□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2001/06/18]            【子 育 て 羅 針 盤】                               (第38号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  お出かけの時に通る道は,いつもの慣れた道筋ですね。もし別のルートが可 能なら,変えてみませんか。お子さんの学校に出かけるとき,車でお出かけし ていませんか? お子さんは歩いていますよ。できることをしてみようかなと いう思い切りが,やる気です。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育てtips★              『人間不信から』                               (第24号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  よくいわれる登校拒否の問題も,原因はやはり親を根本的に信頼できないと いうことではないだろうか。親を信頼できないから,家を離れるのが不安なの である。自分がいない間に,何か家に大変なことが起きるかもしれないという 不安である。  親が倒れるかもしれない,ものすごい夫婦喧嘩が起きるかもしれない,自分 の生存の拠点が破壊されて自分がいる場所がなくなるかもしれない。そんなた まらない不安が子どもの中にあるのではないだろうか。  それはつまり,自分が心理的にも肉体的にも依存している場所を,信頼でき ないということである。だからそこを空けることができないのである。  どっしりとした信頼感のある人がいる。そのような人を親に持つと,子供は 安心して家を離れ,外で遊ぶことができる。しかし余裕のない,安定感のない 親を持つと,子供はそうすることができない。  こう考えると一見,親への思いやりがある優しい子が登校拒否になりやすい のではないだろうか。彼らは実は,甘えの欲求が満たされていない子供たちな のである。         「人生の悲劇はよい子に始まる」:加藤諦三著・PHP文庫 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★パパ・ママ12章★        『ママはいる? いらないと言う 子の電話』                              《第3-12章》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  会社に勤めているパパにいいことを教えましょう。  ある会社の社長が新入社員に言っていることがあります。  「社長になるには,年間に3冊原著を読め」という言葉です。  「それぐらいだったらできる」と思う新入社員がいたことでしょう。  でも,現実にそれができた社員は一人もいないそうです。  若者はすぐ効果があることでないとやる気がでないようです。  成功の素は,「誰にも出来ることで,誰もやろうとしないこと」です。  やったら出来ることは多いのに,やろうとしないだけで成功を逃します。  成功するには,やれることをただ根気よくやり続けるしかありません。  沖縄水産の裁監督がじれったい思いをしたことがあるそうです。  百メートルを11秒台で走れる俊速選手が盗塁をしないのです。  その選手は,アウトになりそうな気がするといって走りません。  考えすぎて実践行動にブレーキをかけています。  考えることは,できそうなことを見つけることのはずです。  できるかもしれないことを全力で努力する,それだけなのですが・・・。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問3-12:あなたは,お子さんのやる気の無さが気になりませんか?】  《「やる気の無さ」という内容について,説明が必要ですね!》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○決める?     はじめて南極に越冬することを決めた会議のエピソードをご紹介しま    す。初代の越冬隊長は京大の先生,観測隊長は東大の先生でした。越冬    するかどうかの判断をどうするかで会議はもめました。     観測隊長は「すべてのことを調べて越冬可能の結論が出たら越冬しよ    う」という意見でした。それに対して,越冬隊長は「とにかく越冬する    ことに初めから決めておこう」と言います。調べてから決めるという方    法をとると危ないというデータばかり出て,結局やめろという結論にな    るに決まっているということなのです。     まず決める。そうすれば厳寒の中で生き抜けるかが研究の対象になり,    どうすればいいのかという前向きな思考ができるはずです。もちろん,    予想外のことも起こりえます。それを克服するためにあらゆる訓練をす    れば自信がつきます。何かを成し遂げるということは,実現に向けて前    向きに考えることです。           ・・・やる気はあるのではなく,決めて出すものです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○早寝早起き?     暦を見ていてフッと気になることがあります。なぜ日曜日が週末では    ないのかということです。気持ちとしては,一週間の最終日なのです。    もっと細かく言えば,「サザエさん」が始まると週のはじめになります。    曜日は西洋が起源ですが,そこでは働いた一週間の後の安息日であった    はずです。     働いたから休むというリズムです。食事のとらえ方もお腹が空いたか    ら食べるということで,夕食に美味しいものを補給するといった感じで    すね。そのリズムが補給のしすぎに片寄って,肥満の傾向に悩みます。    朝食は軽くといったことになり,どちらかいえば一日中空腹の状態に据    え置かれます。そこでお腹が飢餓状態と錯覚し,余計に栄養をため込ん    でおかなければと蓄える対策をたてます。それが太ることへと悪循環を    招きます。     暦の通りに,日曜日は働く前の休養と考えることもできます。働くた    めに朝食をしっかり取ります。食べた栄養は日中にきれいに消費されま    すので,余分な贅肉の蓄えも必要なくなります。健康上のこともさるこ    とながら,なによりも腹八分に満たされたとき,「さあ,やるぞ」とい    うやる気が湧いてきます。もしもいつもの夕食のように腹一杯まで食べ    込んだら,ぐたっとなってやる気は眠ります。            ・・・早寝早起きの健康リズムがやる気を奏でます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○やる気を奪うために?     子どもからやる気を奪うことは簡単です。ママにその秘訣をこっそり    と教えてあげましょう。「やる気をつぶす10ヵ条」です。     1. 自信・希望を無くされている。     2. 親の価値観を押しつけられている。     3. 爪の垢でもと,比較されている。     4. ハヤク,サッサと,急かされている。     5. 余計なことはしないと,体験を禁止されている。     6. 無視・無関心にされている。     7. 当たり前と,価値を認められていない。     8. 進歩を認められていない。     9. 取り柄を認められていない。     10. 欠点・短所をいつも言い立てられている。     いくつか思い当たることがありませんか? 子どもは育つためにやる    気を出そうとするものです。ですから,やる気の無い子にするためには,    ママがワザワザやる気を奪わなければなりません。続ける自信がありま    すか?        ・・・「しようと思っていたのに!」と言われていませんか? ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○生活のリズム?     カール・ヒルティが「幸福論」の中で上手な仕事について語っていま    す。「何よりも肝心なのは,思い切ってやり始めることである。仕事の    机に座って,心を仕事に向けるという決心が,結局一番難しいことなの    だ。事を伸ばさないこと,また体の調子や気の向かないことなどの口実    をつけず,毎日一定の適当な時間を仕事に捧げることである。」     子どもが塾に通う利点の第一は,一定の時間勉強に向かわせられると    いう縛りがあることです。自分でしようとしても,もう少ししてから,    明日から,疲れたからという逃げ口上が勝ってしまいます。その逃げを    封じるために,塾の時間という約束が有効に働きます。     やる気とはなかなか出てこないものです。好きなことであればやる気    は自然に湧くのに,しんどいことにはやる気が封じられるものです。そ    の壁はやはり周りの人との約束という強い手助けが必要なのです。     だからといって,ママが尻を叩いてもいいということではありません。    子ども自身がしなくてはならないと覚悟することが大事だからです。そ    のためには家族それぞれが生活のリズムを根気よく作っていくことです。    子どもはボクだけ,私だけが追いやられるということを意外に気にする    からです。               ・・・生活のリズムがやる気を生む土壌です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○やる気の挫折?     全国的にIT講習が行われています。生涯学習でもパソコン講習が人    気があります。ところで,皆さんがパソコンを始められた頃,やる気を    出したことでしょう。大方の方は,パソコンのような何か新しくことを    始めようとするとき,まず本を買って来ることから始めるでしょう。     ところがマニュアルというのは読んでも分かりません。はじめてなの    で最初から順に読み解いていきますが,それが迷い道で,やる気が消耗    させられて,ついには断念ということになります。パソコンをマスター    する近道は,メールとか文書づくりとか,何か一つの具体的な仕事を決    めて,それだけができるようにマニュアルの必要なところを拾い読みす    ることです。マニュアルとは読むものではなく,辞書のように引くもの    です。     やってみながら迷い,そこで学び,またやってみる,また迷い,また    学び,・・・。それがやる気を持続するやり方です。マニュアルの通り    にやらされるのではなくて,自分がやることにマニュアルを利用すると    いうスタンスが大事です。     迷いから始まる学びが本当の学び方です。教えられた通りにして間違    えなくできたとしても,それは身に付きません。すぐ忘れてしまいます。    間違えて学んでいけば,自分に必要な学びをしていくので実力になりま    す。やる気とはそういう学び方によって導き出されるものです。            ・・・やる気を持続できる正しい学び方があります。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○できるかも?     ママはお子さんの好き嫌いを治そうとがんばっていませんか? スナ    ック菓子ばかり食べてと愚痴りながら,おやつに買ってきたりしてませ    んか? ニンジンやピーマンなどの緑黄色野菜が苦手ですね。ママは陰    謀をめぐらして,細かく刻んでごまかそうとしたりします。     子どもが気がつかないように細工をして食べさせてしまうのも一計で    すが,米粒ぐらいのものを食べさせてみるという手もあります。自分が    食べたという自覚を持たせるためです。少しだけど食べられたという    「できた感」を利用するのです。     子どものやる気はスモールステップに対して発揮できるものです。ち    ょっとだけならできるかもという気持ちがやる気です。ママの導きは    「よくできたね」とフォローすることであり,その小さな挑戦を何度も,    ゆっくり気長に,易しいことで,繰り返すことです。「昨日は一切れ食    べられたから,今日は二切れ食べなさい」というのは性急さであるとい    うことです。その性急さが嫌いなものを余計にこじらせていきます。                        ・・・ちょっとだけなら! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《やる気の無さは,無理をしようとするから生まれます。》  ○勉強ができる子とは,誤らず迷わぬようになることによって成就するもの ではありません。自分の誤りや迷いを見つけるために課題に取り組み,その解 決を楽しむことのできる子どもです。自分を試すというスタンスがあれば自然 とセンスがよくなるものです。  【質問3-12:あなたは,お子さんのやる気の無さが気になりませんか?】    ●答は?・・・どちらかと言えば,「ノー」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第38号は,いかがでしたか?  この号で第3版の最終である第12章が完結しました。次号の第13章は特 別号として,ほめることと叱ることについて考えてみようと思っています。  7月2日からは,第4版として再出発します。題して「新・子育ち12章」 です。第1版で書いておきました基本をおさらいしながら,書き下ろしてまい ります。どうぞ,お楽しみに。今後とも,ご購読をよろしくお願いいたします。  なお,版が改まるときですので,子育ての仲間の方にもご紹介しやすいかと 思います。共に考えていく話題提供媒体としてご利用ください。  話題について皆様からの疑問や質問を取り上げていこうと思っていますので, たくさんのメールをお待ちしております。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページ「徒然窓」,      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   には,このマガジンの「バックナンバー」,〜「掲示板」や登録解除   コラム「パパな毎日」,「子育ち12章(Ver.1,2)」の他に,   「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,   組織活動の指導者用テキストなど〜 を掲載しています。   是非訪ねてみて,積極的にご利用下さい。  ●PTAや家庭教育学級などでの講演のご依頼も承ります。   メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールは上記のHPを参照してください。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問3-13:あなたは,お子さんのすることが気になりませんか?】 について考えます。お楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先から解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○