□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2001/04/02]            【子 育 て 羅 針 盤】                               (第27号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  新学期です。桜の花が春の日差しにまぶしく咲いています。自然のリズムに 乗せられると,なんともすがすがしい心地です。見渡せば周りは人工物だらけ です。閉じた空間に住み着いていると,癒しを求めたくなりますが,それは大 自然に身を任せるということのような気がしてきます。春の風に舞いましょう。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育てtips★              『正面を向いて』                               (第13号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  子どもの大好きな絵本で,正面を向いた,かわいいウサギの絵本をご存じで しょう。ウサコちゃんの絵本を描かれた方がオランダのブルーナさんです。  ブルーナさんの描かれた絵本をご覧になって,あなたもすぐに気がつかれた と思うのですが,どの絵の人物も,動物も全部正面を向いています。当然横向 きであるときも,正面を向いています。  「ブルーナさん,あなたの描かれている絵は,全部正面を向いていますが, これには何かわけがあるのでしょうか」  「吉岡さん,あなたは人と話をなさるとき,どこを見ておられますか」  「相手の顔を見て,話をしたり,聞いたりします」  「そうでしょう。相手の顔を見て話されるでしょう。お互いに顔を見合わせ て,話をしますね。それと同じなのです。私の描いた絵本を子どもが見るとき, 子どもは私の絵本の人物や動物と話をするのです。ですから,子どもと向き合 っていなければ,話ができません。子どもと話し合うためには,いつでも正面 を向いているのです。そうすると,この絵本を見た子どもはいつでも,絵本の 絵と話ができるのです」              「のびのび子育て」:吉岡たすく著・PHP文庫 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★パパ・ママ12章★         『手のかかる 子ども育てて 親育ち』                              《第3-01章》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  幼児には「お年は幾つですか」と尋ねます。  やがて「年長さん?」とか「何年生?」と聞くようになります。  子どもの成長が4月始まりの年度制に切り替わります。  「子育て羅針盤」は3ヶ月を周期として生まれ変わっていきます。  過去半年は「子育ち12章」をお届けしてまいりました。  子どもの育ちを中心に,親としての役割を見てきました。  この号からは「パパ・ママ12章」を主とする第3版に進みます。  子どもを育てるから親になれると考えて,親育ちに目を転じます。  とは言っても,内容がガラリと変わることもありません。  少しだけ親が親として先に育っていなければ,育てられません。  誰も親育てなどしてくれませんから,自分で育つしかありません。  その親としての苦しみをご一緒してみようと思います。  事業畑に「焦らず,慌てず,当てにせず」という指導訓があります。  統率する上の注意事項ですが,一方で指導者自身の安らぎでもあります。  子育ても同じで,親と子が共に無理をしないことが大切です。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問3-01:あなたは,お子さんが邪魔だと思うことはありませんか?】  《「邪魔」という内容について,説明が必要ですね!》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○ゆっくり眠らせて?     子どもが眠っているすきに自分の用事を済ませたいのですが,思い通    りには眠ってくれません。やっと眠ったと思ってそばを離れようとする    と目を覚まします。あやし疲れて添い寝をしているママの方が眠り込ん    でしまったり!     夜は眠りを覚ましてしまう夜泣きに見舞われることもあります。暗い    中に気分転換のおんぶをしたり,あやしたりすることが毎晩続くと,    「どうして?」と腹立たしくなります。その思いがのんびりと寝ている    連れ合いに向かうと,「たまには交代してもいいのでは?」と,怒りに    逸れていきます。     幼子はママの都合などには頓着しません。実のところ,ママを困らせ    ようという気は全くなくて,自分のことで精一杯なだけです。幼子にと    ってはママは自分の一部になっているのです。自分の手足の都合を考え    る人はいませんね。それと同じ状況なのです。だからといって「親をバ    カにしている」と立腹はしないでください。それが自然な育ちですから。    ・・・眠っているときが可愛いというのは,親の覚悟がまだまだです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○忙しいときに?     夕食前の忙しないときに限って,子どもがまつわりついてきます。    「邪魔しないで。あっちでおとなしく遊んでいなさい!」と,つい邪険    に突き放します。火のそばですから危ないという気持ちもあるでしょう    が,パッパと済ませたくて動き回るのに邪魔になりますし,子どもの相    手をする余裕もありません。ママには子どもに構うゆとりが持てません。     ママは忙しいのです。子どももそのことは分かってくれているでしょ    う。ところで,忙という字は「心を亡くす」と書きます。親が多忙であ    るとき,子どもは親から自分に向けられるはずの心が見えなくなるので    不安になります。だから,自分に心を向けて欲しいとちょっかいを出し    てしまいます。     用事が済んでママが暇になり子どもに目を向けると,子どもはママの    そばに寄ってきます。でもすぐにママから離れて一人で遊びはじめます。    ママはゆっくり相手をしてあげる積もりですが,今度はママが突き放さ    れてしまいます。子どもはママの目が自分に向けられていることを知れ    ば安心し,遊びに夢中になれるのです。         ・・・ママは子どもと第二のへその緒でつながっています。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○もう帰らなくちゃ?     勤めに出ているママは,やりかけた仕事が残っても,5時になれば帰    らなくてはなりません。預けた子どもを迎えに行かなくてはなりません。    小学生になれば留守番もできるので,少しは楽になります。でも,遅く    なればやはり子どものことが気がかりです。パパは仕事優先で家庭のこ    とは二の次ですから,どうしてもママが二者択一の辛い選択を背負って    いるのが現状でしょう。     子どもの具合が悪いという時もあります。寝かせて出かける後ろ髪は    仕事先までつながっています。仕事に没頭できない中途半端な気分で一    日を過ごします。仕事を終えて急いで帰るとき,不安が一気にあふれて    きます。いつもの通勤時間が妙に長く感じられることでしょう。     子どもの学校行事などで早引けや欠勤などを余儀なくされて,同僚に    迷惑を掛けたり,仕事の遂行上も不利になることばっかりと思えます。    仕方がないと明るくあきらめるしかありません。勤め先の雰囲気が温か    ければいいのですが,まだまだ少数でしょう。                ・・・ママというのは,損な役回りですね。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○ママのこと好き?     パパはママに「私のこと愛してる?」と聞かれて,どぎまぎします。    そんなこと軽々と口にするものではないと言いたげです。そのしこりが    残っていて,やがて年を重ね熟してきたときに,パパが「愛してるよ」    と言うと,「いまさら何をバカなことを言ってるの!」と軽くあしらわ    れてしまいます。     ママはパパから子どもに矛先を向けます。子どもを抱っこしていると    き,「ママのこと好き?」と迫ります。子どもはパパがいないときなら    あっさり「好き」とご機嫌をとりますが,実のところ「変なことを聞く    ママ」と困っています。     ママはどうして我が子に好かれたいのでしょうか? これだけあなた    のために犠牲を払っているのだから,世話のし甲斐が欲しいのでしょう    か,それとも好かれて当たり前だと自信満々なのでしょうか?     親子は好きという間柄ではないはずです。好きなら嫌いもあり得るこ    とになります。嫌いと言われたら親子の縁は切れるのでしょうか? 子    どもに好かれたいと思うとき,親の心はまだ眠っていることになります。    逆にきょうだいのどちらかだけを好きという親も,親に育つ途上です。               ・・・親とは無心に子どもが可愛いだけです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○週休二日制?     春・夏・冬の休みが来ると,ママの気分はちょっぴり滅入ります。朝    から晩まで面倒を見なければなりません。来年から学校週五日制になり    ます。親の勤めはそうはなっていません。土曜日が問題になります。か    つて土曜日の学校の休みが導入されるとき,全国的に親は揺れました。     休みになると,子どもをどこかに連れて行ってやらなければならない    という世情からの圧迫も親を責めます。海外旅行に家族で出かけるとい    う風情がテレビに登場するたびに,それを横目で見ている情けなさもあ    ります。よそはよそ,うちはうちなのですが。一人なら旅費は何とかな    りますが,家族となると出費はバカになりません。懐との相談は決裂気    味です。     子どもの昼食は親の責任と考えて,毎日学校から連れて帰って家で昼    食を与える国もあります。日本では,給食を止めるとなったら,多分親    は大騒ぎでしょう。大切な子どもの栄養を人任せにして,それを何とも    思わない,かえって助かるとさえ思う親心とは?(ちょっぴり辛口で,    お口に合いかねたらごめんなさい)。            ・・・子どもが家にいない方が,ママは好きですか? ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○夫婦げんかの種?     生まれも育ちも違った二人が縁あって結ばれ,子どもが授かり家族に    なります。阿吽(あうん)の呼吸は微妙にすれ違い,気持ちがかみ合い    ません。つい余計な一言で連れ合いを挑発してしまいます。ゆとりがな    いと売り言葉を買い言葉で迎え撃ちます。そして夫婦げんか!     多くの家庭では,子どものことでママからパパへ仕掛けられるようで    す。「半分はあなたにも責任があるのですから!」とパパの方が守勢に    まわります。そんな両親を見て,「自分がいるばっかりに,パパとママ    はケンカしている」と悲しくなります。「自分はこの幸せな家庭には邪    魔な存在に違いない」と自分を責めます。     いじめられても親にだけはうち明けない子どもは,そのことで平安な    家庭に波風が立つのを恐れています。苦楽を共にするとは良い言葉です    が,実のところ半分しか実行できません。苦の分担が難しいのです。夫    婦でも家族でも,苦を持ち込むことは自分を邪魔な存在にすると同時に,    仲間割れを引き起こすことにつながります。「お前のせいで」というこ    とです。     ・・・こともなげに苦を引き受けられたら,それが家族なのですが? ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《邪魔とは,降りかかる損や苦を拒否する頑なさから生まれます。》  ○「子どもがいるとは思えない若さ」と言われたらうれしいですか? 子ど もを育てるから人は「許す度量」を会得して,一回り大きくなれます。親にと っては子どもはいろんな意味でお荷物です。その荷物を担ぎきるからこそ心の 育ちが可能になります。身体を鍛えるバーベルのようなものです。  親の苦労を子どもから感謝されたいとはじめのうちは思うでしょうが,それ は逆です。親が子どもを育てる機会を得たことを感謝すべきでしょう。嘘だと 思われるなら,ご自身のご両親にお尋ねになってみてください。子どもを育て て分かる親の恩とはそういう喜びへの入場券なのです。  【質問3-01:あなたは,お子さんが邪魔だと思うことはありませんか?】    ●答は?・・・どちらかと言えば,「ノー」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第27号は,いかがでしたか?  新たな12章の始まりです。この第3版では,答が「ノー」になるような課 題を取り上げていきます。切ない親心がともすれば転びそうになることがあり ます。転ぶことから逃げないでください。大事なことは転んだ後でどうフォロ ーするかということです。親心はついカッとなったりムキになったりして,マ イナスに振れることもあります。それでいいのです。親も育っているのですか ら。  今回と次回で,パパとママは「何処で親になるのか?」というテーマを取り 上げます。子どもとの関係を摺り合わせる場面が,親になる道場なのです。  迷いや課題についてのご希望がありましたら,どうぞ気軽に申し出て下さい。 適当な章の中で,ご一緒に考えさせていただきます。 ☆予告☆  次号では,  【質問3-02:あなたは,お子さんの行儀が悪いと思うことはないですか?】 について考えます。お楽しみに! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページ「徒然窓」,      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   には,〜「掲示板」,マガジンの登録解除やバックナンバー   コラム「パパな毎日」,「子育ち12章(Ver.1)」の他に,   「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,   組織活動の指導者用テキストなど〜 を掲載しています。   是非訪ねてみて,積極的にご利用下さい。  ●講演のご依頼も承ります。メールで気軽にお問い合わせ下さい。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp 〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先から解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○