九十九里浜

 房総半島で最も長い海岸線を持つのが九十九里浜である。北の刑部岬(ぎょうぶみさき。海上郡飯岡町)から南の大東崎(夷隅郡岬町)まで5郡(海上郡、匝瑳郡、山武郡、長生郡、夷隅郡)、長さ約60kmにも及ぶ、大きな弧をを描いた遠浅の海岸が続く。
 真ん中の九十九里町の辺りに立つと、空と海と砂浜しか見えない。南房総や南三陸などの入り組んだ地形とは対照的に広くて単純な海岸だ。
 何も遮るものがないため波は荒く、潮騒の音が大きく響く。その波打ち際に行き、その波の音を聞くと、心が洗われるような気がする。
 波が荒いため、サーファー族は冬でも訪れ、南極のペンギンのごとくに黒いウェットスーツを着た若者たちが波打ち際でサーフボードに乗り、大きな波を待っている。
 夏はその上に海水浴客であちこちの海水浴場が賑わうため、夏場の土日の夕方は海からの帰り車で千葉、東京方面への道は混雑するので、注意を要する。
 九十九里浜から約4kmぐらいの幅で九十九里平野が広がる。この平野は縄文時代ぐらい、約一万年ぐらい前に陸地になった新しい土地だ。台地と丘陵が多い千葉県の中では最も広い平野だ。人類が住み着き始めた頃に下総台地の南端の部分が海岸だった証拠に山武郡成東町の台地の近くに「波切り不動」というお寺がある。
 私が大学4年生の冬に車の運転免許を取り、春休みにレンタカーを借りて初めてドライブしたのは、九十九里浜であった。千葉市から片道約35km、70kmのドライブだったが、必死だった覚えがある。
                          (2002年1月19日)
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