1. 書き方に関する問題

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(正)(許)(△)(誤)のしるしの基準

(正)

規範的、標準的、一般的な形   国語表記の本則

(許)

現代仮名遣い・送り仮名の付け方など、国語表記の許容

(△)

やや一般的でない形  やや適切でない形

(誤)

表記・用法上の間違い

 

(あ)

(1)(正)あ(敢)えない最期(さいご)(誤)あえない最後

(誤)栄華(えいが)を極めた平家の公達(きんだち)も、壇(だん)ノ浦(うら)の合戦(かっせん)あえない最後を遂げた。

(コメント:「あ(敢)えない(=あっけない)最期」が正しい。「命の終わるとき。末期(まつご)」の意では「最期」を使う。なお、「会えない最後(最期)」という誤りも見られる。なお、常用漢字表には「敢 カン」とあり、「あ‐えない。あ‐えて」の訓は示されていない。)

 

(2)(正)あくどい / (誤)悪どい

(誤)わたしは、悪どい商売をしてまで金をもうけたいとは思いません。

(コメント:「あくどい(=やり方が行き過ぎていてたちが悪い)」が正しい。「あくどい」は、「灰汁(あく)がくどい」から生じた語といわれる(別の説もある)。「悪どい」は、「悪辣(あくらつ)」などとの紛れによる誤記か。)

 

(3)(正)あく(灰汁)の強い人 /(誤)悪の強い人

(誤)あの課長はやり手だが、悪の強い人なので皆近寄りたがらない。

(コメント:この語でいう「あく」は、「灰を水につけてできた上澄みの水」のこと。「あく(灰汁)の強い人」が正しい。「他人には多少抵抗が感じられる、強い個性のある人」を意味する。)

 

(4)(正)味わう /(誤)味あう

(誤)自家の畑で今年はじめてとれたカボチャだから、よく味あって食べることにしょう。

(コメント:「よく味わって」が正しい。「味+合う」ということではない。「にぎ(賑)わう」も「にぎあう」とは書かない。)

 

(5)(正)預かり金 /(許)預り金

(許)預り金五万円の領収書を手渡す。

(コメント:送り仮名の付け方について。「預かり金」が本則。許容の「預り金」は法令などで使われる。)

 

(6)(正)当たる /(許)当る

(許)車にはじき飛ばされた小石が通行人に当った

(コメント:送り仮名の付け方について。「あた・る」は、「当てる」との関連で、活用語尾の前の音節から送る「当たる」が本則、活用語尾だけを送る「当る」が許容。「あたる」の名詞形「あたり」についても、「当たり」が本則、「当り」が許容である。)

 

(7)(正)圧巻(あっかん) (誤)圧観

(誤)あのドキュメンタリー番組では、バッファローの大群が川を渡るシーンが圧観だった。

(コメント:「圧巻」が正しい。「圧」は「おさえる」、「巻」は「答案用紙」の意。昔、中国で、官吏登用試験のとき、最優秀の答案を他の答案のいちばん上にのせたことからいう。なお、「圧感」という誤記もしばしば見られる。)

 

(8)(正)(あと)片付け /(正)(あと)片付け

(正)多くの家庭では、食事の用意や跡片付けは主婦に任(まか)せきりになりがちだ。

(コメント:「あとかたづけ」を「跡片付け」と書くと「(散らかった状態になっている)跡を片付けること」、「後片付け」と書くと「(時間的に)後で片付けること」ということになる。両方とも正しい表記であるが、新聞では「後片付け」を用いる。一般的にも「後片付け」が優勢である。「あとしまつ」の「後始末」と「跡始末」の関係も同様である。)

 

(9)(正)(あと)を絶たない /(正)(あと)を絶たない

(正)昔も今も、若者たちの冬山での遭難は後を絶たない

(コメント:国語辞典には多く「跡を絶たない」とある。新聞では、「容疑者が跡を絶った」「事件が後を絶たない」など、「跡を絶つ(=動静・行方(ゆくえ)が分からなくなる)」と「後を絶たない(=物事が引き続いて起こる)」とを使い分ける。)

 

(10)(正)甘み /(△)甘味(あまみ)

(△)最近のケーキや和菓子には、甘味(あまみ)を抑(おさ)えて作ってあるものも多い。

(コメント:「あまみ」に「甘味」を当てる表記法もかなり行われているが、「あまみ」は「甘み」、「かんみ」は「(人工)甘味。甘味(料)」と書き分けたほうがわかりやすい。「甘み」の「み」は、「深み」「弱み」「真剣み」など、形容詞・形容動詞の語幹に付いて程度や状態を表す接尾語で、仮名で書く。)

 

(11)(正)粗筋(あらすじ)(△)荒筋

(△)ダイジェスト版で「戦争と平和」の荒筋を読んだだけで、さも実際に読破したかのように語る人がいる。

(コメント:「あらすじ(=細かい部分を省いた、大まかな筋道)」は、「粗筋」が本来の表記である。しかし、国語辞典の中には、「粗筋・荒筋」と両方を併記するものも多い。)

 

(12)(正)表す /(許)表わす

(許)旅の感懐を文章に表わす

(コメント:送り仮名の付け方について。「あらわ・す」は、活用語尾だけを送る「表す」が本則、活用語尾の前の音節から送る「表わす」が許容。)

 

(13)(正)著す /(許)著わす

(許)彼女は自費で自叙伝を著わした

(コメント:送り仮名の付け方について。「著(あらわ)した」が本則。)

 

(14)(正)現れる /(許)現われる

(許)練習の効果が現われた

(コメント:送り仮名の付け方について。「現(あらわ)れた」が本則。)

 

(15)(正)暗唱(あんしょう) (△)暗誦

(△)頭の柔軟な高校生のころは、一週間もしないうちに百人一首が全部暗誦できたのに、今では昨日(きのう)習ったパソコン操作のいろはをもう思い出せない。

(コメント:「あんしょう」は、古くは「暗誦」「諳誦」と書いたが、現代表記としては「暗唱」が一般的である。なお、「誦」「諳」は常用漢字でない。)

 

(16)(正)按排・按配(あんばい) (△)案配

(△)テーブルの上にさまざまな料理を案配よく並べる。

(コメント:「物を程よく配置すること。物事を程よく処理すること」の意の「あんばい」は、「按排。按配」が本来の表記。しかし、「按」は常用漢字表にない字。したがって、新聞では「案配」を使うが、国語辞典の中には、「案配」を掲げないものも多い。)