□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2003/12/15]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第167号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□  人は思っているほど不幸でもなければ,期待したほど幸福でもない。                      ・・・・・ラ・ロシュフーコー  子は思っているほど愚かでもなければ,期待したほど俊才でもない。  親という眼鏡がわが子の姿を過小か過大かに歪ませるからである。                      ・・・・・H.モリのクマさん ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★知ってましたか?★             『折り込みチラシ?』 -----------------------------------------------------------------  若い方は新聞を購読していないそうですが,皆さんはどうですか? 新聞よ りテレビの方が早いし,楽だからだそうです。ところで新聞には折り込み広告 がわんさか付け足されてきます。スーパーの安売り広告などは,大いに参考に なさっておられることでしょう。居ながらにして,見るだけショッピングもで きます。  折り込み広告について調べてみました。折り込み広告は,一世帯が年間に6 千枚以上受け取っている計算になるそうです。この仕組みは世界的に見ると, アメリカ,韓国,香港,台湾といった国で発達しています。ヨーロッパでは, 一部を除いて新聞を配達する仕組み自体がないので,チラシはありません。  はじめてチラシが登場したのは,江戸時代です。1683年に,日本橋駿河 町の呉服商・越後屋(現三越)が開店のときに配ったチラシが最古のものと言 われています。もちろん新聞の配達はありませんでした。その後,広告媒体に なったのが「引札」で,これが折り込みチラシの原型になりました。明治維新 以後,1870年(明治3年)には「横浜日々新聞」が創刊され,次々と創刊 ラッシュに入ります。最初に引札と新聞を組み合わせたのは1872年創刊し た「東京日々新聞」でした。  大正後期には折り込みチラシ専門の広告会社が二社誕生しました。戦中には 廃れましたが,戦後の復興期からすぐに折り込みチラシは復活,高度成長時代 を支えてきました。30代以上の女性には日頃接している媒体としてダントツ の一位だそうです。少しでも安いものをという気持ちに十分に応えているから でしょう。  かつてチラシは片面印刷でした。受験勉強の際に計算紙として大いにお世話 になりました。資質がよいので,重宝したことを思い出します。最近は両面印 刷になって,使えなくなっています。ただしカラフルなものなので,小さく切 って紙細工の材料にしている向きもあるようです。 ・・・・・参照=「日本人の素朴な大疑問」:ハイパープレス(PHP文庫) ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12指針★         『育てたい 七つ転んで 八起きの子』                             《第13-11講》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ■つれづれ・・・  いわゆる頭の良し悪しは,脳の働きと関わっているはずです。脳とはどのよ うな機能を持っているのでしょうか? 部位ごとの機能が判明しているので, 簡単におさらいをしておきます。知れば何かの参考になるでしょう。  奥の方にある脳は遅れた脳で,食欲などの生物本能が納められており,動物 と共通しています。前頭葉は新しい脳で高級な働きを受け持っています。人そ れぞれの体験により個性化していき,心と呼ばれるものができていきます。刺 激が入ると特有のニューラルネットワーク(神経網)が形成されるのです。一 端それが出来上がると,同じ体験は似た反応をするようになります。体験が不 足すると,心ができず,欲望があからさまに発動するようになります。  左脳は論理的な働きを受け持ち,言葉という道具によって情報化された体験 を整理し編集します。右脳は情報の統合や組み合わせをしながら発想を受け持 ちます。もちろん左右の脳は一体となって働かなければそれぞれの機能は達成 できません。  だからどうしたのと思われることでしょう。もう少し引き寄せておきましょ う。体験という刺激が生理的な反応をもたらし,神経が伸びて回路がつながっ ていきます。回路として記録されるわけです。それを意識の上に引き出すため に言葉が関連づけられるのです。言葉が回路のスイッチであると思ってくださ い。  体験が大事だというのは,その刺激がなければ回路が組み上がらないからで す。体験は設計図のようなものです。さらに,その体験回路を働かせるために 言葉というスイッチをつけておかなければなりません。ものごとをど忘れした とき,言葉が出てこないはずです。赤い色と聞けば,赤い色を見た体験回路が 作動し,赤い色が思い浮かんでくるのです。頭の良し悪しは,体験と言葉のマ ッチングの良し悪しということになります。全ての教科の基礎が国語といわれ る理由がこのことです。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  【質問13-11:お子さんは,やり直ししようとしてはいませんか?】         ・・・・・「やり直しする」という意味を理解しましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○《指針6−1》どのように育つ!     飽きもしないでという言葉は,子どもに向けて使われます。同じこと    を繰り返し続けます。反復練習することで,筋肉の使い方をプログラム    として書きこんでいます。取りあえずできるというだけではなくて,い    つでも同じようにできることが確認されるまで繰り返します。     初めのうちはぎごちない動きですが,繰り返していると上手になって    きます。プログラムがバージョンアップするからです。もちろん,たく    さんの失敗もします。その失敗の仕方が大事です。数度は同じようにや    ってみますが,うまくいきません。もう一人の自分がどうしてかなと考    えます。考えるという行為は失敗したときに発揮されるものだというこ    とを知っておいてください。     考えるという行為には,一つのパターンがあります。同じようなこと    がほかにないかと探すことです。そのためには,失敗した状況を順を追    って再確認しておかなければなりません。同じようなことをしたことが    あるとか,ママがしていたやり方を思い出したり,友だちの行為を見な    がら,自分のやり方と比べると,もう一人の自分はここが違うという所    を見つけます。ここを変えればいいんだと気づきます。真似をしてやっ    てみます。まねることがまねぶに,やがてまなぶに変化したのです。     育ちとは自前でしかできないものです。たとえ親でも代わってやるこ    とはできません。だとすれば,全てのことを自分で自分の身体に刻み込    まなければなりません。その営みが学ぶということです。失敗して考え    て手本を見つけて真似してやってみる,この一連のプロセスが学びであ    り,育ちの基本ステップなのです。     初めての場所を訪れるとき,行きの道は緊張して疲れますが,帰りの    道は気が楽で行きよりも近く感じるものです。一度辿った道は経験済み    であり,全体が見渡せると同時に,先がどうなるか分かっているからで    す。自転車に乗った経験は,しばらくぶりであっても,きちんと残って    いるものです。このしたことがあるという体験こそが学習による育ちな    のです。  ・・・《もう一人の子どもは,失敗から学びながら自分を育てていきます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○親の我慢?     大人になって失敗すると傷も大きいですが,子どもの失敗はたかがし    れています。このたかがしれているという点を外さないように気をつけ    てください。中部地方のあるマンションの6階に住んでいた6年生にな    る男児が,冬休みの書き初めの宿題をやっていました。うっかりして墨    を机からこぼしてしまいました。床には絨毯が敷いてあったので,墨は    吸い込まれていきます。     男児は慌ててティッシュを抜き取り墨を吸い取ろうとしましたが,べ    っとりと墨が残ってしまったのです。不始末を気にした結果,男児は    「墨をこぼしてしまいました。ごめんなさい」と習字紙に書いてベラン    ダから飛び降りていきました。命と引き替えに詫びたのです。     絨毯に墨をこぼしたぐらいでと,気の毒に思われるでしょう。でも,    普段からそう思っていたでしょうか。コップを落として割ったら,きつ    く叱ってはいませんか? 何も起こらない平穏な暮らしの中では,些細    なしくじりも大きく思えてしまうものです。そのまま子どもにぶつけて    いたら,子どもはとんでもないことをしたと小さな胸一杯で受け止めて    しまいます。命と同じくらいに・・・。     しくじったら反省させる意味で叱ります。その親の気持ちは分かりま    すが,怖がらせてはやりすぎです。これくらい大したことではないとど    んと構えておかないと,子どもを追いつめてしまいます。子どもの心を    読み取れる細心さの陰に大きな鈍感さを持つことが母の懐の深さになり    ます。難しいことかもしれませんががんばってくださいね。     しくじったら,もう二度としてはいけませんと禁止してはいませんか?    こうしてもう一度やってごらんと教えてやり直しさせてください。しく    じったことは子どもがすでに反省しています。親がやるべきことは,二    度と同じしくじりをしないように導いてやることです。間違いを正すこ    とが叱るということの中味です。やってしまったことは仕方がないとあ    っさりと諦めてしまえばいいでしょう。     ・・・《しくじりを吸い取ってやれば,子どもはノビノビと育ちます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○修業?     子どもは余計なことをします。結果はかえって手が掛かってしまいま    す。子どもはつまらないことをします。役にも立たないようなことにの    めり込みます。それほどの熱心さで勉強にも取り組んでくれたら・・・。    くだらないこと,愚にもつかないこと,何が面白いのか不可解なこと。    かつては自分もしてきたはずなのに?     何をやっても永続きしない,根気がない,やる気がない。親の目はど    んな物差しで子どもを見計らっているのでしょう。洋服ならおそらくダ    ブダブの大きさになる期待値を被せようとしています。洋服なら大きい    とすぐに気がつきます。間違っているのは洋服の寸法だと考えます。と    ころが,することなすことに対する期待値は,合わないのは子どもがわ    るいと考えます。     お正月の決心,新入社員の決意,今年度の抱負,結婚式の約束・・・。    どれもこれもとっくの昔に反古にされていきます。期待値に合わないの    は嫌というほど身をもって分かっているはずなのに,同じことを子ども    に押し付けていることに気がつかないことがあります。育ちというもの    をなんとなく機械の動きと同じで一直線と思ってしまっていませんか?     藤村の初恋。リンゴ畑の木の下に 自ずからなる細道は 誰が踏みそ    めし形見ぞと 問いたもうこそうれしけれ。未開の原野に踏み込んで何    度も何度も自分の足で踏み固めるから,細い道が刻まれていきます。育    ちとは,ブルドーザーでガァーッと切り開くようなものではありません。    いつまで同じことばかりしているの,と言いたくなるほどゆっくりと進    むものです。     あれこれのことをやっては止め,思い出したようにまたやり直してみ    るということを繰り返しているはずです。前はできなかったのに,今度    はできる。その間の寄り道が力をつける修業であったのです。一つのこ    とを身につける修業のプロセスを考えてみれば分かって頂けるでしょう    か。       ・・・《やり直しができることは,確実な前進をもたらします》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《やり直しするとは,自分を制御する能力への王道です。》 ※やり直しをしなければならない事態に陥ったとき,「一から出直し」と言い ます。なんとなく見過ごしているはずですが,「一から」という点に着目して ください。ゼロからの出直しではありません。その一とは自分という人間の全 て,人生の体験の全てです。それは決してなくなるものではないからです。  ところで,子どもはゼロから始めています。0から1までの間は全て初体験 です。一度や二度で身に付くはずもありません。やり直しによってやっと1ま でたどり着きます。親は5でないと気に入らないようですが,1から5までは 0から1までの苦労に比べれば実はとても簡単なのです。焦りはペースを乱す だけです。  【質問13-11:お子さんは,やり直ししようとしてはいませんか?】    ●お答は?・・・なるべく適えるようにしていますよね! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  お届けした「子育て羅針盤」第167号は,いかがでしたか?  第13版もあと2つの号を残すことになりました。新年からの第14版はモ デルチェンジをしてみようかと思っております。感じとしてはもう少しライト なものにするつもりです。また,皆様からのご質問やご意見などをお寄せ頂け れば,マガジン上でご一緒に考えてみたいと願っております。ドウゾ,気軽に アクセスしてみてください。   ・・・・・・・ mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ・・・・・・・  パブジン配信でご購読の方には,パブジンが来年2月で配信業務中止のため, 今年いっぱいで子育て羅針盤の配信を打ち切らざるを得ません。ご面倒ですが, 配信先の移転手続をよろしくお願いいたします。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ※ご案内です※  ●モリのクマさんのホームページは ・・・   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear です。   ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・    「子育て羅針盤バックナンバー」,週刊「今週のコラム」,    「子育ち12章(Ver.1〜12)」,「子育て心温計」などの受賞論文,    養育アンケート調査,社会教育・ボランティア活動の指導者テキスト   などを掲載しています。 ・・・是非訪ねてみて下さい。・・・  ●PTAや家庭教育学級などでの《講演》のご依頼も承ります。   関心をお持ちの方は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。   プロフィールをお知りになりたい方は上記のHPを参照してください。   なお,クマさんの本拠地は福岡市近郊です。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,  【質問13-12:お子さんは,なんとかしようとしてはいませんか?】 について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ○タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ○発行期日:2000年09月25日より,毎週月曜日正午 〇発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに) ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行うこと  はできません。事前に,下記アドレスまでメールのご一報を下さい。      mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 〇配信の協力を頂いている発行支援システム  ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/    登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm  ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/    登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/  ◆読者と発行者を結ぶ架け橋『Pubzine』= http://www.pubzine.com/    登録・解除= http://www.pubzine.com/detail.asp?id=9104  ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/    登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○