□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/05/15]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第293号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■               『文化?』  情報化社会。子どもは今の時代に育ちます。その今の時代は情報化で特徴づ けられます。そうなった背景は,不確かな未来を巡っての競争です。例えば, 株価がこの先どう動くかといった関心が世間的に大きくなったことなどです。 その判断を支えている情報は常に未来を向いています。そこでは,今日の情報 は昨日の情報を陳腐化することによって成立ちます。新しいことだけに価値が あるという世界観が蔓延していきます。情報機器の新発売も繰り返されていま す。  新しいか古いかだけが判断の基準になり,型落ちしたモノは25日を過ぎた クリスマスケーキと同じ扱いを受けます。人が持ち続けていくべき善悪,真偽, 美醜の価値は旧いといういわれのない尺度で脇に退けられていきます。人の行 動の指針となる価値観が,価値観の多様化という波に遮られて,子どもに届か なくなっています。むしゃくしゃしたからという理由で,心の暗闇の中で暴れ てしまい,事件を招き寄せていきます。心の闇の中で光る価値観を持てない不 幸です。  情報化は進歩を内蔵する科学技術に伴って現れた特徴です。科学は発明・発 見など新しいことに価値を置きます。大きな区分けをすれば,暮らしを彩る文 明の姿です。ところで,人が生きるということは文化の支えが不可欠です。文 化的価値観は伝統を重んじながら,悠然とした優しさを持って人を生かしてく れます。でも,現状は少し逸脱が目立ちすぎます。例えば,信頼が基盤である 世間を偽って,分からなければいいと不誠実な所業をしでかす輩が出没してい ます。文化の脆弱さの現れです。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12迷路★     【子どもって,どうして用心しようとしないんでしょう?】                            《V23:WHAT-01》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  わがまま。家庭や学校では,管理上という名目で,子どもに余計なことをさ せないようにしています。子どもはお客様として育っています。例えば,ドア を開け放しにして入ってくる女性がいます。「閉めて下さい」と言っても,平 然として「ドアは自然に閉るものだと思いますが」,「あれ違ったかな」。そ れでも立ちません。研修の場で仕出し弁当が出ました。若い女性が喜々として 配ります。「あれ一つ余っちゃった?」,「ああ,そうか,先生の分だわ」。 礼儀という用心ができません。  援助。災害地に向けて援助物資という名目でモノが送られます。一般の方が する場合,自分の要らないものを出しているだけになりがちです。例えば,子 ども用のパーティドレスなどはすぐ小さくなるので不用となり,よい機会と途 上国に送り出されます。簡単に押し入れのゴミを始末でき,更に気の毒な人を 助けたという善意の気持ちも持つことができます。でも,あげるなら自分が必 要としているものをあげるように,相手の生活を思いやるのが用心です。用心 のない善意は迷惑になります。  ペット。子どもは小動物が好きです。手元に置きたいと思うと,飼ってとね だります。飼う理由は,家族の一員として,情操教育に,優しさを引き出す対 象に,といろいろ考えられます。ところで親の方は,世話の忍耐を真っ先に考 えます。結果として,子どもはクラブで多忙になり,興味も移り,親が世話を します。それが難しい状況では,行政の手で処分? そのとき,子どもが悲し むから内緒で,とはしないことです。一時の気まぐれや無用心の結果を教えな いと,「犬死?」になります。  視野。物事を考えるとき,どういう範囲・広さを想定するかが大切です。視 野が広いか狭いかということです。例えば,演歌では,昔は「遠く,皆で」と いう広がりがあり,視点は「LONG」でした。星空を見るといった歌詞が見 られました。最近は「近く,二人」という狭さになり,視点は「CLOSE UP」で す。人の視野が身近に狭まったことを反映しています。いきおい人の付き合い も狭まって,皆でという発想が薄れてきました。近視眼的な視野になっていな いか,ご用心を! ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  ラッキー。努力をして手に入れるという地道な行動が,若い世代に伝わって いないように見えます。試験にしても,ここが出題されるという事前の指示が ないとできないと訴えてきます。同じ種類の問題でも少し変えると,手をつけ ようとしません。しまいには,テストの点が良ければ「ラッキー」という始末 です。理解の結果ではなく,単に運が良かったと白状しています。ちょっと考 える努力をすれば報われて,能力につながるはずです。少し先を考える努力, それが用心につながります。  天気観望。暮らしの中で気象状況は,かなり用心しなければなりません。寒 暖や晴雨を見分ける用心が,体調維持につながります。雲の動きを知れば,晴 雨の判断ができます。今はひまわりの映像で雲の動きを見ていますが,そのた めに自分の頭上の雲を直接自分の目で見ることはしていないでしょう。日の出 を見たことがない子ども,それは気象への無関心の証拠です。また,川の水の 増減を見ていることで,水の事故に対する用心にもなるのですが・・・。  知力。「あ,それ知ってる,知ってる」,「テレビでやってた」。子どもた ちはいろんなことを知っています。でも,それまでです。大人も世間のことに あれこれご意見らしいことを言われますが,それまでです。自分で何か行動す るという展開が見られません。知っていることとできることの間には大きな段 差があるということです。そのことを弁えていれば,もっと実効的な知力を得 ようと経験に努めるはずです。「できもしないのに!」,そんな不用心は避け たいと思われませんか?                ・・・《子育ちは 先の用心 できるよう》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆     【子どもって,どうして加減しようとしないんでしょう?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  子どものしつけは,方向性を持ちます。行為を正と負の価値に分けて,正 (プラス)の価値を追求する方向をしつけはめざします。そこで,負の価値は できるだけ削られます。でも,負の価値は個性を伸す材料,すなわち正の価値 を生み出すこともあります。例えば,おとなしいのは優しさ,のんびりは確実 さといった風に別の尺度を当てると,無駄なものはないということになります。 子どもを見るときに,温かな目で見てやることが大事になります。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○