□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/03/27]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第286号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■                『童心?』  母親と男の子が水族館に出かけました。説明が流れています。「ここに泳い でいるのは,世界で最も小さな鯨の一種です。スナメリと言います。大人にな っても2メートルにしかなりません。横の階段を上がると,水面で呼吸をする 状態がよく観察できます」。「あーっ来た来た。砂色だ。いるかにそっくり」。 小学5年生くらいの少年は,呼吸を弾ませて見入っています。  「ほら,この上で,詳しく観察できるんだって,上がってみよう」と母親が 促します。わが子の興味・関心を引きだし,それを持続させようという姿勢に 見えます。でも,本当のところは,母親自身が関心を持っていたのかもしれま せん。子どものためと思うのは無理があり永続きしません。子どもと一緒のと きは,子どもになってしまうのが楽です。童心を失わないように。  もう一組の母子がいました。「あーっ来た来た」までは同じ年頃の少年らし い驚きの言葉でした。このとき,母親が突然叫びに近い声を発しました。「さ あ,行くよ。食堂が混んじゃうから」。母親らしい言葉ですが,子どもの自我 を羽交い締めしています。関心がこれから膨らもうとしている出鼻をくじかれ ています。飽きっぽい方に押しやっていきます。うちの子は飽きっぽいんだか ら,とは言えなくなりますね。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12態★         【お子さんの生きる力を育んでいますか?】                             《V22:MATOME》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  和食。それは明らかに他人を信用しています。どういうことでしょうか?  日本料理は完成の一歩手前で出されます。食べるときに各自で作れる所を必ず 残してあります。例えば,刺身はワサビとお醤油を自分流に味付けしていただ きます。ご飯とおかずの組み合わせもそれぞれの好みの分量で口にします。食 べる人の決定を尊重しています。この調理をする側の食す人への思いやり,そ れを「いただきます」と受け取ります。自分の存在を認めてくれていることへ の感謝と言えます。  ハサミ。若い人に多いのですが,鋏を渡すときに,握りの方を持って,刃先 を人に向けることがあります。「刃先を自分が持つと危ない?」ということで しょう。自分をあくまで大切に,自分を基準に考えています。相手に怪我をさ せないようにという発想が育っていません。もし,自分が刃先を向けられたら, はっとするはずです。そして,「危ないじゃないか」と咎めることでしょう。 人の振り見て我が振り直すという生きる力の獲得をしておきましょう。  交流。本読みを喜ぶ子どもたちのクラスがありました。先生はその様子を参 観日に親に見せようと思いました。クライマックスになったところで,いつも 落着きのない子が「オシッコ」と叫びました。後はガヤガヤとなり雰囲気は乱 れてしまいました。先生が見せようとしたことで,子どもとの心の交流が薄く なりました。不安定な子は敏感に反応して,「オシッコ」で先生との関係を結 び直そうとしたのです。子どもは真剣に生きています。邪念は通用しません。  技量。ナイフで鉛筆を削れないという状況は定着しました。それは単なる象 徴に過ぎません。手の器用さが育っていないということですが,それは例えば 表現能力が未熟ということにつながります。ビィーナスのような彫刻,モナリ ザのような絵画が生れる技量は手の能力です。子どもが思うように手を使えな くて癇癪を起こしますが,感性だけでは表現には至らないのです。美術を鑑賞, 批評出来ても,作者を越えることはできません。口ばっかりという不甲斐なさ を味わうでしょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  縦横。親子共に進学競争の縦糸に操られ,友もなく遊びもないという中で, 青春を孤独に過ごしていきます。かつての激しさ程ではないにしても,二極化 した中で傾向は変わっていません。家庭でも,母親は子どもと,父親は会社と, それぞれが縦のつながりをメインにしています。家族には夫と妻の間という横 の関係があります。この糸がしっかりしていないと家族は分離していきます。 子はかすがいと言われますが,直接夫婦がつながっていた方が,子どもに生き る力を与えられます。  生活技術。それこそが生きる力の根源です。生きるということがどういうこ とかを身につける演習です。魚を下ろす,下ろし金で。千切り,みじんに。そ んな例はよく聞かれます。電気釜の内釜の底に小窪みができて,スイッチの接 触不良で故障修理に持ち込まれました。技術者が「手で研ぐだけでどうしてこ うなる?」と疑問に思い確かめると,手で研ぐと手が荒れるから泡立て器で米 を洗っていたということでした。お米を慈しむ気持ちがあれば,手を添えるは ずです。  愛。愛があるから,という言い方があります。ある(存在)のではありませ ん。愛するという行為です。あると思うから,なくなったということも出てき ます。あると思うから,見えない愛をプレゼントという形にしようとします。 そんなモノに勘違いしていては,愛する関係は持てないでしょう。子どもを愛 するためには,傍にいて触れ合うことが基本です。行為は遠くには届きにくい からです。生きる上で愛するという行為は大事ですから,しっかりと伝授して おきましょう。              ・・・《子育ちは 暮らしの中で 生きること》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆     【子どもって,どうして言うことを聞かないんでしょう?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  子育て羅針盤の第22版が完結しました。次号からは「子育ち12迷路」と いうテーマで第23版に移行します。スタイルの変更はありません。段落毎に 読みきりとして書いていますので,好きなところだけお読みいただけると思い ます。書いている方は話材を揃えるのに難儀しますが,なるべくいろんな局面 を盛り込もうと努力しています。  ところで,最近少しばかりご感想のメールが減っているようです。どうぞ気 楽に下記アドレスまで数行で結構ですのでご意見などをお寄せ下さい。時々い ただいたメールの中にウィルス感染のためにブロックされて届かないものがあ るようです。不着なので定かではありませんが,ご返事を出せないままになっ ている方へのご無礼は事情をお察しいただいてお許し下さい。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○