□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2001/06/25]            【子 育 て 羅 針 盤】                               (第39号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  子どもを幼稚園や保育所に預けると言います。預けるのは預金というお金, 預かり所へという物品です。子どもをモノ扱いしてしているようなイメージが 漂ってきます。何となく子どもを荷物と思ってしまうような暗示がかかりそう です。  幼稚園や保育所,学校は子どもを預かる施設ではなくて,子どもを親と共同 で育てる第二の家庭です。親はもっとこの第二の家庭とつながりを持たなけれ ばなりません。そのためには,まず子どもが通っている園のことをもっと知っ て,自分の家庭と同じくらい身近な場所と感じる努力が必要ではないかと思い ます。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育てtips★          『かあちゃんもっとはなれてよ』                               (第25号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  かあちゃん ぼく赤ちゃんやないんやよ  3年生にもなったのに  ぼくのほっぺたなでたり  だっこしたがったり  かなわんなあ  そりゃあ ぼくだって  かあちゃんのきもち わかるけど  かあちゃん おもいきって  3メートルはなれてよ  ええわ 1メートルでも  そこから ぼくと話をしてね  そしたら  ぼくは これからしゃんとした  人間になれると思う  なれるまで ぼくもがまんする  かあちゃんも がまん がまん            「子どもと父親・母親」:児童心理選集2・金子書房 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★パパ・ママ12章★        『どうしろと 言うのかママは 叱るだけ』                             《第3-13章》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  皆さんは,自分がよい人だと思いますか?  それとも,自分はわるい人だと思っていますか?  おそらく,格別よい人でもないし,かといってわるい人でもないでしょう。  その皆さんが,子どもにはよい子であってほしいと願っています。  ママとしては,わが子をよい子にするために,しつけをしています。  その手段として,ほめたりしかったりしているはずです。  ほめる・しかるは日常のことなので,それほど迷うことはないでしょう。  でも一度しっかりと,このことについて考えてみませんか?  ほめ方・しかり方を間違えると,逆効果になることもあります。  ママはお子さんをしっかり見守っているはずです。  お子さんのすることがいちいち気になってはいませんか?  それが気に障るということであれば,要注意です。  この特別号では,子どものすることの気にし方を整理しましょう。  その上で,ほめ方・しかり方の5W1Hを考えておきます。  さあ,12章の総復習の始まりです。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問3-13:あなたは,お子さんのすることが気になりませんか?】  《「気になる」という内容について,説明が必要ですね!》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○どこで,ほめる・しかる?     ママがパパを呼ぶと,「ウン」という返事が返ってきます。ママが子    どもを呼ぶと,「ウン」と返事をします。「ウン」じゃないでしょ!     返事は「ハイ」よ。「だって,パパだってウンと言ってるもん」。「パ    パはいいの!」。「どうしてパパはいいの?」。「うるさいわね,この    子は」。     子どもは大人に対しては「ハイ」と返事をするものだという社会性の    しつけですね。たとえ親であっても,大人として対応する訓練です。普    段をいい加減にして,改まったときにだけ急に改まろうとしてもうまく    いきません。正式の返事に慣れておいて,くだけるときにくだけるのは    楽です。成人式で醜態を見せる若者は,自分の社会的な立場をきちんと    しつけられていなかった例です。     子どもに子どもとしての社会的立場に相応しい生活習慣を身につけさ    せることは,子どもに社会的な「居場所」を確保させる意味があります。    子どもと大人の対等な関係を,子どもが大人ぶることであると錯覚させ    ないようにしましょう。幼いときは妙に大人びていると可愛いと許され    ることもありますが,児童になると礼儀を知らない生意気な子と思われ,    社会的な居場所を失うことが現実です。子どもも社会という場で生きて    いくことを気にかけましょう。     大人を相手とする社会性を育てるのは,近所や地域の大人とのつきあ    いです。親とは違って少し改まったつきあい方が必要な場です。よその    大人に「ちゃんと返事ができて,えらいね」とほめてもらえば,子ども    はきちんとすることの意味を実感的に納得できます。でも,お隣さんと    のお付き合いがないと,よその大人の役を親自身が果たさなければなり    ません。親がよほど上手に立場を使い分けないと,子どもは混乱してし    まいます。         ・・・家庭間でほめたり,しかったりすることが自然です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○いつ,ほめる・しかる?     「あなたはいつもそうなんだから」と,ママがパパを問いつめていま    す。子どもは「ボクと同じことを言われている」と思いながら,パパの    様子を見ています。いつもと言われたら,どうせ私はそうですよと,開    き直ってふてくされるしかしようがありません。叱るときは,そのとき    の一つだけを叱ることが基本です。前のことを持ち出されても,どうし    ようもないからです。     叱ったり,ほめたりするタイミングですが,一通りのことが終わって    からにしましょう。もちろん,途中で中止させなければ危ない場合は,    即座に止めさせます。そして,どこが拙かったのか,よかったのか,具    体的に示さなければ意味がありません。「どうしてちゃんとしないの!」    では,何が叱られているのか分かりません。叱るときにはその意味が子    どもに分かったのか,気にしましょう。     コップのジュースをこぼしてしまいました。「どうして余計なことを    するの」と叱りつけながら,ママが一人であたふたと駆け回ってお終い    になっていませんか? まず子どもにさせることは,「早くティッシュ    を持ってきなさい」,「たくさん取ってジュースの上にかぶせて」と,    一緒に後始末をします。その後で,「どうしてこぼしたの?」と一緒に    考えます。コップを持ったまま立ち上がろうとしたので,思わずコップ    を倒してしまったようです。これからは,まず立ってからコップを持つ    ようにしようねと,諭します。            ・・・理由が分かったとき,叱られがいがあります。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○だれを,ほめる・しかる?     まだわけも分からない乳児がティッシュを箱から引っ張り出しておも    しろがっています。ママは気がついて,「ダメ」と大声で叱ります。子    どもはその声にびっくりして止めますが,意味が分からないのでまたテ    ィッシュに手を伸ばします。ママは手の甲を軽くつねります。小さな体    罰ですね。物心つくまではもう一人の子どもはまだ誕生していませんか    ら,動物的な軽い痛みによるしつけも仕方ないでしょう。くれぐれも冷    静に軽くしてくださいね。     もう一人の子どもが誕生する幼児期には,わけを分からせるようにし    なければなりません。叱る相手は身体ではなくて,もう一人の子どもで    す。妹を叩いてしまった男の子を,「あなたはお兄ちゃんなんだから,    幼い妹に手を挙げてはいけません」と自覚を促すようなしかり方がいい    でしょう。ボクはお兄ちゃんなんだともう一人の子どもに気付かせるの    です。     子どもは自分のことを名前で呼ぶ時期がありますね。名前で呼んでい    るのがもう一人の子どもであり,そのときが誕生の時期です。「しんち    ゃん,一人でお留守番できて,えらいね」と名前を言ってやれば,もう    一人のしんちゃんが「しんちゃんはえらい」と自分を信じるようになり    ます。それが自信なのです。ママがほめたり,しかったりすることで,    もう一人の子どもを育てて応援していることになります。              ・・・もう一人の子どもを気にしてくださいね。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○なにを,ほめる・しかる?     私たちの暮らしはいろんな約束事によって成り立っています。数え上    げればきりがありませんが,大きく二つに分けることができます。して    はいけないことと,した方がよいことです。子どもにその二つのことを    はっきりと分けて教える方法が,叱ることとほめることです。     私たちの暮らしはギブアンドテイクのネットワークになっています。    ところが,豊かさの中で個人の欲が解放された現在,テイクアンドギブ    に逆転してしまいました。ものを手に入れたいというテイク優先になっ    たことです。万引き,自転車盗,オヤジ狩りなどの非行をはじめ,わが    ままな言い分はどれもテイクすることです。このテイク優先がものの豊    かさが生み出した社会の影響の実体なのです。     心の豊かさは優しさや思いやりといった形になりますが,その基本は    ギブを優先することです。子どもたちが人付き合いを苦手とする理由は    お互いがテイクしようとするからです。ギブしようとすれば,誰とでも    仲良くなれるはずです。ただ,ものを与えることで人とのつきあいを得    るという意味ではないことはもちろんのことです。ママが子どものする    ことを気にするわけは,ギブかテイクかを見極めたいからではないです    か?          ・・・ギブ行為をほめて,テイク行為をしかりましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○なぜ,ほめる・しかる?     うちの子にはほめる所が無いというママの声が聞こえてきます。でも,    それは少し違います。子どもを育てる場合のほめるとは,先行投資なの    です。ほめることによって,ほめる所を育てあげるのです。「ママ,き    れいだね」と言われたら,「何を考えてるの?」と言いながらも,ちょ    っとはうれしいですよね。そしてやがて,本当にきれいになります(失    礼!:一般論です)。子どもだってほめられたら,いい気分になります。    気持ちが前向きに向かい,伸ばそうという意欲が湧いてくるでしょう。     公園で子どもがふざけて石を投げたら,「危ないでしょ」と厳しく叱    りますね。冗談でもしてはいけないことがあります。叱られるといい気    はしません。ついふてくされてしまいますが,「その態度はなに」と追    い打ちをかけられます。この気分を害することが大事なのです。いけな    いことをすれば気分が良くないという条件反射が,叱るしつけの目標で    す。おもしろがってしていたことが,一転して嫌な気分に落ち込ませる    ことになったという体験が,いけないことへの歯止めになるからです。     よいことは気持ちよく,いけないことは気分が悪く,その結びつきが    大事です。この気持ちのしつけができていないと,屁理屈がまかり通る    ようになります。悪いと分かっているのに他人の自転車を無断借用して    も平気な子どもは,気分が悪くなるという本物のしつけをしてもらって    いない子どもです。         ・・・しつけとは説得ではなくて,気持ちの刷り込みです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○どのように,ほめる・しかる?     どんなことをほめたり叱ったりしますかと尋ねられたら,いけないこ    とをしたらしかり,よいことをしたらほめますとママは答えるでしょう    ね。その通りなのですが,そうでないときもありませんか?     覚えがありませんか? 何もしてないのに叱ることはありませんか。    ママが片づけるように言っていたのに,放置していたら叱りますね。子    どもはしぶしぶ片づけます。そのときママは何も言いません。本当は,    片づけたらほめるべきなのです。叱ってさせるから,ほめることができ    なくなってしまうのです。叱ってしつけることは,子どもに何をしたら    いいのかを見えなくする恐れがあります。     叱られないために片づけをするということでは,しつけではありませ    ん。○○したら叱ったりほめたりするのですが,○○したらとはした後    という意味です。する前に叱るのはルール違反です。子どものした行動    を悪いこととよいことに区分けして評価してやるのが,叱る,ほめるの    しつけです。     ママは言うことを素直に聞く子をよい子,聞かない子をわるい子と思    いがちです。そこでどうしても言うことを聞かせようと叱る方に傾いて    いきます。それが叱ってさせようというしつけになるようです。よく言    われるほめて育てようというアドバイスは,このことを心配して出てき    たのです。           ・・・子どもがしたことをした後で気にかけてください! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《気になるとは,ほめる・しかるのスタートの段階です。》  ○叱るとは悪い芽を摘み取ること,ほめるとはよい芽を育てることです。叱 って育てることは不可能です。子どもたちは叱ることの好きなママを口うるさ いと受け流そうとしています。そうしなければ育てないことを本能的に感じ取 っているからです。そのことがママを余計にいらだたせてしまいます。叱る方 も叱られる方も気分のよいものでありません。ほめればどちらも気分よくなれ ます。明るい家庭とはお互いが気持ちよくなれるものではないでしょうか?  【質問3-13:あなたは,お子さんのすることが気になりませんか?】    ●答は?・・・どちらかと言えば,「ノー」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第39号は,いかがでしたか? とても地味なマ ガジンなので登録されている方は多いとは言えません。でも,お陰様で解除を される方がほとんどおられず,毎週の配信を待っていただいている気持ちがひ しひしと伝わってまいります。  当初は,講演に出かけた後で,私が書いたものがあれば読みたいという言葉 を頂き,皆さんの入手しやすい形で提供しておこうという軽い気持ちでした。 ホームページに掲載する積もりで原稿を書いているときに,書き上げた章毎に 読みたい方がおられたらメールでお届けしようと思い立って,この「子育て羅 針盤」が誕生しました。このようなマガジンが受け入れてもらえるか不安いっ ぱいでしたが,温かな皆さんに支えられてここまで書き続けて来ることができ ました。ありがとうございました。  次号から,「子育て羅針盤」も第4クールになり,「新・子育ち12章」と して装いを改めて継続していきます。子育てには不安がいっぱいです。ママの 不安を少しでも和らげられたらと心から願って,クマさんからのささやかなエ ールを送り続けます。今後とも,よろしくお願いいたします。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページ・・・「徒然窓」=      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   には,マガジンの「バックナンバー」,〜「掲示板」や登録・解除欄,      コラム「パパな毎日」,「子育ち12章(Ver.1,2)」,     「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,      組織活動の指導者用テキスト〜    を掲載しています。   是非訪ねてみて下さい。  ●PTAや家庭教育学級などでの講演のご依頼も承ります。   メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールは上記のHPを参照してください。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問4-01:お子さんはママの傍で安心をしていますか?】 について考えます。お楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先から解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○