□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/05/29]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第295号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■               『自己愛?』  自己愛。しばしば登校拒否の原因ともいわれます。総じて今の子は自己中心 的です。例えば,優等生は周囲の期待に応え,自己愛を満たすために猛勉強を します。バランスを壊すと,中学で狂い,自己喪失という脇道もあります。安 易に気に入った自己イメージに合わせようとすると,格好だけを気にするよう になります。見られる自分に過度に気を遣うようになると,振り回されている 自分が見えなくなります。  手っ取り早く自己イメージを確かなものにするためには,自己否定した上で 成り立つ倫理的・社会的な理想像を持とうと焦ります。幼児がヒーローやヒロ インになろうと真似をするようなものです。スイッチポンであっという間に変 身できるかもしれないと錯覚しています。幼い子どもの他愛のない夢であるう ちはいいのですが,何時までもそうあっては困ります。その切り替えをするた めに,体験という手続が有効になります。体験の意味は,自分の弱さを思い知 ることです。  夢や理想を追い求めることは育ちの原動力ですが,焦りや安易な期待はエン ストを招くだけです。急には育てないという待ちの姿勢が必要です。今現在は ただ「らしくなろう」とするだけの所で止まれるように,気持ちの余裕を持つ ようにしつけましょう。身の丈のモデルを持つということです。そのためには, 豊かな体験を与え,自分は特別な人間(可愛がられ,尊敬されるべき?)とは 思わせないように,適切なブレーキを掛けてやりましょう。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12迷路★     【子どもって,どうして待つことができないんでしょう?】                             《V23:WHY-01》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜こんなこと・あんなこと〜  明日。人は誰しも明日を待ちます。明日がないと思い込んでしまうと,とて も辛くなります。ところで,明日をどのように待てばいいのでしょう。「明日 が来る」と思えば,何かしら追い立てられているような気持ちがしませんか? そこで,「明日を迎える」と思うようにしましょう。主体的に意識する態度を 持てば,明日を待つことができます。何時までも明日が来なければいいという 気分の時もありますが,そんなときこそ新しい今日を待つことができるはずで す。  不自由。日本人の今の生活を概観すると,自分の行動に少しでも不自由があ ると,もう許せないと大仰に騒ぎ立てているようにみえます。ちょっと立ち止 まって待つ,その間にじっくりと自分には何ができるかを考えれば,道は拓け てきます。それが待てないために,すべてのことがまわりや人のせいに思われ て,口を尖らせながら,気持ちを険悪な方向に逸らしていきます。可能性を封 じているのは自分の性急さであることに気付くためにも,ゆっくりお茶でもし てみましょう。  ビールの味利き。味利きをする条件として,空腹であることがあげられてい ます。味覚が鋭くなるからです。空腹であれば何でも美味しくなるといわれる のも,同じ理由です。ビールを試飲する合間には,食パン,フランスパンを口 にして味を戻すようにします。無味にさらすことで,味を待つ状況にリセット し直すのです。白紙の状態になることは,新しい待ち状態に入ることになりま す。次から次に口にするという食べ方は,上品とは言えないだけでなく,味音 痴につながります。  三分法思考。遠藤周作の一文の抜粋です。「まったく幸福とは言えぬが,し かしそれほど不幸ではない三つ目の状態がある。歓びと悲しみの中間の感情も 存在する。中間とか対立したものを併合した状態もある」。ともすれば,幸福 と不幸,健康と病気,善と悪といった二分法にとらわれます。対立した二つに 分けるとはっきりするからですが,人のことはそんなに割り切れるものではあ りません。例えば,中肉中背といった曖昧な部分が普通であるように,思考を 急がずじっくり中間を意識しましょう。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  目標。夢や希望という明日の目的に向かうために,今日の目標が想定されま す。目標とは今現在に目指すものであり,今努力を傾けるものです。決して結 果ではないということを知っておいて下さい。目標には,弱い自分でも今出来 ることを掲げます。可能性のあることが条件であり,だから努力できます。努 力をしながら待っているから,目的に近づいていくことができます。コツコツ と励む,それは結果を急がずに待つということなのです。  子ども像。しつけをするとき,「子どもはこうあるべき」という期待像を持 っています。そのこと自体は正しいことなのですが,気をつけなければならな いことがあります。将来を引き寄せて今こうでなければというイメージを持つ のは危険です。先走った期待像を押し付けると,子どもは親好みの子どもにな らなければと無理を強いられ,親の顔色を窺うようになります。駆り立てられ るから疲れやすくなります。「あるに越したことはない」と思って,育ちをじ っと待ってみませんか。  生活体験。子どもは親,大人,教師のいうことを聞かなくなってきます。大 人たちに対して,凄いな,さすが,偉いなという感じを心底から持てていない からです。例えば,胡瓜を薄く切ることを,子どもは包丁で切れば簡単と考え ていますが,生活の中で体験すると難しいことに気付きます。なのに母は難な く切り揃えていきます。凄いと感心します。親の強さは怒鳴りつけることでは なく,生活の端々でしてみせることです。何時か大人のようにできるようにな りたいと,楽しく待つことができます。              ・・・《子育ちは 楽しい明日を 待ちながら》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆     【子どもって,どうして気持ちが安定しないんでしょう?】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  人が避けることのできない四苦とは,生老病死です。よく見ると,生が何故 苦なのかと思われます。生きることが苦になる,それは生きていると「思うに 任せぬこと」が多いからです。そこで人には考えるという力が鍛えられてきま した。なんとかしようという生きる力です。思うに任せないから人生はおもし ろいという感想は先のこととして,考えれば何とかなると信じて,あれこれの 考えがまとまるまで待ちつづけて生きていくしかないようですね。待てば海路 の日和あり。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○