葛飾柴又

 江戸時代幕府の防衛上の都合から江戸川などの大きな川に橋を作ることが許されなかった。そのため水戸街道を通る人は「矢切の渡し」などの渡し船で渡ったという。その江戸時代の風物がそのまま残っているのが矢切の対岸にある葛飾区柴又だ。
 柴又といえば、映画『男はつらいよ』の寅さんで有名だ。その庶民的な雰囲気が未だに残っている。帝釈天は、美術的にみて奈良、京都、日光の建築や仏像ほど有名ではないが、江戸時代の建物がそのまま残っている。その建物の庇(ひさし)には見事な竜の彫刻が施されている。京成電鉄柴又駅の前には寅さんの銅像が建っている。そしてその近辺の狭い路地とは対照的に近くの江戸川の土手に出ると、広々とした風景が広がっている。
                          (2002年1月16日)
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