□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2003/09/01]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第152号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  人に好かれたいなら,自分を忘れよ。                         ・・・・・オウディウス  子どもに好かれたいなら,自分を忘れよ。  あなたのためという偽善は,子どもに見透かされている。                      ・・・・・H.モリのクマさん ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★ママの?★               『静止衛星?』                               (第09号) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  毎朝,天気予報を参考に出かける用意をする人が多いでしょう。画面には 「ひまわり」から見た雲の映像が映し出されます。最も,今はアメリカの衛星 に代わっていますが。いずれにしても,いつも同じ場所から見下ろした画像で す。何も考えなければどうということもありませんが,ちょっと不思議なので す。  子どもが理科の授業で「地球は回っている」と学習します。一つの知識です が,それを知恵にするためには,自分の身に重ねてみなければなりません。よ そ事のままで据え置くと,それがただ「知ってる」という知識に過ぎません。 自分が住んでいるこの場所は回転している,日本が動いていると想像できると きに知恵になります。  さて,日本は回っているのに,上空から日本を見ている衛星はどうなんでし ょう? 静止衛星という文字通りに上空の一点に止まっているとしたら,日本 は回っていって見えなくなるはずです。いつも日本の上空にいるためには,衛 星も一緒について回る必要があります。静止衛星は動いていますが,地上から 見ると止まっているように見えるということなのです。  駅のホームで恋人を見送る男性が列車と一緒に走るとき,顔を見合わせ続け られるという状況と同じです。では,衛星が走っているホームはどこにあるの でしょう? 赤道の上空36000キロメートルに描かれる円周軌道です。こ の高さにあって,24時間で一周する速さの衛星は,いつまでも回り続けるこ とができます。速さが地球上の日本と同じですから,いつも同じ場所にいるよ うに見えることになります。  毎日同じ生活パターンで止まっているように見えても,実はそれぞれがペー スを同じくして走っているのと同じです。立ち止まれば,あっけなく置いてき ぼりになります。それが怖くて走り続ける,パパの苦労もそこにあります。も ちろんママも。子どもだって。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★ボクの育ち12章★          『楽しみは 愛しい人を 待つ夕べ』                             《第12-09講》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ■つれづれ・・・  不登校の児童生徒数が減ったという報道がありました。少子化の傾向と相関 している部分もあるでしょう。多くの論調は,アフターケアの充実が効果を上 げてきたと指摘しています。それは対処療法であるということを留意しておか なければなりません。子どもを不登校に追いつめている要因の除去が進んでい ることではないのです。例えば,風邪を引いた子どもの治療が進んだというこ とで安心してはいけないということです。  大事なことは,風邪を引かないように耐性を持たせることです。予防に力を 向けなければ,後手に回ります。不登校で耐性を持たせるということは,学校 生活に適応できる能力を育てるということになります。人付き合いに対する我 慢を中心とした能力です。ところで,この流れの上にあるのが,不登校は子ど もが脆弱であるからという視点につながります。無理にでも行かせようとする 強制が正解であるという判定です。これは正しくないというのが,今の動向で す。  どこが間違えているのか明らかにしておかなければなりません。原因と結果 を逆にしてはいけないということです。学校生活になじめる子どもは不登校に なりません。ですから,あくまでも予防としての人付き合いの訓練は大事なの です。それはいいのですが,不登校になった子どもは,無理矢理登校させても 学校生活になじめるようにはならないのです。逆は真ではないということに気 付いてください。  もう一つ大きな要因を押さえておくべきです。それは風邪を引かせない環境 にするということ,つまり,不登校を産み出す要因です。乱暴にいえば,旧来 の学校というシステム形態が今の子どもに適合できなくなっているということ です。多くの子どもを教室に座らせて一斉に教えるという形が,今の子どもた ちの生体リズムに合わなくなっているということです。  例えば,家でテレビを見るとき,おとなしく一時間座って集中しているでし ょうか? テレビの前では自分勝手におしゃべりしながら横目で見ていますし, またCFで気分をズタズタに分断されることに慣れている子どもが,授業時間 の緊張を維持できるはずもありません。学校環境が時代の変化に追随していな いという要因に注目しなければ,不登校の抜本的な解決はできません。土曜日 に子どもを学校から解放したことによって,新しいスタイルの誕生が期待され ているのです。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問12-09:ママ,あのね。ママはボクの楽しみを感じてる?】 ・・・・・「楽しみを感じてる」という意味を分かってあげましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○ボクのせい?     妹が熱を出したときのことです。小児病棟の待合室に座っていると,    あえいでいる妹と心配顔のママの切羽詰まった空気が伝わってきました。    「まだかな,はやく呼ばれないかな」,ママはボクに言うともなしにつ    ぶやいています。そんなママのそばでボクもじっと待っていると,妹の    ことが気になってきました。     元気なときの妹は,ボクに突っかかってくることもあってやんちゃで    す。つい邪険にすると「お兄ちゃんがいじめた」とママにご注進。やっ    かいです。でもママに抱かれてぐったりしている妹を見ていると,もう    邪険にはしないから,はやくよくなってと思ってしまいます。     診察と治療が終わって,落ち着いた様子で眠っている妹の側で,ママ    は力が抜けたようにホッとして妹を見つめています。妹が病気になった    のはボクのせいかな,もういじめないからと思っているボクは,どうし    てそんなことを思ったのだろう? 元気になったら一緒に遊ぼう。そん    な風に思ったら,なんだか妹がよくなるような気がしてきました。     あのね,ママ。ボクはね,妹がはやくよくなって今までどおりに仲良    く遊べたらいいなって思っているんだ。ほんとだよ。なんだか分からな    いけど,一緒に走り回れることが楽しみになっているんだ。ボクが妹の    ためにしてやれることはそれしかないんだもの。     妹がボクを困らせるとき,「妹なんて要らない,どこかにいってしま    えばいいのに」と思ったことがあるけど,でも,ボクがそう思ったため    に妹がどこに連れて行かれると,嫌だ。ボクを追いかけてくる妹の笑顔    が大好きなんだ。はやくよくなろうね。お兄ちゃんが待っているから。 ・・・《心配を慰める唯一の手段は楽しさにつながる扉を見つけることです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○後の楽しみ?     今度の日曜日にはレジャーランドに連れて行ってくれると言ったよね。    絶対だよ,パパとちゃんと約束したんだからね。何をして遊ぼうかな,    いろいろ考えていると楽しくなっちゃう。あといくつ寝たらいいのかな。    はやく日曜日が来ないかな。     日曜日の楽しみがあると,まだ先のことなのにどうしてこんなにワク    ワクするのかなあ。今日だって,楽しく過ごせちゃったよ。暑くてもへ    っちゃら。だって暑いなんて言ってたら,お出かけできないもん。ママ    がどうしちゃったのとあきれているけど,がんばっちゃう自分がいるみ    たい。     「今日の夕ご飯,ハンバーグが食べたいな」。いつもならママが「何    が食べたい」と尋ねるけど,時々ボクの方からリクエストすることがあ    る。「まだ朝ご飯が済んだばかりなのに,もう夕食のこと?」って,マ    マは呆れてしまう。「じゃあ,明日してあげる」という返事があると,    「今日じゃなくては嫌だ」。     あのね,ママ。献立はママの都合で決まるかもしれないけど,ボクに    も都合があるんだよ。今日はハンバーグでなくてはいけないんだ。今日    は学校でちょっぴり嫌なことが待っていて,あまり行きたくない気分な    んだ。でも,帰ったら大好きなハンバーグを食べられるという楽しみが    できたら,嫌なことも何となく忘れられそうな気がするんだ。     今日の嫌な気持ちを上塗りするには,楽しみを持ち出さなくてはいけ    ないんだ。後の楽しみがあれば,嫌なことも我慢できるから。明日じゃ    だめ,今日じゃなくては。自分だけでは楽しみを作れないから,ママ手    伝って。我慢したらいいことがある,そう思いたいんだけど。       ・・・《我慢は後の楽しみが約束されていれば可能になります》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○大人になりたい?     どこかに連れてって。パパにねだっていたら,「よーし」と言って,    バスに乗って山に連れて行かれました。木陰をぬって登っていくと,や    がて清流の音が聞こえてきました。流れの側にある大きな岩の上に座っ    ていると,冷たい水しぶきがかかります。パパと一緒にしばらく流れを    見ていたけど,飽きてきました。     「どこに行くの?」。「ここだよ」。「何もないよ。遊ぶところがな    いからつまんない」。「何もないな」。「どうするの?」。「どうしよ    うか?」。パパは何もせずに流れを見ているだけです。ボクは退屈して,    流れが緩やかになっている瀬に降りてみました。パパもついてきました。     流れに手を浸けるとヒヤリとしました。突然パパが「そこの石を裏返    してみろ」と指を差しました。片手で動かそうとしたけど動かないので,    両手でごろんとひっくりかえてみました。水が濁りましたがすぐに澄ん    できました。石があったところに何かが動いています。「カニ!」。    「爪が赤いよ」。カニはススーと近くの岩陰に入っていきました。     あのね,ママ。パパと川に行ったら面白かったよ。何もないように見    えた所に,パパはいっぱいいろんなものを見つけて,ボクに見せてくれ    た。川って水が流れているところと思っていたけど,違うことを知って    ビックリしちゃった。カニやお魚がいて。それから水の中にもいろんな    虫がいたんだよ。     パパに教えてもらったけど,忘れちゃった。パパは何でもよく知って    るからすごいよ。ボクもパパみたいになりたいな。なれるかな。大人っ    てみんなパパみたいに,何でも知ってるんだろうか。ボクもはやく大人    になりたいな。     ・・・《子どもにとって最大の楽しみは,親みたいになることです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《楽しみを感じてるとは,明日を待ちわびることです。》 ※明日がないと人は生きられません。明日があれば人は幸せな気持ちになれま す。楽しみとは過去にはなくて,必ず明日にあります。子どもたちは明日の楽 しみを見つけられなくなっています。楽しいのはゲームをしているときという のは,今日の享楽に溺れているだけで,本当の楽しさではありません。  何か面白いことないかな,そういいながら自分で探そうとしていません。お 金で買える楽しさとは,所詮借り物の一時的なものです。自分の感性とつなが った手作りの楽しさでなければ,生きる力に転換することはありません。明日 への期待,そういう楽しみをたくさん与えてやってください。  【質問12-09:ママ,あのね。ママはボクの楽しみを感じてる?】    ●答は?・・・もちろん,「イエス」ですよね! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第152号は,いかがでしたか?  暑さ寒さも彼岸まで。その言葉どおりに,暑い日はもう少し居残りそうです。 夏バテされないように,充分に休養をお取り下さい。のんびりしている暇はな いとお叱りを受けそうですが,でもやはり,どこか少し手抜きをしてください ね。母という時は,添い寝をしている乳房を型取った字ですから。  ネットの世界もウィルスが蔓延って,おそるおそる接続しなければなりませ ん。まき散らして面白がっている輩にお灸を据えてやりたいですね。ワクチン を頻繁にダウンロードしなければならず面倒ですが,皆さんも充分お気を付け 下さい。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内※  ●モリのクマさんのホームページは ・・・「徒然窓」=      http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear   です。「子育て羅針盤」の「バックナンバー」,〜「掲示板」,     週刊「今週のコラム」,「子育ち12章(Ver.1〜10)」,     「子育て心温計」などの受賞論文,養育アンケート調査結果,     社会教育・ボランティア組織活動の指導者用テキスト〜    などを掲載しています。 ・・・是非訪ねてみて下さい。・・・  ●大小問わずPTAや家庭教育学級などでの《講演》のご依頼も承ります。   関心をお持ちの方は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールをお知りになりたい方は上記のHPを参照してください。   なお,クマさんの本拠地は福岡市近郊です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問12-10:ママ,あのね。ママはワタシに夢をくれてる?】 について考えます。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ○著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp  ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行うこと  はできません。事前に,モリのクマさんまでメールのご一報を下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html  ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○