□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/01/16]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第276号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■               『学力?』  学力といっても,主として目指すものが何かで内容は異なります。もちろん 目指すものは,時代と共に変わります。昭和20年代は「生活志向の学力」が 求められ,生活を営む力の形成に努めました。昭和30年代は「基礎志向の学 力」であり,基礎学力の充実が図られました。昭和40年代は「科学志向の学 力」になり,課程を構造化して科学的探求への思考を中心にしました。昭和5 0年代は「人間性志向の学力」へと移り,知性重視の学力観から,人間性を豊 かにする学力を目指しました。  平成の時代に入り,「主体性志向の学力」となり,自ら学ぶ意欲,思考力, 判断力,表現力,それらを総合した生きる力が学力と考えられるようになりま した。経験したこと,学んだことをもとにして,新しい課題を自ら発見し,自 発的に関わり,自ら考え,判断し,表現しながら,体系化する能力の獲得が, これからの時代には必要になってきたのです。先進国になったので手本を学ぶ ことができなくなったために,何を学ぶかを自ら決めなければならないという ことです。  先が見えないと言われることがありますが,実のところ教育の世界でも何を 学ばせるか見えていないようです。仕方がないから,自分で考えて自分で学ぶ 能力を身につけさせておこうということになっています。学ぶものが見えない からといって,学ばなくてもいいということにはなりません。実のところ,身 の回りには学ぶことがたくさんあります。自分が知らないことがあるという自 覚を子どもに持たせることが,やらなければならないことです。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12態★         【お子さんのやすらぎを感じていますか?】                            《V22:WHERE-01》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  大人と子どもは別の世界に住んでいるような感じがあります。大人の都合と 子どもの都合はずれていることばかりです。ですから,夫婦間の些細ないざこ ざは子どもには全く無関係だろうと思ってしまいます。家族というつながりを 考えると,葛藤は巡っていって弱い子どもを巻き込みます。子どもは「心配な 子ども」という役割を演じるようになり,夫婦の目を自分に向けさせて,夫婦 の葛藤を和らげ協力させようとします。やすらぎを得ようとする子どものせつ なさです。  頭のよい人が心配性になる傾向があるようです。悪い方に考え,小事にこだ わることで,悪循環に嵌っていきます。人が生きていくということには,何が 良いか悪いかは長い目で見なければ分かりません。今の子どもの状況で「ここ がダメ」と想定される基準からの外れを気に病むと,子どもはすべてに管理さ れ,愛されていないと感じるようになります。「ここまでできて良かったね」 と受け入れて,50%の達成を大事にしてください。やがてできるようになる のが育ちなのです。  2歳の女の子が一週間程「ごめんなさい」と何度も泣きながら,指しゃぶり して眠りにつくようになりました。ママはその寝言を耳にして,娘の気持ちを 感じ取り反省しました。「2歳の子に対して自分は何を焦っているのだろう」。 そう思うと気が軽くなり,眉間の縦皺が消えていきました。「ママ,笑ってい る,久しぶりね」,女の子は眠ったまま何度も笑い声をあげ,目覚めるとダッ コをせがんできます。それまでのやすらぎを一気に取り戻そうとするように!  「さっさとしなさい,グズグズしないで」。日々の忙しい暮らしを切り盛り しているママは,つい邪険な言葉を子どもに向けます。手の掛かる子というマ マの気持ちは,子どもに届いたときには邪魔な子というメッセージに変わって いきます。マザーテレサが,「人間にとって一番不幸なことは,その人がこの 世に必要でないと思われることです」と語りました。拒否されて孤独になるほ ど辛いことはありません。大事なママとのつながりの中に子どもの安らぎはあ ります。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  親は子どもを保護しようとしています。その際に押さえておくポイントがあ ります。安全と安心をセットにすることです。子どものためを思って安全圏に 閉じこめていると,育てなくなります。競争で転んで怪我をした子どもに, 「痛かったでしょう」と治療しながら競争を止めるように言いたくなります。 安全優先です。競争で負けて「悔しいな」と父親が気持ちを受け止めてやれば, ホッとした安心を与えることができます。安全の確保は管理に進み,安心を奪 います。  子どもの社会性は友だちグループを作ることから始まります。グループの中 で陰口を耳にした中学生が,別のグループに入ろうとします。うまく受け入れ てもらえず,悩みを持つようになり,母親が担任の先生に相談させました。先 生は教育の一環としてグループの子どもたちに話し,さらには公開討論に進め ました。相談した中学生は立場を失い,登校できなくなりました。「時間を元 に戻せ,記憶を消せ」と母親に迫りました。母親は一緒に悩む時間を持たずに, 解決を焦りすぎました。  子どもが持つアイデンティティの第一歩は,「私はこの父と母の子どもであ る」という自信です。そこから人生は好意的であるという実感が生まれます。 もちろん,親からの働きかけがなければなりません。   (1) 子どもを歓迎すること。(いるからうれしい!)   (2) 子どもの所有権を表明すること。(私たちの子!)   (3) 空間的な距離を縮めること。(抱きしめる!)   (4) 一緒に食事をすること。(愛情を添えて!)  親の愛は,あるがままの子どもを愛すのであり,あるべき姿を期待してでは ありません。              ・・・《子育ちは やすらぎ抱き あふれ出る》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆       【お子さんの不安な心を癒していますか?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  「産まなければよかった」。道を踏み外しかけて生活の乱れた子どもに,注 意をしても無視する態度をされ,とうとう言ってしまいました。子どもは家に 寄りつかなくなりました。自分の存在を棄却されるのですから,子どもにすれ ばこれ以上の残酷な言葉は無いでしょう。せめて逃げているしかありません。 たった一度の繰り言であったはずですが,傷の深さを癒すのは並大抵のことで はありません。我が子だから何を言っても大丈夫と過信しないでくださいね。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○