□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/06/20]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第246号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■             『過保護から保護へ!』  少子化と核家族が重なると,子どもの立場がかなりくっきりとします。可愛 がって大事に育てられる場合と,忙しくて構ってもらえない場合です。きょう だいで育ち合うとか,祖父母によるしつけで補われるというカバーがありませ ん。今の子どもは過保護であるとか,放任であるというコメントが聞こえてき ます。端からとやかく言われるのは,現役の親としてはあまり気分のいいもの ではありません。そんなことを言われても,じゃどうすればいいのと開き直り たくなりますね。  どんな状況であっても今の状況の中で,親は育てて子どもは育たなくてはな りません。なんとなく育てていればよかった昔の親とは違って,今の親は賢く なった分きちんと考えて子育てに取り組むことができるはずです。何も考えな いことが恥ずかしいことです。しつけは園や学校でとか,勉強は塾でとか,人 任せにすることも困ります。過保護とか放任とか言われていることの意味を弁 えれば,しっかりとした対応をすることができます。大丈夫だから,がんばり ましょう。  放任とは,子どもの声を聴こうとしないことです。「ママ,あのね」。「忙 しいから」。子どもの存在を邪魔にすることです。「あっちに行ってなさい」。 子どもをことさら煽てることです。「あの子はひとりで何でもできる」。園や 学校に送り出すとき,「やっと手が離れた」と安心することです。休みの日に 子どもが家にいることを鬱陶しいと感じることです。子どもの泣き声にイライ ラして当たってしまうことです。ついついやってしまうことですが,反省すれ ば大丈夫です。  過保護とは,子どもに任せずに親がやってしまうことです。「余計なことは しなくていいの」。子どものやり方が気に入らないことです。「どうしてきち んとできないの」。いつまでも子どもが幼いと思うことです。「まだあなたに は無理よ」。そう言いながら,「いつまでも手が掛かるんだから」と思うこと です。転ばないようにしっかりと掴まえていることです。忘れ物をしないよう に先走ることです。保護をしてるつもりなので,過保護と分かりにくいところ が要注意です。  子どもの幼さ,未熟さ,頼りなさ,危なげなさ,そんなことすべてを認める ことが,親のスタンスを適正にします。余計なことをして,しくじっていいの です。しくじるから,育ちがあります。転んでいいのです。転ばなくなること が育ちです。無理なことをして,できない自分を知ることが育ちです。自分の 力を知ることが賢さなのです。子どもを手のひらの上で自由にしてやってくだ さい。多少のことには目を瞑って,見逃してやります。手のひらが保護の手で す。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12軸★        【はげむから,能力を伸ばすことができます!】                               《HOW-2》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○第12軸:挑戦  人は若々しくありたいという願いを抱く時期があります。「お若いですね」 という社交辞令が交わされることになります。若いというのはどういうことで しょうか? 一言でいえば,挑戦できることでしょう。守りに入ったら,老い る道に踏み込みます。挑戦は新しいこと,未経験のことに立ち向かうことです。 そう考えると,子どもの育ちはまさに若さそのものです。生まれてはじめての ことばかりであり,挑戦しなければ育ちができません。  挑戦といえば,強い勇気が必要だと思われることでしょう。もちろんそうい う場合もありますが,大部分はそうでもありません。育ちは連続しています。 ちょっとだけできる範囲を広げていけばいいのです。スモールステップを不断 に続ければいいのです。挑戦という気負いはないのかもしれません。ちょっと やってみようか,できなくて元々,そんな軽いのりで続けていけばいいのです。 できなかったらどうしよう? そんなプレッシャーを感じていたら,育ちはつ らいものになります。  健康のために運動をすることがあります。運動の器具が揃った施設に出かけ て,汗を流します。それを実行するには,時間と金の自己相談をしなければな りませんし,何より思い立つという覚悟が要ります。ところで,生活の家事労 働をします。結構な運動量になります。近くの買い物には車を置いて歩いて出 かけます。ガソリンの節約と運動ができます。ことさら運動をしようと思い立 つのではなく,暮らしの中でごく自然に運動がついてきます。生きる力を生か すのです。  生活習慣病という不思議なものがあります。人の行動はいろんな状況の中で よいと思われたり得になるものを選択して定着します。いつもの行動とするこ とで慣れてしまうと楽です。しかし,習慣は固定化することであり,いろんな 面で陳腐化や疲労,停滞が起こり,また状況の変化に対応できません。健康に ついては,機能全体をフルに使うということがなくなるので,不使用による退 化作用が起こります。慣れた行動を意識して変えるという挑戦が,健全に生き る準備です。  健気に生きている子ども,溌剌としている子ども,やる気のある子ども,く じけない子ども,どの子どもも挑戦している子どもです。ニートの若者に欠け ているのは,挑戦という行動です。自分の今現在の能力を生かして,何事かを 為そうということが挑戦です。挑戦には汗をかき,苦労し,かっこよくないこ とがつきまといます。決して楽で得することではありません。その見た目を突 き抜けようとしている姿が,健気で溌剌としているということです。  ・・・《身近な挑戦をすれば,生きる力が完全燃焼し自己開拓が進みます》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○上手に!  上手くやろう,かっこよくしようと思うとかえって緊張し,上手くいかない ものですね。そんな経験を数度繰り返すと,すっかり自信を失って,自分はダ メだと思い込んでしまうかもしれません。幼い子どものときに,そのようなこ とがトラウマになると,最も格好を気にする年頃になったとき,より重たくな りかねません。子ども時代は気持ちをゆったりと持たせ,上手くやろうなどと いう雑念は押し付けない方が賢明です。  子どもは上手くやろうとは考えていません。ママが見ていても,とても気に 入らないほど拙いですね。それでも子どもは満足しています。上手だとか下手 だとかという評定はなるべくしないで下さい。ただ「できたね」と言ってやる だけで十分です。できたことはその後繰り返すうちに,自然に上手になります。 はじめに上手にできたと言ってしまうと,いつまでも「上手」を更新してやら なければなりません。育ちでは,曲がりなりにもできた,そのポイントが大事 です。  能力は連続してより広く深く高くと伸びていくものです。好きこそものの上 手なれ。この言葉の背景には,好きなことは繰り返し経験を積み重ねるという ことがあります。子どもができるようになったことは,なるべく普段の中で経 験できるように誘いましょう。楽しくなるように気持ちを支えてやります。も しも,お手伝いとしてできるのであれば,「ありがとう」という言葉を必ず添 えます。大好きなママと関われるようにすれば,やる気が高まります。  子どもは飽きっぽいという特質も発揮します。熱中していたかと思えば,し ばらくすると放り出しています。何をしても中途半端? そんな子どもの姿を 歯がゆく思うことがあるかもしれません。それはそれで自然なのです。子ども の今の能力では行き着いてしまっていることもあります。達人の域は遙かに遠 いのです。さらなる飛躍のためには,他の能力が必要であり,そのために回り 道をしなくてはなりません。長い目で見守ってください。  上手にというストレスが,親の方にはね返る場合があります。上手に子育て しよう,しなければと思うことです。多少まずくても構いません。常に満点で あるママなどあり得ません。今日のママは70点。ちょっと失敗した所は,明 日にやり直せばいいのです。真っ直ぐの子育てに進もうと思えば無理をして, 結局転びます。ゆとりという遊びが舵取りには必要です。ゆとり,それは失敗 してもなんとか取り返せるという気持ちです。ゆとりが結果として上手な子育 てを生み出してくれます。  ・・・《上手にこだわらず無心に続ければ,上手は付いてくるものである》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては 普通にできる 能力を》 ※ある特定の能力に秀でた個性的な子どもに育てたいと思われていますか?  それとも人に優しく仲良くできる子どもに育ってくれれば十分と思われていま すか? どんな子どもがいいという重みは,親それぞれの人生観によって違い ます。ただ,基本的な共通の能力となるものがあります。それは人としての資 質です。責任感であり,信頼感であり,優しさや思いやり,勇気や根気といっ た社会生活に不可欠な行動様式です。  基本的な生活習慣,それは決して上手にできなければならないものではあり ません。誰にでもできることを確実にできればいいのです。その上で,一つだ けちょっぴり人の役に立てる能力が育てば,人生は自然に拓けてくるものです。 その一つを生涯大事に続けていけば,人間国宝になれます。あれこれ欲を出す から,中途半端になります。そうは言っても,それができないのが,人の弱さ です。弱い自分を弁えれば,人の弱さに優しくなれます。それでいいのかも! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  ホームページ「徒然窓」に開設している掲示板に,子育ての相談をしていた だいています。マスターとしてご返事をしていますが,その内容の自己評価は 合格ラインすれすれの所を揺らいでいます。じっくりお話を伺うという状況は 望めませんので,どうしても「こうではないかな?」という相談内容の勝手な 思いこみに答えてしまいます。そのプロセスでは,答が見つからない部分を避 けてしまうということが起こります。それがいつも心残りです。  このマガジンでは簡単なタイトルを付けていますが,自分自身が知りたいと 思うことを版毎に一気に12編分羅列してしまいます。自分への質問として, 配信する段階になって,悪戦苦闘してしています。タイトルを替えたいと思う こともあります。その逃避を抑止するために,次号予告を出すことにしていま す。公言することで逃げ道を断つというのは,結構つらいものです。マガジン 発行は,挑戦になっています。いつまで続くのでしょう? ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆     次号では,【信じているから,応える子どもに育ちます!】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○