□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2005/07/25]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第251号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■徒然子育て想■            『依存して非難する親?』  大きな声では言えませんが,「依存して非難する親が現れている」というと ても気になる指摘が耳に入ってきます。「いったい何のこと?」。閉塞的な悪 循環があるということです。家庭でなされているはずの社会生活の基礎的なし つけを,親が学校教育に依存します。学校は集団教育の場であるという表面的 なイメージにとらわれている結果です。学校としては押し付けられたこととは いえ拒否するわけもいかず,集団生活のしつけなどをせざるを得ません。  集団生活は多少の我慢を強いることになるので,子どもは,学校をどうして も厳しい,窮屈な場所と受け止めていきます。先生は嫌なことをいう存在とな り,やがて,子どもは学校は面白くないと学校嫌いになり登校を渋るようにな ります。そうなると親は,学校とはもっと楽しく登校できるところであるべき ではないかという正論?を持ち出してきて,うちの子が学校嫌いになったのは 学校のせいだと非難するようになるということです。  嫌なことをしつけるという役目を学校に依存して,学校がそれをしたら子ど もに嫌がられ,嫌がられる学校はけしからんと非難するという,出口のない袋 小路状態になるケースが増えているというのです。踏んだり蹴ったりというジ レンマが,冒頭の指摘となって水面下を流れていきます。もちろん一部のこと なので,殊更にその指摘が親の沽券に関わるということにはなりませんが,親 にとっては一つの反省材料とすべきでしょう。  社会生活は全ての人がそれなりに自分の責任を果たすことで成り立ちます。 子どもの養育では,責任者は親です。ところで,学習については専門性が必要 なので,学校に委ねることになります。しかし,学習に必要なしつけとして, 静かに話を聞く,皆と協調する,約束を守るといった基本的なことは,予め家 庭できちんとしつけておくことです。ともすれば予習的な準備が親の責任と思 われがちですが,学習態度のしつけの方が子どもには遙かに大事なことです。  依存することが困るのではありません。社会は専門的なことは専門家に依存 するという約束で成り立っていますが,できることは自分で引き受けるという ことが前提条件です。そのことさえ弁えていれば,家庭と学校の連携が円滑に 進むはずです。子どもの育ちの場は家庭だけではなく,学校だけでもありませ ん。家庭でも,学校でも,さらには地域においてもそれぞれの育ちがあります。 親は家庭では親,学校では先輩,地域では大人としての責任を負っているので す。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12願★       【パパお願い! 休みにはあまり仕事をしないで!】                            《V20:WHERE-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  ○こんなこと・あんなこと!  「パパは?」。朝目を覚ますとパパの姿がありません。セミ取りに行こうと パパが言っていたのに! セミがいなくなっちゃう。ママはセミなんて気持ち 悪いと言うから,パパじゃないといけないのに。ママは「パパは仕事なんだか ら仕方ないでしょ。そんなに行きたいのなら,一人で行ってらっしゃい」と言 います。どこに行けばいいのか分からないし,どんな風にセミをつかまえたら いいんだろう?  パパが車を洗っています。水がスルスルッと玉のようになって車の上で転が っていきます。手で追いかけていると,「ダメ」と叱られてしまいました。ど うしてと思ったのでパパを見上げると,「邪魔」と一言。せっかくパパと一緒 に車さんのお風呂をしていたのに! パパはボクのことなんか無視しているみ たい。つまんないからお家に入ることにしたけど,途中でホースにつながって いる蛇口を締めてやった!  ママはダッコしてくれたけど,パパはオンブをしてくれたり,時々は肩車を してくれます。ダッコされると窮屈なんだよ。オンブはしがみついていなけれ ばならないけど,パパと一緒に動いているようで,とっても面白いよ。肩車の 時はパパよりも高くなるから怖いけど,なんだか偉くなったみたいでいい気持 ち。ママもパパに肩車してもらったらいいのに! また肩車して欲しいけど, パパは今日もお仕事でいない・・・。  「パパ,どこに行くの?」。夕ご飯が終わって,パパが近くのお店に出かけ るときついていきました。手をつないで夜道を歩いていると,パパがお星さま のお話をしてくれました。ちっちゃな星さんたちは本当はずっとずっと遠いと ころにあるんだって。ボクたちが住んでいるところは地球っていう星だって。 なんだかよく分からないけれどすごいことのようで,パパのお話を聞いている とワクワクしちゃう。どうしてかな!  花火がしたいといったら,パパがいろんな用事を言いつけるんだ。バケツに 水を入れて持ってくるように,蚊取り線香を持ってくるように,とか。早く花 火がしたいのに,どうしてかな? 蚊取り線香の先に花火をくっつけていると, しばらくしてシュッという音がして花火になる。大きな花火は火がいっぱい出 てくるのでこわいけど,パパに付いててもらうと,大丈夫と思っちゃう。終わ ったらバケツの水に花火を入れると,じゅっという音がするんだよ。パパと一 緒は楽しいな! ・・・《いろんなことを知っているパパだから,子どもはパパが大好きです》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  ○縦のつながり!  パパにも小さい頃があったことを,アルバムを見せてやったりして想像させ ていますか? 祖父母から孫が,パパの子どものときの話を聞く機会が少なく なりました。里帰りしたときなどに,そんな時間が持てたらいいですね。パパ も子どもの頃はお祖父ちゃんに叱れていたんだと聞けば,子どもにはパパが身 近に感じられるでしょう。パパの弱みを知ったということ,それがパパの人間 性を知るという効果につながっていきます。  大人の仕事休みは,昔は藪入りと呼ばれていたお正月とお盆の休みです。里 帰りをなさることでしょう。子どもにとっては非日常的体験であり,皆が集ま るから楽しい想い出になります。そこに小さな教えをしておくことをお勧めし ます。お盆とはどんな意味があるのかということです。亡くなった身内の霊が 仏となり里帰りをしてくるので,皆が集まって会食会を催すのです。そのご馳 走の材料を実家に予め送り届けるのがお中元というわけです。  ではお正月は? 子どもはお年玉をもらう機会と思っていますが,大人はど う思っているのでしょうか? 仏の供養は通常33回忌か50回忌で一応のケ リを付けますが,それを過ぎた仏様はほったらかしになります。そこで,法事 を終えた仏は神様に変身すると考えて,神となったご先祖が里帰りするのがお 正月です。神をお迎えするので大掃除をし清めてしめ縄で神聖な場を準備する のです。会食会がおせちであり,その材料がお歳暮です。  お盆もお正月も,自分にまつわる縦のつながりを確認するという意味があり ます。宗教行事というよりも定着している生活風習として考えると,それをし つけの機会とすることもできるでしょう。大事なメッセージは,世代のつなが りという縦のつながりです。親と子のつながりだけではなく,これまで,これ からの時のつながりの中に自分の存在感があるという意識です。自分は何者と いうアイデンティティは横のつながりの中だけではなく,縦のつながりの上に もあります。  自分の命は自分のものという誤解が,命の尊さを見失うことになっています。 自分の命は自分の命を受け継いで行くであろう子ども,孫,ひ孫・・・という 命の連鎖の出発点です。受け継いだ命を受け渡すことが,人としての存在感の 基本になります。もしも配達されるはずの届け物が故意に配達されなければ責 められます。自分を産んでくれたという感謝は,あなたを産んだというお返し があって完結します。子どもが自分のつながりを認知することはとても大切で す。 ・・・《縦のつながりの中にあるという実感が,アイデンティティの源です》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  《子育ては 命伝える 喜びで》 ※仕事に忙しくしているパパは,見えません。見えないからつながりが薄くな り,気持ちが通うというようにはなりにくくなります。子どもは,ワタシにと って父親とは何なの?という迷いのままに据え置かれます。冗談にもならない 「父親が不潔」という感覚は,気持ち的には父親が全くのよその人だからです。 我が身同然という感覚が家族の絆の表れですが,そこには不潔といった感性は 封じ込められているはずです。  前号と今号では,子どもがどこで育つのかという問を考えています。育ちは 安心の場でしか発揮されません。育ちは何かに向けて飛び出そうという向きに 進むものですが,不安であれば閉じ籠もる向きに気持ちを封じ込めます。育ち が封印されます。子どもが育つには安心という居場所が不可欠です。その安心 の場とは,大切な人としっかりつながっているという確信です。何があっても 親と子である,その信頼は作ろうとしなければできません。その時間を作るこ とがパパの責任です。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  忙しいパパを責めているのではありません。家庭の維持という苦労がありま す。そこに父親の役割という看板を掛けたとしたら,それはちょっと違うとい うことです。仕事は父親の役割ではありません。ほんの5分でいいから,父親 になってもらえればいいのです。自分のすべてを意図的に伝えようとして下さ い。遊んでやることは他人でもできます。父親でなければつきあえないような 無駄で面倒な関わりを引き受けて下さい。  夏休みが始まりました。鉄は熱いうちに打てという言葉があります。熱いと 暑いは違いますが,子どもに親の思いをしっかりと伝える大切なチャンスだと 思って元気にお過ごし下さい。早速身近では,日曜日毎に子どもたちのスポー ツ大会が開催されています。来賓として招待を受けていますので,子どもたち の元気さを貰いにいってきます。スポーツ大会なので,パパたちが運営に関わ っている姿が見られます。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆予告☆    次号では,【ママお願い! 落ち込むことばかり言わないで!】             について考えることにします。どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●記事の一部、もしくは全部の無断転載・無断配布を禁じます。  掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○