ハイ・クリエイト・ワン あとがき 拙著、ハイ・クリエイト・ワンは楽しんで頂けましたでしょうか。
この小説はパソコン店で店長をしている光月の友人の嘆きが執筆のヒントになっています。その友人は「パソコンがこれだけ進歩したのに、素人が高性能なパソコンを使えるのはおかしい」と言うのです。友人はパソコンを買ってから思うように使いこなせず苦情を言うお客がとても多くて閉口していたのです。そして「自動車に免許証がいるだから、同じようにライセンスを発行してそのレベルに合ったパソコン以外は使えないようなシステムにすべきである」と、提言したのです。
その言葉を聞いた時、ライセンス制度となったコンピューター社会を描いた小説を書いたら面白いのではないかという構想が浮かびました。
でも当初から今のような話では有りませんでした。ハイグレードなコンピューターライセンスを所持する者が裏組織から追われるという、サスペンス物のような物語でしばらくは進んでいたのですが、もっとエンターティメント性の高い物にしたいと考える内に、どんどん話が派手になって最終的にはこのような物語となりました。
50年後の世界が本当にここで描かれているような物であるという保証はありませんが、光月は将来50年の間では極端な技術改革はなく、現在の延長線であるという考えを持っていてその線上から近未来世界を描きました。
コンピューターライセンスについても、社会的に余程の事がない限り導入はされないでしょう。だからここでは戦争をその理由にしています。戦争に勝利する為であれば、参戦国はどんな苦労も惜しまないから、それなら現実には有り得るかも知れません。
HDカードやHDIなどは実現可能と聞いています。バイオコンピューターやA・I技術なども現在研究が進んでいて、これから登場してくる可能性はとても高いでしょう。
さてこの小説ですが、読まれた方は最初の文章と最後の文章が同じなのに気がつかれましたか? この小説にはそんな光月のお遊びが色々なところに散りばめられています。例えばランバートとリリアンのラブシーンで映画のタイトルをお互いが言い合うのですが、その映画の内容で彼らの今後を予想する事が出来るようにもなっています。
まあ難しい事は抜きにして、これからの半世紀どんな世界になるか皆さんも想像力を働かせてこの小説を読んで頂けたら本当に幸いです。
勿論この物語のような出来事はお断りですが・・・・・・。