□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/01/23]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第277号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■             『児童の権利条約?』  児童の権利条約は,1989年,秋の国連総会で全会一致で採択されました。 その後134ヵ国で批准されました。日本では,90年に条約調印がなされ, 93年に批准されました。児童を「大人が保護すべき対象」から大人と同じ人 権を持った「独立した存在」と認知するという趣旨で,子どもが自分に関わる ことで自由に意見を述べる意見表明権,プライバシーの保護や表現の自由など を謳っています。現実には,保護の名の下に,校則で髪型,服装の規制が行わ れています。  ところで,憲法には子どもという概念が欠落していると指摘されています。 どういうことでしょう? 婚姻の中から新しい別の人間が出現するというアク シデントが想定されていないのです。子どもが登場するのは,第26条の「教 育を受ける権利」,27条の「児童はこれを酷使してはならない」のみです。 また,「すべて国民は法律の定めるところにより,その保護する子女に普通教 育を受けさせる義務を負う」という教育義務が想定されているだけで,子ども は里子的な感じです。  温かな関係が条文からは喪失しています。憲法は,人間をすべて「個人」と 宣言して,「家」というものを追放してしまいました。したがって,生れてく る子どもは必然的に「家なき子」になってしまいます。その綻びを繕うように, 憲法制定から5年後,あわてて児童憲章というものをこしらえざるを得なくな りました。児童,子どもという存在は法制度上付け足しとなっているのです。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12態★         【お子さんの不安な心を癒していますか?】                            《V22:WHERE-02》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  気にかけるという行為は,人を結びつけてくれます。ママは夕食のおかずを 何にしようかと考えながら,家族一人一人のことを気にかけています。パパは 昨日がママの誕生日だったと気がつきます。先生は生徒を「子どもたち」とひ とからげにして,一人一人を見ていません。子どもはちょっとした自分への気 配りを求めています。親が口にする「忙しい,疲れている」ということを分か って耐えています。でも,気持ちの渇きはどうしようもありません。  刺激といえば,何か特別のことのように思われます。しかし,育ちの上では なくてはならないものです。例えば,赤ちゃんを家族の話声や家の物音の聞え ない部屋に寝かせておくと,刺激を受けることが出来ないので,脳が発達せず 白痴になるといわれています。刺激に対して知覚が働くことによって,知力は 構築されていくからです。日常生活の中にある生きていく上での情報が刺激と して子どもに吸収されていきます。子どもを隔離しないでください。  親は期待感をもって子どもに向き合います。そこで,思う通りでない子ども をかわいくないと感じてしまうことがあります。子どもは親の期待感を「見張 られている感じ」と受け止めます。親の干渉的な働きかけを受けて,「サンド ペーパーの上を歩く感じ」と訴えます。それでも,子どもは親の期待を親が喜 ぶからとくみ取って努力しています。いい子です。それでも,本当は子どもは ありのままの自分を受入れ,認めて欲しいのです。親は期待から自由にならな ければなりません。  腕白な子どもがいます。多少攻撃的であり,友だちからは恐れられたりして います。小さな問題が発生したので,担任が保護者と面談をすることになりま した。母は遠くに働きに出ており,祖父母に預けられていました。祖母を待つ 間,一応の事情を語りますが黙っています。何気なく「お父さんと最後に合っ たのはいつ?」と聞くと,ポーカーフェイスが崩れ,大粒の涙が拳の上に落ち ていきました。「小学校低学年の時に別れたまま一度も会っていない」。子ど もの心に大きな傷があったせいでした。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  ハートボイスという子どもの悩み相談があります。留守番電話に語りかける という方式のようです。「わたしはどこにいればいいんですか? 学校に行け ばいじめられ,家の人には学校に行かないと言われ,わたしの居場所はどこに あるんですか? 朝から晩まで布団の中で泣いているしか・・・」。心の不安 はまわりの人が受け止めてくれたら,ずいぶんと和らげられるものです。留守 番電話という器械に不安を打ち明けるしかない子どもは,人であることを忘れ たいのかもしれません。  忙しいと言うときの忙の字は,心を亡くすと書きます。忘と言う字も亡くし た心です。親であるためには,どんなに忙しくとも子どものことを思いやるだ けの心のゆとりを持つべきでしょう。忙しさにかまけて,子どもの心を傷つけ ても仕方がないというのでは,言葉も乱暴になっていきます。「この忙しいの に,細かなことにいちいち構っていられない」。忙しさの限度は,「笑顔」を 忘れるようになったときです。「不機嫌ほど大きな罪はない」とゲーテも言っ ています。  子どもが家族を感じるときとしてあげるのは,次のようなときです。  (1) いっぱい話したいことがあるとき,話を聞いてくれたとき。  (2) 留守番していて誰か帰ってきたとき,帰ったときに「お帰り」    を言われるとき。  (3) 家族で話しているとき,自分の意見を聞入れてくれたとき。  (4) 喧嘩してふくれているときに,「ごめん,おねえちゃん我慢し    てね」と言いわれるとき。 寂しい思いをさせないようにというのではなく,寂しさを感じさせることは必 要です。寂しい思いをしなければ,心の豊かさには気付かないからです。大事 なことは寂しさを癒してやるというフォローなのです。                 ・・・《子育ちは 不安な心 癒しつつ》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆       【お子さんの言語表現を聴いていますか?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  子どもの学力の低下に現れている知力の未発達は「遅い就寝と短眠化」にあ ると,データに基づいて講演などで訴えている先生がおられます。寝る子は育 つという古諺を忘れているから,子どもの不幸を招いているのです。経験から 見つけ出した古諺は,それなりの実効があります。夜になって元気が出るとい うのは,自然のリズムから逸脱しています。大人はいざ知らず,子どもの育ち は自然の営みであることを忘れないようにしてください。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○