□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ [2006/09/25]            【子 育 て 羅 針 盤】                              (第312号) □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ■子育て一言メモ■       『人間には,不幸か,貧乏か,勇気が必要だ!』  結婚式のときに,いろんな方からご祝辞を頂き,また謝辞もあります。その 言葉の中に,「二人のこれからの生活は苦難の山あり谷ありでしょう。・・・」 という一節があるはずです。そして結婚の現実には,こんなはずではなかった という想定外の苦難が大小織り交ぜて飛び込んできます。それを何とかしのぐ 協力によって夫婦の絆が固く結ばれていきます。暮らしの中では右往左往する ことがしょっちゅうです。結婚生活は上下の山谷だけではなく,左右のブレが つきものです。  自転車のハンドルがロックして動かなくなったら,おそらく転倒することで しょう。自転車が倒れずに前進できるためには,ハンドルが左右に動くことが 必要です。つまり,自転車は常に左右にブレながらそれを修正することで立っ ているのです。たとえば,ペダルを漕がずに乗っていようとすると,ハンドル を左右に動かすはずです。生き方も同じです。右に傾いたら左に修正する,そ の逆の連続で,真っ当に日々を送っていけます。その手法を大きく使って時代 を見ることをお勧めします。  今の時代は民間活力を主体にしようとしています。いわゆる自由競争です。 これまでのような保護重視ではなく,個人の生き方を大切にする自由を重視し ようとしています。ということは,あらゆることが自己責任に拠ることになり ます。誰も世話をしてくれません。それは余計なお世話というわけです。自分 を大事にしようとすることはそれだけの覚悟と能力が押し付けられているので す。なぜなら,自由競争には避けられないリスクが内蔵するからです。  自分のことを大事にする,他人のことはとやかく言わないから構わないでと いう基本姿勢が主流のようです。核家族になって肉親からも離れ,ご近所から も支え合いを失い,友だちといっても遊び仲間でしかなく,頼れるのは自分1 人,それが自分を大切にし過ぎる顛末です。社会生活とは個人の生き方を大切 にばかりしていては成り立ちません。どうもその辺の勘違いが時代のズレのよ うです。ハンドルを切る癖を付けておかねば,子どもの未来が心配です。  冒頭の言葉は,ツルゲーネフに拠ります。「でないと人間はすぐに思い上が る」と続きます。豊かな社会になると,何もすることがないと思われて,退屈 という虫を慰めることしかしなくなります。例えば,ゲームで時間つぶしをす る暮らしはまさに放蕩であり,生きるという能力を枯れさせていきます。子ど もたちの育ちと社会状況のズレはますます開いていくばかりです。親は明日の 時代を見越して子育てをする役割があります。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ ★子育ち12モード★     【あなたのお子さんは,自分を大切に暮らしていますか?】                             《V24:MATOME》 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇  〜お互い様の道理?〜  自分のことは自分で。その子育てが自分のことしかしない子どもを育てては いないでしょうか? 自分を大切にという素敵な言葉に魅了されて,暮らしの 感性が大きく振られているようです。修正をする時機が遅れると,それだけ戻 るときの苦しみが増していきます。一般にどんな価値観でも過ぎるとかえって 危険なものになります。思いこみもほどほどというのが,古来からの生きてい く知恵でした。行き過ぎないうちに方向を逆に向ける時機に至っています。  社会が個人を抑圧していた時代に対する反省から,自分を大切にという方向 への転換がクローズアップされました。それは確かに意味があるものでしたが, いつまでもその方向に走っていると,今度は社会生活が壊れていきます。個人 のことだけではなく,周りの人との暮らしのことも念頭に置くような逆戻りの スタンスを持ち込まなければ真っ当な暮らしという道を外れます。右に行き過 ぎたから左に転じたのですが,今度は左に行き過ぎようとしているのです。  自分を大切にということを,背景抜きに単純に子どもに信じ込ませては危険 です。バランスのとれた判断による自分の大切さをしっかりとしつけて欲しい のです。ごく単純にいえば,家族の中の自分,友だち関係の中の自分,地域の 1人としての自分,そのような関係を成立させることが自分を大切にするとい うことです。若者を含めて今の子どもたちは,親は親,友だちは友だち,人は 人という見方で,そこに自分を結びつけることができていません。だから,孤 独になっています。  ママは起こしてくれる人,自分は起こされる人。ママはご飯を作ってくれる 人,自分は食べる人。そのように育てられていけば,自分は大切にされている と思うことでしょう。その上にもう一人の自分が自分を大切にしようとすると, 糸の切れた凧のように際限なく舞い上がり,やがて落ちていくはずです。大切 にされたら,周りの人を大切にしようとすることで,自分を大切に生かすこと ができます。この逆説は子どもには理解できないでしょうが,それがしつけの 難しさになっています。  ・・・上品と下品との違いは,人に対する思いやりの有無です。  河川敷でゴルフをして危険をまき散らして平気な大人,深夜に花火を打上げ て傍若無人に騒ぐ若者,公道を我が物顔に暴走する痴れ者,私利私欲にかまけ て将来を棒に振るいい年齢の大人たち,自分を大切にしておられるのですが, それが皆から嫌われることになるという分別の持ち合わせがありません。結局 の所,周りからは大切にしてもらえません。一事が万事と考えれば,少しの気 配りができないために,あらゆる局面で社会的に良好な関係を結ぶことができ ないことでしょう。育ちの手抜きです。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞  〜ママへのメッセージ〜  ※慎みという美しさ!  思うがままに暮らしてどこが悪い? そう思う人は無人島で1人で暮らせば いいでしょう。社会生活をしようとするなら,それは傍迷惑でしかありません。 例えば,ストーカーなどは自分の思いだけで動いています。それはわがままを 通り過ぎています。わが子がそうならないように,しつけをしておいてやるこ とです。しつけは今のことだけではなく,大人になって効くものもあります。 自己主張・実現は慎みの伴ったものでなければなりません。  子どもたちの言葉遣いが大人に対してもため口になっています。堅苦しくな いフランクな会話としてお目こぼしされていますが,そのままでは大人のちゃ んとした関係を結ぶことは拒否されます。相手に合わせるということは自分に は面倒なことであり,自分を大切にすることに反するという感覚があるのかも しれません。言葉遣いがぞんざいであれば,人としての品格が疑われます。お 上品である必要はありませんが,効いていて心地よい言葉遣いをしつけておき たいですね。  おしゃれは何のためにするのですか? 誰のためですか? 見られておかし くないため,見られて素敵と思われたいため,それとも勝ちたいため,いずれ にしても人の目を意識しているようです。自分1人のときはスッピン丸裸で平 気ですから! 自分を大切にする装いは,人の評価に耐えることです。そのと きでも,けばけばしいのは時と所が限定されて,普段には逆効果になります。 ナチュラル? 自然は慎ましやかです。野に咲く花のように。  自分探し。そのプロセスとして自分にふさわしい仕事探し。それは青い鳥探 しと同じです。世間は自分のためにあるのではありません。人は世間に合わせ て生きていくしかありません。関係の中に自分をはめ込むという,自己修正が 伴います。例えば恋については,好きだから恋ができるのですが,好かれる自 分だから恋が実ります。少し長い目で見れば,自分は付き合ってきた人のせい で変わってきたと気がつくはずです。今の自分に捕らわれず,人と共により良 く変わることを楽しみましょう。 ・・・《子育ちは 関わる人の 和の中で》 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ☆次号予告☆      【もう一人の子どもが誕生し育っていきます!】                           どうぞお楽しみに! □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ★編集後記★  人は物事を自分の都合に良いように考えるものです。自分を大切に。それを 自分勝手にしていいと解釈してしまいます。社会生活は自分を抑え込むことで 成り立っています。その前提がある中で,なるべく自分を大切にするようにし ようということです。前提を無視した解釈は危険です。言葉尻を取るというこ とがありますが,それは背景となっている前提を無視することから起こります。 社会を知らされていない隔離された子どもたちは,解釈を間違えてしまいます。 生活体験を大切にして下さい。  第24版は完結します。2000年9月末から配信をはじめたこの子育て羅 針盤は,3か月ごとに版を改めて来ましたので丸6年を終えることになります。 次号からは7年目に入ります。7年目の何とやらで,基本的な12の性能はそ のままに,モデルチェンジをしようと考えています。かなり短めになると思い ます。どうぞお楽しみにお待ち下さい。 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●タイトル:『子育て羅針盤』 [Kosodaterasinban] ●発行期日:毎週月曜日正午(2000年09月25日より) ●発行責任:モリのクマさん(詳細はHP「徒然窓」〜プロフィールに)   「徒然窓」= http://www5a.biglobe.ne.jp/~mbear    ・・・・・・「掲示板」もご相談などにご利用下さい。・・・・・・ ●掲載記事の著作権は筆者に有り、筆者の許可なく複製・再配信等を行う  ことはできません。事前に下記アドレスまでメールのご一報を下さい。 ■《講演》のご依頼は,メールで気軽にお問い合わせ下さい。 ※著者へのメッセージ: mori-bear@mvd.biglobe.ne.jp ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ●配信の協力を頂いている発行支援システム ◆インターネットの本屋さん『まぐまぐ』= http://www.mag2.com/   登録・解除= http://rap.tegami.com/mag2/m/0000046251.htm ◆メルマ***『melma!』= http://www.melma.com/   登録・解除= http://www.melma.com/mag/37/m00019737/ ◆無料メルマガ発行サービス『メルマガ天国』= http://melten.com/   登録・解除= http://melten.com/m/2166.html ◆よりすぐりメルマガサイト『めろんぱん』= http://www.melonpan.net/   登録・解除= http://www.melonpan.net/mag.php?005885 ※解除される方は,登録された配信先の解除手続きをして下さい。 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○