□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/03/07]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第231号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■             『集団による学び?』  パソコンによる学習ソフトがいろんな形で提供されているようです。自分の ペースで進められるので,習熟度に合わせた学びができるというメリットがあ ります。この学び形式が家庭から飛び出さず,学校での集団による学びを駆逐 することのないように願っています。あくまでも一昔前の学びにあった家庭教 師の替わりであってほしいのです。最近,教室での学びに対する信頼が失われ ているような風評が気になっています。集団であることの意味が見落とされて いないでしょうか?  一斉授業のデメリット,それはすべての子どもに合致するレベルの設定が不 可能であるということです。つまり,できる子どもに合わせるとできない子ど もは置いていかれ,できない子どもに合わせるとできる子どもは物足りない, という言われ方をします。そこで習熟度別の学習を取り入れ,複数のレベルの 授業をすればいいという対応がなされます。その考え方には,集団で学ぶとい う広い学習価値が欠落しています。教わるということに固執しているからです。  先生は先頭集団を引っ張るペースメーカーです。後尾が付いて来られないの は,当然。そこに集団という機能が効き始めます。理解できた子どもに対して, 理解できていない子どもに教えるという新しい課題が発生します。子ども同士 ですから,先生よりも上手に理解を助ける説明ができます。理解への段差がど こにありどれほどなのかを経験したばかりですから,適格にアドバイスできま す。理解という波がクラス中に広がっていく,それが集団による学びです。  できる子どもは,教えるという課題を追加されることで,物足りなさなど感 じる暇がありません。実のところ,教えるというプロセスを経ることで,学び は完成していきます。できない子どもも,友だちの助けで理解できるようにな ります。もちろん,科目が違えば立場が逆転することもあります。集団では教 え教えられ学び合うという教育効果が期待されています。そこには,自分より ちょっとだけ先に理解した者からの体験に基づいた助言が得られるという特長 があります。  こんなことも分からないのか? そんな感想を口走るのは,理解の力にあま りに開きがありすぎるから,無理な指導助言をしていることに気付かないため です。今さっき分かったばかりの友だちは,自分がつまずいていたところ,勘 違いをしていたところが分かっているので,最も適切な助言ができます。じつ は,人に助言をするとき,自分がつまずいていたのは何であったかを考えなく てはなりません。それが大事な学びになります。教えることで学びは深くなる ものです。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12路★     【お子さんが,ふてくされて逆らうことはありませんか?】                         (質問18-10)《WHY-2》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○ふてくされても  親の都合や規格に適っている家庭生活では,子どもは不適合を起こします。 例えば,家具類は大人の背丈サイズですから届きません。時間にしても大人の ペースが優先されて,気ままというわけにはいきません。思い通りにならない のですから,ふてくされたくなるのも無理もありません。何かと不自由な思い をしていることを分かってもらいたいという態度表明です。ふてくされても仕 方のないことが分かるまで,見守っておくしかありません。以上は,大筋とし ての考え方です。  ママから気に入らないことを言われて,子どもがドアを乱暴に閉めて出てい きます。「壊れるでしょ!!」と鋭い声が,子どもの背中を追いかけます。 「すぐふくれるんだから」とつぶやきながら,「言われたくなかったら,ちゃ んとすればいいのに」と気持ちの揺らぎを収めようとします。子どもの八つ当 たりを突きだしたために,ママもいらついてしまいます。ママのいらつきはそ のまま子どものいらつきと同じものだと知っておいてください。  もう少し説明が必要ですね。売り言葉に買い言葉というマイナスのコミュニ ケーションがあります。小さないらつきが行き来する内に段々と増幅して激し くなっていきます。いらつきがいらつきを生み,怒りにまで至る悪循環です。 もちろん,お互いのいらつきの内容は違っていて変化もしますが,いらつき状 態は同じです。この連鎖反応を放っておくと,収拾がつかなくなります。どち らかが抜け出さなければなりません。ふてくされた子どもに真っ当に反応しな いことです。  子どもの場合は,ふてくされるという態度を見せてくれる方が,精神衛生上 は適っていると思ってください。感情の表現が拙いだけであって,こもらせな いことの方を良しとしましょう。ふてくされるのは自分に対する怒りであるこ とが大半です。無理に抑え込もうとすると,反発することの方に方向転換しま す。その対応が続くと,やがて人のせいにすることで,ふてくされのエネルギ ーをその人にぶつけてくるようになります。  ふてくされることのない暮らしは,かえって育ちには相応しくないでしょう。 我慢を覚える種になるからです。耐性を育てるためには,不自由さに直面しな ければなりません。宝くじに当たるためには,券を買わなければならないのと 同じです。欲望が通らないという現実を受け入れなければ,わがままに歯止め が掛かりません。そのブレーキの軋みがふてくされるという症状として現れて いるのです。ふてくされて,それをグッと飲み込みながら,我慢できるように 育っていきます。   ・・・《適当にふてくされて,乗り越える体験がたくましさになります》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○現実の扉  ふてくされる子はかわいくないですね。ご機嫌を取ろうと,「かわいくない よ」と言うと,「かわいくなくていいもん」。パパはこうして嫌われていきま す。子どもながらに,ふてくされていることとかわいさとは関係がないと知っ ています。はぐらかされているという気付きがあるからです。余計なお世話と いう感覚です。それどころではないのです。自分の中の葛藤をどうしようもな くもがいているときに,冗談を投げかけてくる思いやりの無さがやりきれない ことでしょう。  ふてくされている中味は局面毎に多様ですが,パターンは同じです。しよう と思っていたのにできなかった,思いもよらず叱られた,期待していたのに裏 切られた,気にしていたことを突かれた,よかれと思ってしたことが拒否され た,などです。思いと現実が違ったとき,思いの勢いを持って行き場がなくな るのです。現実に合わせて思いを修正するためには,気持ちの軋みを持ちこた えなければなりません。表情や態度を整える余裕がないので,ふてくされたと いう態度になります。  物事にはやってみなければ分からないということがあります。砂場で穴を掘 っていたら,もう少しというところでドサッと崩れます。砂が思い通りになら ないので,ふてくされて砂遊びはもう嫌だと投げ出します。友だちの家に遊び に行って遊べないと断られたら,ふてくされたくなります。やってみるとうま くいかないことがたくさんあります。いちいちふてくされていたら,八方ふさ がりになります。そこをどう切り抜けるか,とても大事な育ちの課題になりま す。  自分の思いを現実とすり合わせようとすることで,人は成長していきます。 大人が持っている「世間なんてそんなもの」という達観も現実の前では自分が 無力だという諦めですが,幾多のふてくされを味わった末のことです。もちろ ん,子どもの行く末がそれでは寂しいですが,少なくとも我を通すことは無理 だということは納得した上で,現実とのすり合わせをする力をつけなければな りません。ふてくされるエネルギーを前向きに変えるということです。  このふてくされた気持ちを現実に振り向けて,どうすれば現実の壁にある扉 を開けることができるかを考えるようにします。そのためには現実の中にある 約束事を学んで利用するようにします。「して!」というよりも「してくださ い」と言った方が人は動いてくれる,できなかったら「助けて」と頼めば手伝 ってもらえる,分からなかったら「どうしたら?」と尋ねれば教えてもらえる, 友だちと遊べなかったら「あしたね」と約束することができる・・・。寄り添 って導いてやってくださいね。     ・・・《現実の扉を開けるには,小さな鍵を見つければいいのです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育てには,現実と仲良く付き合うという必須科目があります》 ※最近,自分という存在に確信を持てずに精神的に彷徨ってしまう若者が増え ているそうです。生きている実感が持てないとか,本当の自分が分からないと か,明日が見えないで不安であるとか,いろんな不安定な気分を抱え込んでい るようです。確かな自分とは,現実世界の中であくせく生きていることで得ら れるものだと思います。現実にきちんと直面していれば,現実という壁とそこ にある扉を手探りで探しているという自覚が生まれます。  スーパーで買ってきた出来合いのおかずを食べている暮らしでは,現実との 関わりが希薄です。食べるために料理をするという手間の扉を通り抜けてはじ めて,生きるために食べるという実感が得られ,手を使った自分を確認するこ とができます。金さえあれば生きられる,そう思っていると,自分の存在が生 きる現実に関わらなくなり,自分が見えなくなっていきます。勉強だけしてお けばいいという生きる現実から隔離された育ちの怖さは,大事な自分意識を失 うということなのです。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  片仮名名前の市名を打ち出した合併市が,幻となって消滅しました。もしも 漢字表記にしていたらどうなっていたのかなと思ったりしています。大勢に影 響はないかもしれませんが,若い方には受けたのかも? 外野席がとやかく言 うことでもありませんね。個人にとっては単に住所でしかない市名ですが,人 は無視できないこだわりを持っているもののようです。○○町よりも□□市の 方がなんとなく格好いいといった感じもあるようです。  寝台列車のあさかぜ号が消えていきました。何度かお世話になった列車です が,移り変わりの宿命を迎えたようです。贔屓ではありませんでしたが,球団 も消えていきました。世の中は生者必滅ということを思い知らされます。そこ から新しいものが生まれてきます。名残を惜しむのは一時で,次への希望に乗 り換えです。3月は期末で別れの季節です。いろんなことをきちっとケリを付 けておきましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆   次号では,【お子さんから,迷惑を掛けられることがありませんか?】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○