、挿し紙等に書かれている解説がより理解できるようになります。 さて、利き酒の方法ですが、利き酒には白に藍の二本線が入った蛇の目猪口を使います。これがなければ、白の湯飲みでも良いでしょう。というわけで、次のような手順で行います。 1)まず猪口に冷やの酒を注ぎ、色を見ます。普通は水のような無色透明ですが、炭素ろ過をしていない吟醸酒などの場合は、わずかに自然の色を持っています。古酒(酒造りについてを参照)は別として極端な色が付いているときは、劣化している可能性があります。 2)次に立ち香をかぎます。猪口を動かさずに立ち上る香りをかいだら、軽く猪口を回して更に香りを確認します。そうしたら、酒を口に含み、舌の上全体にころがしてから、空気を吸って酒と混ぜ、空気を鼻から出します。こうすると含み香がはっきりと感じられるようになります。酒は吐き出します。 3)最後に酒を口に含み、今度は舌全体で味をみます。酒をまた吐き出し、吐き出した後の余韻もチェックします。 |
酒造好適米とは |
清酒の原料である米は、酒造工程上、麹にする麹米、もと(酒母)を造るための酒母米、もろみ造りに使う掛け米の3つに分けられる。この中で出来上がった酒の味を大きく左右するのは、使用量からすれば4分の1弱にすぎない麹米である。一般に酒米という場合、その酒の麹を造る麹米を指している。 酒造りには主食用米である一般玄米と醸造用玄米が使われる。醸造用玄米は1等から3等に格付けされている。その基準に満たない場合、一般米と同じ検査を受けることになるが、醸造用玄米の3等の基準値は一般米の1等にあたり、主食米よりも厳しい基準となっている。吟醸酒、純米酒、本醸造酒には一般米の3等以上に該当する米が使われる。 「酒米は大粒心白を以って最上となす」といわれている。食用米の93%程度の精白度に比べ、酒米は75〜40%という高い精白を行なう。このため、十分な精米に耐えるよう粒は大きい方がよいわけだ。心白とは米の中心部が不透明な白色であることを指す。心白はその部分のでんぷんの詰まり方が疎であるため乱反射を起こして白く見える。これは水分や蒸気の出入りが容易であり、麹菌が菌糸を伸ばしやすく、結果として糖化力の強い麹が造られることになる。こうした米を業界では酒造好適米と呼んでいる。 酒造好適米としては昔から、摂津米(大阪・三島郡、豊能郡)、播州米(兵庫・河辺郡、加東郡)、備前米(岡山・赤磐郡、和気郡)などの米産地が知られている。銘柄では山田錦、五百万石、雄町、高嶺錦、八反などが有名である。とくに山田錦は吟醸酒の原料米として高い人気があり、ひっぱりだこである。 この他、よい酒造米の条件にタンパク質と脂肪の含有量の少ないことがある。含有量が多いと酒の雑味が増し、喉ごしの悪い酒になる。これらの成分は米の外側部分に多く含まれており、より多く精白すれば雑味の少ないすっきりした味に仕上がるわけである。 |