[内の引橋]
この城は南と西と北の三方向は入海で、白波が立ち岸を洗い、そのがけは高くてけわしい。
獣もここを速く駆けることはむずかしかった。城の広さは三十町四方である。城の東の一方
だけがわずかに二十間ほどで陸地に続いていた。ここに堀を深く施し、門一つを設けたので
百万騎が攻め向かっても、力攻めでは攻略しがたく思われた。
(小田原北條記)