□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2001/08/20]            【子 育 て 羅 針 盤】                               (第46号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  車のウインカーの点滅回数は意外なものと結びついています。1分間に70 〜80回に設定されていますが,実はこの数字,人がちょっと緊張したときの 心拍数と同じです。適度な緊張感を醸し出すという意図がこめられています。 ウインカーは早めに出してください。後続車は慌てます。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育てtips★          『おもちゃは不足気味の方がよい』                               (第32号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  外国生活の長い商社マンから聞いた話ですが,日本の親ほど,子どもにオモ チャを与えたがる人種はいないそうです。これにくらべて外国人の親は,クリ スマスや誕生日以外は,めったにおもちゃを買ってやるようなことはしないと いいます。おもちゃを与えすぎると,性格が散漫になり,ものごとに対する集 中力が育たないという理由からだそうです。  たしかにおもちゃを与えられすぎて育った子は,性格が移り気で,あきっぽ いようです。それに,自分で工夫して遊びを考え出すことができません。おも ちゃに遊ばれて身動きがとれなくなってしまっているようです。  子どもの発達段階を考えてみても,おもちゃがなければ遊べないのは,せい ぜい3,4歳くらいまでです。5歳を過ぎると,おもちゃがなくても自分で工 夫して遊べるようになってきます。成長するにつれて,子どもは,親が考えて いるほどにおもちゃを必要としなくなります。  おもちゃは,不足気味であってこそ,子どもは,自分で創意工夫をこらして, 必要なおもちゃを作りだしていくのです。      ・・・「子どもの頭をよくする心理作戦」:多湖 輝著:ごま書房 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★新・子育ち12章★        『ぼくがする かばわれて知る 子の育ち』                              《第4-07章》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ■はじめに  育っているのは何でしょうか?  どんな子に育って欲しいと願っていますか?  親なら,「よい子」に育って欲しいと思いますね。  どんな子がよい子なのでしょう?  素直で明るく元気な子どもですか?  それは今現在の子ども時代に対する願いです。  育ちの目標としての将来像はどうでしょう?  大多数の親が目指すのは,優しく思いやりがあり仲良くできる子どもです。  よい子とは社会生活上でよいことができる子どものようです。  ライバルが転校して成績順位が繰り上がることをほくそ笑んだり,  雨降りにママの車で送り迎えしてもらって優越感に浸ってみたり,  ジコチュウな子どもが増えているのは,どうしてなのでしょうか?  よい子に育って欲しいのに,卑しい子に曲がってしまうのはイヤですね。  子育てプログラムにバグがあるかもしれないと疑ってみましょう。  何を見逃しているのか,子育ちの失われた栄養素探しをしてみましょう。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問4-07:お子さんは,ママに向けて力を出していますか?】  ・・・・・・・「ママに向けて」という内容について,説明が必要ですね! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○大事な言葉?     社会生活の基本は「ギブアンドテイク」ですね。この順序を逆にして    「テイクアンドギブ」にしたら,生き方のバグになります。非行をはじ    め悪さはすべてテイク行為です。お店から品物を無断で「アリガトウ」    とテイクするのが万引きです。見つかったら「お金を払えばいいんでし    ょう」という言い訳は,まさにテイクアンドギブの逆順だから誰にも認    められません。     子どもは親や大人に世話を受けることが多いので,「アリガトウ」と    いう言葉をしっかりとしつけられます。アリガトウとはテイクした際の    言葉です。アリガトウしか知らない子どもは,人からテイクすることし    かできません。頂戴と待っている状態に置かれますので,待てなくなる    と手を出します。     ギブにはドウゾ,テイクにはアリガトウ,そして「ドウゾ」を先に言    うことが大事なのです。狭い道で人と行き交うとき,どちらもアリガト    ウとテイクしようとするとぶつかりケンカになります。ドウゾとギブし    合えば,スムースに運びます。社会性とはドウゾと言えることなのです。     優しさはドウゾ,思いやりはドウゾ,ボランティアはドウゾ,ドウゾ    という一語を使えれば本当のよい子になれます。アリガトウと言える素    直な子どもはバグを抱えているかもしれないので,社会に出たときに人    間関係にフリーズを起こすことがあります。子どもがドウゾと言えるよ    うにしつけるためには,ママがアリガトウを言うようにすればいいので    す。      ・・・子どもの力をママがアリガトウと受け止めてやりましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○心の種まき?     アリガトウという言葉は「有り難い」こと,めったに無いことという    意味ですね。「ワザワザお越し頂いてありがとうございます」と言われ    るように,相手のために「ワザワザ」することです。必ずしもしなくて    はならないことではない余計なことを相手のためにすることが感謝され    る行為になります。     おしめを替えるとき,濡れタオルできれいに拭いてやっていますか?    大人だったら洗いますよね。この小さな日常の心得が見落とされている    ことがあります。拭いてやりながら「ほーら,気持ちいいね」と赤ちゃ    んを喜ばせてやってください。「そんな余計なことまで」と端折らない    でください。余計なことをワザワザしてやることが大切なのです。子ど    もの喜ぶ顔が見たいという親心は,子どもには別の形で温かな心として    受け継がれていきます。     「己の欲するところを人に施せ」という金の道徳律があります。自分    がして欲しいことをワザワザ人にしてあげなさいということですが,そ    のためには自分が何をして欲しいかを知らなければなりません。親から    ワザワザこんなことをしてもらってうれしかった,気持ちよかった,楽    しかったという経験をしていなければ,どんなことをしてやればいいの    か具体的に思いつくことはできません。可愛がってもらった経験がない    と,人を可愛がってあげることができないのです。        ・・・たくさんのアリガトウ体験がドウゾのタネになります。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○仕事の向こうに?     猛暑が続いた年,未曾有の干ばつで水不足になり,独居老人や母子家    庭への給水に機動隊員が出動しました。直前までの別の任務で疲れてい    て休む間もない任務でしたが,若い隊員は黙々と出動していきました。    ところが奉仕活動を終えて帰ってきた隊員の表情は明るく生き生きとし    ていました。     「がんばります。疲れが吹っ飛びました」という声。「どうした。何    があったのか」という問に,「これです」と差し出されたのは新聞紙で    した。そこにマジックでたどたどしく書かれていた字は「アリガトウゴ    ザイマス」でした。     隊員の奉仕活動に,寝たきりの老人が布団からやっと身を乗り出して,    震える手で懸命に書いたカタカナでした。それを持ち上げ感謝の気持ち    を伝えようと何回も何回も頭を下げる姿に,隊員は胸に熱いものがこみ    上げてきたというのです。     隊員は単純に命令された仕事を遂行していただけでしょう。しかし,    その仕事の先には助けを待っている人がいるのです。その人の姿がしっ    かりと意識できたときに,仕事はしなければならないものからしたいも    のへと転化します。なぜなら,仕事に付随するドウゾの喜びに目覚める    からです。      ・・・アリガトウと言われた感動は人を育てる力を持っています。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○ケジメ?     牧場での羊の毛刈りを写した紙面に「すっきり羊さん」と見出しが振    ってあります。読者から無神経な表現とお叱りがあったそうです。「羊    の気持ちになれば毛を刈られて快いはずがない。すっきりしたと思うの    は人間の身勝手」というわけです。そうかもしれませんね。     子どもに身につけて欲しいことの一つは,善悪のケジメです。悪につ    いては「○○するな」という禁止を,善については「○○した方がよい」    という勧奨をします。たくさんの日常的な行為についていちいちルール    ブックを紐解くように判別することは現実的ではありません。知識とし    ての善悪ではなくて,普段の暮らしの中で自然に身につけていくべきこ    とです。     子どもはパパやママにいろんなことを仕掛けてきます。パパに「ダメ」    と言われて,してはいけないことと分かります。ママに「アリガトウ」    と言われて,した方がよいことと納得できます。羊さんの気持ちは分か    りませんが,親であれば人の気持ちは分かります。子どもの行為が人に    どんな風に受け止められるか,きちんとケジメを教えてやることがしつ    けです。     悪いことはパパに叱られたこと,よいことはママに感謝されたこと,    そして自分の行為は相手によって評価されるものだということを学びま    す。子どもの能力はまず親に試してみることで選別されていなければな    らないのです。このチェックがされていないと,他人に対してケジメの    ない行動をしでかすことになります。             ・・・ママは生きたルールブックになりましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○残された環境?     人は環境から学ぶものです。土地っ子とか,○○育ちとか,○○県人    といった気質を備えます。暮らしの環境の中で自分のありようをごく自    然に身につけていきます。子どもの集団について見ておきましょう。     まずきょうだい関係です。少子化の中で兄や姉がいなくなりました。    お兄ちゃんらしさやお姉ちゃんらしさが育ちません。ですから子ども同    士でかばうことができずに,いじめに歯止めが掛からなくなりました。    きょうだいが多い時代は兄や姉が育っていたので,「いい加減に止めろ」    という自制が生きていました。看護婦さんや先生など,人の面倒をみる    職業に就くのは兄や姉である人に多いそうですが,納得できますね。     友だち関係でも,今は同年代の友だちとしかつきあっていません。ド    ングリの背比べですから競うことに気をそがれ,相手に力を貸そうとい    う殊勝さは発揮しようがないでしょう。大人に言われても,「何で自分    がしなければ」と逃げようとします。ガキ大将集団という年齢の縦のつ    ながりでは,上級生は下級生の面倒をみる立場に置かれるので,言われ    なくても自然に構ってやるようになります。その構うという行為によっ    て「ドウゾ」を覚えます。     子どもにドウゾを教えていた自然環境がすっかり洗い流されてしまっ    ています。子どもの学び環境破壊も起こっていることに気がつきましょ    う。残された唯一の環境はママとの関係です。ママにお願いしたいこと    は,子どもがママを助けるために力を貸そうとするようにし向けること,    意識的に弱いママになってみせることです。ママが「助かった。アリガ    トウ」と言ったときの,子どものうれしそうな目,得意そうな表情,自    信に満ちた態度を忘れないでください。       ・・・ママの弱さに気がついたとき,子どもはグンと育ちます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○ママがうれしい?     5年生の男の子が「今日,いいことをしたのにおもしろくなかったよ」    と,口をとがらせました。バスの中でおじいさんに席を譲ったのですが,    何も言わないで座ったのでがっかりしたそうです。しばらくして空いた    席に座ると,そのおじいさんが後ろからトントンと頭を叩いて,「あそ    こにいるおばあさんにも座らせてやりなさい」。そのおばあさんもお礼    を言わなかったそうです。     この男の子のママだったらどう言ってやりますか? 「席を譲ってや    って損したわね! 余計なことはしない方がいいわよ」とは言いません    ね。「おじいさんもお礼ぐらい言えばいいのにね」と一緒に愚痴ります    か? それとも「子どもがお年寄りに席を譲るのは当たり前なのよ」と    指導しますか? どれも落ち着かないですね。こう言ってあげませんか。    「アリガトウ!」,「どうしてママがアリガトウって言うの?」,「あ    なたがいいことをしてくれたから,ママはとってもうれしいからよ」。     非行少年が収容施設の職員に「今まで誰にもありがとうと言ってもら    ったことがなかった」と語るそうです。ドウゾという行為ができるよう    な子どもであったら,非行はしません。そのためには,子どものそばに    アリガトウと言ってやれる人がいなければなりません。その人はママで    す。      ・・・ママの懐が温かいのは,何でも受け入れてくれるからです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《ママに向けてとは,アリガトウと受け止めてあげるためです。》 ※学校や講演などで「夏休みには子どもにお手伝いをさせてください」と言わ れませんでしたか? お手伝いをさせるという言い方に惑わされないでくださ い。させる手伝いは,子どもがしても親は当たり前と思いますし,している子 どもも張り合いがないばかりか,させられるという苦になります。「お手伝い をしてもらう」という気持ちを持ってください。そうすれば,ママはお手伝い してくれてアリガトウと言えますし,子どももママの役に立ったと手伝った甲 斐があり,すすんでやろうとします。  【質問4-07:お子さんは,ママに向けて力を出していますか?】    ●答は?・・・どちらかと言えば,「イエス」ですよね!? □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第46号は,いかがでしたか?  このメルマガは長いですね。書いていてそう思いますので,読んで頂いてい る方はなおさらでしょう。お付き合いくださってありがとうございます。  一つだけ著者の思いを述べさせて頂きます。それは全文すべてを受け取って 頂きたいと欲張ってはいないということです。お伝えしたいことは単純なこと であり,それがここにもあります,あそこにもありますと示すことで,皆様の 最も身近に感じられる部分だけを受け取っていただければと願っています。  どこかの「一行」が皆様の今求めているものに近づけたら,そう思ってあれ これと行を重ねています。お気に召すものだけを・・・。       ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■        子育て羅針盤編:『子どもの権利12条』          第1条 安心して生きる権利           第2章 存在が歓迎される権利          第3章 正しい言葉を話す権利          第4章 共感が保証される権利          第5章 自分が決定する権利           第6章 人格が信頼される権利          第7章 能力を発揮する権利        ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページ・・・「徒然窓」=      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear/   には,マガジンの「バックナンバー」,〜「掲示板」や登録・解除欄,      コラム「パパな毎日」,「子育ち12章(Ver.1,2,3)」,     「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,      組織活動の指導者用テキスト〜    を掲載しています。   是非訪ねてみて下さい。  ●PTAや家庭教育学級などでの講演のご依頼も承ります。   メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールは上記のHPを参照してください。   なお,クマさんの本拠は福岡市近郊です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問4-08:あなたは,お子さんに魅力を示していますか?】 について考えます。お楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  〇転載許可:必ず事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先から解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○