アンサンブル・ギオーネ
地域に根ざす合唱活動(CONCERT 2003 プログラムより)
松下 耕
今回のギオーネの演奏会では、《北越戯譜》という、新潟県で採取された、盆踊り唄や、手遊び唄などが、不確定的にうたわれる、「シアターピース」(視覚的演出を伴った合唱)を「上演」することになった。
この曲は、実に自由な曲で、楽譜には、現地で採取された各民謡(わらべうた)が、そのまま書かれているだけである。わたしたち演奏者は、これら複数の曲を、自由に組み合わせ、また、自由な動き、演出をつけて演奏する。なんとも、楽しい作品なのである。
私と、ギオーネは、この楽しい作品を、地元南河内町の子どもたちと一緒に作っていこうと考えた。合唱団という存在は、その内部の人間関係をあたためたり、音楽的な技術向上を図ったり、より高い芸術の境地に到達するよう、日々努力していくことが要求されるものだが、私は、これからの合唱団、特に、地方都市にある合唱団は、その土地の人間たちの横軸として機能すべきだと考えている。つまり、合唱団が、地域と連携することによる、ひとつの社会奉仕、とでもいおうか、社会活動をすることにより、その地域の文化活動がより豊かに潤っていくことを目標とした活動をするべきだと思うのだ。
昨今、教育指導要領の改訂により、学校教育の中での音楽の時間数が激減している。子ども達は、ますます音楽芸術に触れる機会が少なくなっているのが現実である。ならば、地域の音楽団体が、積極的に社会と関わりを持ち、子どもたちと、高い次元での音楽活動をコラボレートする機会を増やせばよい。同じように、社会活動として、合唱団は、お年寄りや、地域の方々との共生を図ってゆけばよいのだ。音楽を通して、人間と人間の連鎖が強くなっていく。考えただけで、楽しくなるではないか!
今回の「プロジェクトH」の上演にあたり、町の学校教育課、公民館、児童館、お囃子会の方々はじめ、本当に多くの方にご協力をいただいた。そのご協力に心から感謝するとともに、行政の方々、教育関係者の方々、一般市民、町民の皆さんが、合唱という文化活動に対して、より深い興味とご理解をいただければ、今回の「北越戯譜」の目的は大きく達成できたといえよう。
これからも、ギオーネは、地域に根ざした活動をしていきたいと思っている。少しでも多くの方に、音楽のすばらしさを認識していただけるように。
****** (全体、部分にかかわらず、上記文章の転載はかたくお断りいたします)