三古毅の「あんな出来事・こんな発見」

隆起性皮膚線維肉腫
2008/4/26

こんにちは

決して楽しい話題ではないので、これまでこのサイトに書かなかった事があります。
私は、隆起性皮膚線維肉腫を患いました。(繊維ではなく、線維です)
同じ病気で悩んでいる方々がいることはネットで知っていましたが、自分が完治するまでは迂闊な事は書いてはいけないと思い、この話題は避けてきました。
しかし、症例が少ない為に情報が乏しく、同病の方が私と同じ失敗をしないためにも、体験談を書いておこうと思います。


隆起性皮膚線維肉腫は、DFSP(Dermatofibrosarcoma protuberans)とも呼ばれています。
腫瘍には良性と悪性がありますが、残念ながらDFSPは悪性に分類されています。
表皮(上皮)に発生する悪性腫瘍を「がん」と呼びますが、この病気は皮膚線維の中にできる腫瘍なので「肉腫」と呼ばれます。
他の臓器へ転移する可能性は低く、生命の危機に直結することは少ないといわれています。
製薬会社からの情報では、発現頻度は年間20万人に1人と言われています。


私が最初に異変に気が付いたのは6年前でした。
おへその横に、直径1センチ位のイボ状のふくらみができました。
つまんでみると、体内にはもう少し大きい”しこり”が感じられます。
別に痛くも痒くもないのですが、やはり気になったので近所の開業医に行きました。
診察後、その場で切除されました。
5,6針縫う程度だったと記憶しています。
抜糸と消毒に何度か通院しましたが、細胞検査はしませんでした。

2年後、再び同じ場所に”しこり”ができました。
その時も別の開業医で切除してもらいました。
前回と同じく日帰りの処置でした。
しかし2週間後、切除した細胞を調べた結果、隆起性皮膚線維肉腫と診断されました。
先に組織診検査をしていれば違う処置ができたのでしょうが、すでに抜糸も済んでいたので再手術する気になれませんでした。

さらに2年後、再々発しました。
正確に言えば、1年半後には異常に気が付いていました。
同じ場所が膨らんできて、前回・前々回と同様に体内にはもう少し大き目の肉腫をつまむ事ができます。
しかし、今度は大きな手術になることを知っていたので、なかなか病院に行く勇気が無く、半年間も放置してしまいました。

この半年で肉腫は大きくなりました。
おへその横に直径5センチ、ふくらみは1センチ程度、体内にはゴルフボール位の肉腫をつまむ事ができました。
友人の看護士に相談し、横浜市立大学付属病院で診察を受けました。
神奈川県ではトップクラスの医療機関です。

生検検査(組織診検査)・CT・MRIで病巣の位置と状態を確認しました。
私の場合、植物の根が地中に伸びていくように、肉腫は体内に広がっていました。
そのため、大人の靴底ほどの面積の皮膚と腹筋を失いました。
手術は全身麻酔で行われ、ちょうど10時間かかりました。
入院は2週間、退院後も1ヶ月は自宅療養を必要としました。

横浜市大病院の担当医にはお叱りを受けました。
なぜ、もっと早く病院に来なかったのかと。
なぜ、開業医の外来で済ませてしまったのかと。
なぜ、病名が判明したときに然るべき処置をしなかったのかと。

肉腫というのは、ちゃんと取らないと再発する可能性が高く、最低でも病巣の周囲5センチは切り取らなければいけないそうです。
初期の段階で病巣が小さければ小さいほど、手術も楽に済みます。
虫歯を放置しておくと、後になって痛い治療を受けることになるのと同じです。
早めの治療が肝心ということです。

 
この病気は治ります。
しかし、時間がたてば自然に治るものではありません。
もし、体に異常を感じている人がいたなら、一日も早く病院に行くことをお勧めします。
すべてのケースが肉腫とは限りません。
単なる脂肪の塊であったり、良性の腫瘍であることの方が多いのです。
自己判断をせずに専門医に診てもらうことです。
開業医ではダメということではありませんが、紹介状を書いてもらい、大学病院クラスで診察を受けた方が安心できると思います。

隆起性皮膚線維肉腫は「がん保険」が適用されます。
「皮膚がんは適応されない」と約款に書いてある場合がありますが、隆起性皮膚線維肉腫と皮膚がんは全くの別物です。
契約内容によって異なるでしょうが、私の場合、一時見舞金・手術給付金・入院給付金の支払いを受けました。


術後、半年程度は縫合部に違和感がありました。
しかし人間の体はよくできていて、わき腹や腰の周りからもってきた皮膚は腹部でちゃんと機能しています。
今では入浴時以外は手術のことを意識することはありません。

これまで3ヶ月に1度、CTスキャンで腹部を検査してきました。
前回の診察で、「再発の兆候は認められない」と言ってもらえました。
それでも念のため、半年後にCTと診察の予約を入れてあります。

繰り返します。
隆起性皮膚線維肉腫は手術を受ければ治すことができます。
早く専門医に診てもらってください。