□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2004/04/12]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第184号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■               『食生活?』  西日本新聞が3月の紙上に「食卓の向こう側」というシリーズ記事を掲載し ていました。その記事の中からいくつかをご紹介しておきましょう。一個二十 円のコロッケがあります。普通に手づくりをすると一個百三十円が採算ベース だそうです。どうして安いのか,わけがあります。骨についている端肉に大豆 蛋白で増量,風味は香料で補い,加工でんぷんで歯触りを,粘りは結着剤で, その他乳化剤,酸化防止剤,着色料,保存料,調味料など,手づくりには入ら ないものが混ぜ込まれているそうです。ある食品加工工場長が,「おれんとこ のは食べるなよ」と忠告するということです。  2年前に養豚農家で,母豚のお産が死産の連続になりました。奇形だったり 虚弱体質で死んだりし,透明な羊水がコーヒー色に濁っていました。農場主は エサの影響と直感したそうです。賞味期限の切れたコンビニ弁当やおにぎりを 母豚に与えていたのです。有料で処理するより無料で豚のエサにした方が得と 踏んだ業者が持ち込んできたものです。えさ代も月二十万円が浮きました。豚 の妊娠期間百十四日後に,結果が出たのです。穀物などの元のエサに戻して, 正常に戻ったそうです。  アレルギー疾患の理由は半分が環境で,特に食生活の影響が大きいそうです。 肉や卵,牛乳は毎日,油炒めも多いといったタンパク質や脂質の過食があると, 身体ががんばってもアミノ酸まで分解できず,利用できない物質が残ってしま います。運動不足で燃焼しきれない脂質もたまり,体内のヘドロになります。 これが皮膚から排泄されると,アトピー性皮膚炎,気道に排泄されると気管支 喘息やアレルギー性鼻炎などになるということです。身体の警告反応です。和 風の食事に替えたら,家族のアレルギー疾患が半年後には消えた症例もあがっ ています。  園児の便秘が深刻化しているそうです。お腹が痛いと泣く園児をトイレに連 れて行くと,ボロボロとヤギの糞のようなもので,小さな子では保育士が指で かき出してやる場合もあるそうです。毎日便が出ない子は,1歳児で2割,2 〜4歳児で3割,5歳児で4割という調査もあります。先ず朝食の内容が,パ ンやドーナッツ,カステラが多い。夕食もテレビに夢中で,食事が「ついで」 になっており,身体のリズムが壊れ,排便習慣が身に付いていません。母親が 肉や脂類,甘いものの多い食事をしていると,母乳はドロドロになり,赤ちゃ んの身体の働きが低下し,腸の動きも鈍くなって便意を感じにくい体質になる そうです。  快便のポイントが食物繊維であることは知られています。食物繊維は腸を活 性化する善玉菌を増やし,腸壁をくすぐって便通を促します。穀物繊維,野菜 や海藻の繊維を含む和食が理想だそうです。便がバナナ状で水に浮くと繊維が 多い,色が黄色なら善玉菌が多いということです。日本人の小腸は欧米人より 1.5倍長く,べっとりうんちのもとの肉や脂質をたくさん取ると,腸が長い ぶん便は出にくく腐敗をします。便の量が増えた子は集中力のいる遊びの上達 が早くなったそうです。  こうして記事を並べてくると,いわゆるお袋の味の復活が望まれているよう な気がします。毎日の食卓には袋の味は相応しくないのです。ママの味よりも お母さんの味がいいということでしょうか。欧州では子どもを学校に迎えに行 き昼食に家庭料理を食べさせているようです。子どもの食事は親の責任範囲で あるという意識が定着しています。豊かな時代の中で,望ましくない食卓であ るというのは,何とも奇妙なことです。命を人任せにして大丈夫なのでしょう か? ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育て12指南★        【ママは,どうして子どもの揚げ足をとるの?】                             (質問15-02) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○勘違い!     小学一年の女児が試験で0点を取ってきました。ママは内心穏やかで    はありません。ところが当のご本人はというと,「あと10点で100    点だったのに」と残念がっています。10+0=100! 意表をつか    れてうろたえたママは「どんな計算をすればそうなるの!」と声を荒げ    てしまいます。よその子であったら笑って済ませられます。妙に納得す    る部分があるからです。たとえトンチンカンであっても,子どももそれ    なりに考えていると思うからです。でも,親の目は違っています。     幼稚園の面接日です。人見知りがひどく,何を聞かれても固まって無    言の子がいます。最後になってやっと発言しました。「ボク,気になる    ことがあるんだけど……」。「あら,お話しできるじゃないの。な〜に    ?」。「あの電気,切れそう」。「……,直しておきます」。付き添っ    ているママは,恥ずかしいやら気の毒やら取り乱してしまい,同時に諦    めさせられました。「どうしてあんなことを言ったの?」と問いつめて    も,「だって切れそうだったんだもの」。いつ切れるか気になって仕方    がなかったのでしょう。場所柄を弁えないことを責めても,子どもの立    場になれば詮無いことです。面接を希望しているのは親だからです。     幼い子が「ママー,くまのプーさんって,苗字は熊野?」と聞いてき    ます。一瞬何のことって訝りますが,そうかと気がつきます。「何をバ    カなことを言ってるの,違うでしょ」。最初の一言が余計な揚げ足取り    になります。勘違いを笑ったり咎めたりすると,小さなプライドを傷つ    けてしまいます。間違うことがいけないこと,恥ずかしいことという観    念を外圧的に植え付けるのは望ましくありません。それは自我の発達の    足を引っ張ります。勘違いを受け容れて,正してやればいいのです。     いつも助手席に座っている子どもが,あるとき「お母さん,ガソリン    スタンドの人はみんな親切でやさしいね」と話しかけてきました。いき    なり何を言い出すのだろうと思って考えても,思い当たることがありま    せん。「どうして?」。「どこに行っても必ず,『元気ですか』と聞い    てくれるから」。そんなことを聞かれた覚えはありませんが,必ず聞か    れることといえば「現金ですか」。聞き間違いをしていたのです。     そんなこというわけがないでしょ! でも,子どもの中では,元気で    すかと聞かれることが優しさとしてちゃんと納得できているのです。世    界の理解が狭いから,ガソリンスタンドでの常套句など知るよしもあり    ません。現金ですかと聞かれることなど思いも寄りませんし,その方が    子どもにはわけが分からないでしょう。子どもは子どもの世界でものご    とを納得していきます。大人の世界とは部分でしか重なっていないので,    勘違いは茶飯事です。それでいいのです。子ども時代は子どもとして精    一杯生きています。分かるときが来れば自分で分かっていきます。     子どもが勝手な理屈をぶつけてきます。状況判断が幼くて,親の目か    ら見れば無理難題や話にならないことです。あっさりと却下するのは簡    単です。突然ですが,このような強権は父性の役割です。母性は子ども    の中に足りない状況判断を注入してやります。子どもには難しい場合,    たとえ話をしてやるといいでしょう。ものごとを決めるには相手の意向    もあるということをゆっくりと教えていけばいいのです。理解できない    が世の中には思い通りにならないことがあると分からせる機会です。    ・・・《子どもの考えを否定すれば,プライドまで傷つけかねません》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○子どもだって?     言うことを聞いてくれないのが子どもと悟るには,しばらく時間が掛    かります。塾に行きたがらない小学生2年生の長男を,言い争った末に    カッとなって殺してしまった37歳の母親がいました。子どもの判断や    決定を根こそぎ否定して,親の思い通りに支配しようとすることが間違    っています。極端な揚げ足取りです。そんなことは考えれば簡単に分か    ります。それでも日々子どものためだと思うから無理して,一時のこと    だからと従わせようと頑張りすぎます。私がしなければ誰がする?     子どもの思い通りにしていたら,子どものためになりません。それも    また正しいことです。甘やかせば甘やかすほど子どもは不健全な育ちに    逸れていきます。ビシッと正すことは正さねば。でも,ちょっとだけタ    イムを取ってください。押してもダメなら,退いてみましょう。一度は    きちっと言います。後は子どもの判断に任せます。5分程してもう一度    「いいのね」と確認してチャンスを与えます。この5分間に子どもの気    持ちは動きます。やっぱりした方がいいかな。それでもダメなら,また    5分。     ところで,子どもには考え直す時間ができますが,親の方はイライラ    しながら待つことになっちゃうのでは? 1回目で効き目がなかったら,    爆発することになりそうです。そんな心配があるなら,止めておいてく    ださい。どんな方法でも相性があるからです。一つだけお願いしておき    ます。イライラが昂じたら子どもに当たらなくて済むような方法を見つ    けておいてください。お茶碗をたたき割るという古典的な方法もありま    すが,ちょっと危ないですね。     揚げ足を取るというのは,どちらかといえば意地悪な目です。虎視眈    々と相手の弱点を見逃すまいとする敵視の構えです。我が子と敵対して    は,元も子もありません。共倒れになるだけです。子どもはママだけが    頼りであり,たとえ冷たい目を感じても,幼い心は健気に信じています。    虐待を受けても逃げだそうとしない程です。大きくなると,心を閉ざし    てかろうじて防衛しています。閉じ籠もりです。今のママたちに最も願    うことは,一所懸命にならないことです。こうと思い込まないことです。     不謹慎に思われるかもしれませんが,ゲームを楽しむように,子育て    を楽しんで欲しいのです。こうすれば,こう返してくる。そう来たら,    これではどうかな? 子どもとの掛け合いを一こまずつ重ねていくよう    にします。そんな面倒なことはできないとか,形勢が不利になったりと    かしたとき,ゲームを根こそぎひっくり返すことをしたら台無しですね。    あなたには負けた! たまにはそんなことがあってもいいのではないで    すか?     楽に子どもと関われば,育ちが見えてきます。そんなことを考えてい    るのか,と思うはずです。「あんた王様か? ぼくは家来じゃない!」    と逆ねじを返す7歳の男児がいます。勉強は自分のためと諭したら,    「お母さんのためでもあるんじゃない?」と切り返す6年生がいます。    起きないのを注意されて,「寝坊したんでなくて,見る夢がたくさんあ    ったの!」という5歳の子がいます。    《このパラグラフ:詳伝社黄金文庫「わが子のひと言」全労済編より》        ・・・《子どもだって一生懸命に頭をひねって考えています》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《考えるチャンスを与えるほど賢い子どもになると心得て下さい。》 ※子ども時代は練習の時代です。子どもの身の丈に合った条件の下で,考え判 断して試していけばいいのです。たくさん練習すれば,それだけちゃんとした 育ちをしてくれます。親の指図や命令通りに育った子どもはちゃんとした子ど もに見えますが,そこまでです。大人になる力は備わっていません。自分で判 断し自分で考える力が鍛えられていないからです。  子どものためという親の願いは,本当はとてつもなく遠い先のことです。今 は無理のないペースでそこそこに育っていくように伴走すればいいでしょう。 目一杯の力で育っていたら,きっと息切れして育ちを投げ出すようになります。 過干渉は子どもを潰します。一方逆に子ども任せに片寄るのも困ります。放任 になるからです。目の届く間合いを保ちながら付き添っていてこそ,子どもが 育ちのコースを踏み外さないように誘導できるはずです。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  始業式や入学式が終わりました。学校評議員且つ歴代PTA会長の一人とし て,小学校の入学式に来賓として参列してきました。一年生の初々しさと親御 さんたちの万感こもる雰囲気が,厳粛な式典を和ませてくれます。スクスク育 つように,祈る思いでした。校庭のサクラは満開の扉を閉めるのを待ってくれ ていたようで,花びらが舞うように祝っていました。  先週は遊具の事故が相次ぎました。子どもは思いもしない遊び方をします。 子どもの生活圏内を一緒に連れ立って探索してみてください。子どもたちが遊 ぶ姿を見ていると,大人なら何が危険か判断できるはずです。それをきちんと 子どもに教えておいてください。わが子の安全は決して他人任せにしないこと です。それが子どもためにすることの第一番のことです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆  次号では,【ママは,どうして子どもの不安をあおるの?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・   ・・・・・・「バックナンバー」もご覧になれます。・・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者連絡: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○