2.読み方に関する問題

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(正)(許)(△)(誤)のしるしの基準

(正)

規範的、標準的、一般的な形   国語表記の本則

(許)

現代仮名遣い・送り仮名の付け方など、国語表記の許容

(△)

やや一般的でない形  やや適切でない形  

(誤)

表記・用法上の間違い

 

(か)

(23)(正)かくはん(攪拌) /(△)こうはん

(△)この三種類の液体を同じ容器に入れて、十分こうはん(攪拌)してください。

(コメント:「攪拌」の本来の読みは「こうはん」であるが、現在では慣用読み「かくはん」のほうが一般的である(「撹」は、漢音「コウ」、慣用音「カク」)。「撹乱」も、本来の読み「こうらん」よりも慣用読み「かくらん」のほうが優勢である。なお、「撹」も「拌」も常用漢字でない。)

 

(24)(正)かざむき(風向き) /(正)かぜむき

(正)前半、押しぎみに進めていた試合も、後半、味方(みかた)にケアレスミスが出てから、すっかりかぜむき(風向き)が変わってしまった。

(コメント:「風向き(=風の吹いてくる方向。物事の形勢。機嫌)」は、「かざむき」とも「かぜむき」とも読むが、国語辞典では、前者を本見出し、後者を参照見出しとするものが多い。「風邪気」の「かざけ」「かぜけ」、「風邪声」の「かざごえ」「かぜごえ」なども同様。なお、「風脚」「風上」などは、ふつう「かざあし」「かざかみ」としか読まない。)

 

(25) かたぎ(気質) / きしつ

(△)名人きしつ(気質)の棟梁(とうりょう)は、いったん始めると、だれもが舌(した)を巻く仕事をするのだが、気が向かないと一向に取り掛からない。

(コメント:本来、「かたぎ」と「きしつ」は別語で、前者は「ある身分・職業・環境などの人に特有の気性(きしょう)や性格」を意味し、後者は「言動に表れる、その人の身に備わった性質。気立て。性向。気性」を意味する。例、「職人気質(しょくにんかたぎ)」「昔気質(むかしかたぎ)」、「激しい気質(きしつ)の人」「彼には芸術家の気質(きしつ)が流れている」。しかし、現在では、「学生気質(きしつ)」「サラリーマン気質(きしつ)」など、「きしつ」が「かたぎ」の意で使われることも多い。)

 

(26)(正)かたきやく(敵役) /(誤)てきやく

(誤)あの役者は、時代劇でいつもてきやく(敵役)を演じている。

(コメント:「敵役(=芝居で悪人に扮〈ふん〉する役、憎まれ役)」は、ふつう「かたきやく」と読む。しかし、「てきやく(敵役)」を参照見出しとして掲げる国語辞典もある。それによれば、冒頭例も全くの誤りとは言えない。)

 

(27)(正)かっかく(赫々)たる /(誤)しゃくしゃくたる

(誤)彼は新事業に果敢(かかん)に挑戦(ちょうせん)し、数年後にはしゃくしゃく(赫々)たる成果を上げた。

(コメント:「赫々」は、「かっかく(かくかく)」と読み、冒頭例のように「しゃくしゃく」とは読まない。意味は、「華々しい功名を上げるさま。業績などがりっぱでひときわ目立つさま。また、非常に強く光り輝くさま。熱気を発するさま」。なお、「赫」は常用漢字でない。)

 

(28)(正)かっぷ(割賦) /(正)わっぷ

(正)これはわっぷ(割賦)で手に入れたオーディオです。

(コメント:「割賦」は、かつては「わっぷ」(湯桶(ゆとう)読み「わりフ」の促音便)と読み、「割り当てること。配当」の意で使われたが、やがて「分割払(ぶんかつばら)い」の意でも使われるようになり、読みも「かっぷ」が併用されるようになった。現在では、「かっぷ」のほうが優勢。しかし、日常語としてはふつう「分割払い」「月賦(げっぷ)」などが使われている。)

 

(29)(正)がてん(合点) /(正)がってん

(正)ふだん温厚な彼が、あの時なぜあんな物言いをしてわたしに食ってかかったのか、どうもがってん(合点)がゆかない。

(コメント:「合点」は、「がってん」とも「がてん」とも読む。「合点がゆかない(=相手の言ったことの意味がよく分からない)」の「合点」は「がてん」が多いと思われるが、「おっと合点、承知の助(すけ)」のような場合は「がってん」であろう。なお、「合点」とは、もと、和歌・俳諧(はいかい)などで、優劣を判断する人が自分のよいと思う作品に付けた印、また、回状などで、その内容を承知したことを示すために自分の名前の上に付けた印のこと。この場合の読みは「がってん」である。)

 

(30)(正)かね(金)のわらじ(草鞋)で探(さが)す /(誤)きん(金)のわらじで探す

(誤)君がたとえきん(金)のわらじで探しても、今の奥さんのようなすばらしい女性には二度と会えないだろうよ。

(コメント:「かね(金)のわらじ(草鞋)で探しても」が正しい。「かね(金)」は鉄、「きん(金)」は黄金のこと。「金のわらじで探す」は、「(すり減ることのない鉄製のわらじを履いて)方々を根気よく探し求める」の意。)

 

(31) からねんぶつ(空念仏) / そらねんぶつ

(誤)今回もまた彼の約束はそらねんぶつ(空念仏)に終わってしまった。

(コメント:「空念仏」は、「からねんぶつ」と読むと「実行の伴わない口先だけの主張」、「そらねんぶつ」と読むと「信仰心もないのにもっともらしく念仏を唱(とな)えること」の意となる。したがって、この場合は「からねんぶつ」が正しい。なお、「そらねんぶつ」の意で「からねんぶつ」と言うこともある。)

 

(32)(正)かろ(軽)やか /(△)かる(軽)やか

(△)ホールでは大勢の若い男女が、音楽に合わせてかる(軽)やかにステップを踏んでいた。

(コメント:「かろ(軽)やかにステップを踏んでいた」が一般的。古くは「かろ(軽)らか」とも言ったが、現代ではほとんど使われない。)

 

(33)(正)かろ(軽)んじる /(誤)かるんじる

(誤)積極性に欠ける彼は、職場でかる(軽)んじられていた。

(コメント:「かろ(軽)んじられていた」が正しい。この語は、「かろみす」→「かろんず」→「かろんずる」(サ変)→「かろんじる」(上一段)と変化したもの。)

 

(34)(正)かんすい(完遂) /(誤)かんつい

(誤)十年の歳月を費(つい)やして、彼は大事業をかんつい(完遂)した。

(コメント:「完遂(=完全に成し遂げること。最後までやりとおすこと)」は、「かんすい」と読むのが正しい(「遂」は漢音「スイ」)。冒頭例の「かんつい」は、「遂(つい)に」との紛れによる読み誤りか。なお、「遂行」も「すいこう」と読み、「ついこう」とは読まない。)

 

(35)(正)かんのう(感応) /(△)かんおう

(△)わたしは暗示にかんおう(感応)しやすい性格ですから、おみくじで凶(きょう)を引いたりすると、人一倍気にするほうです。

(コメント:「感応」は「かんのう」と読むのが一般的である。しかし、冒頭例のように「かんおう」と読んでも誤りとは言えない。なお、「反応」「順応」なども、「はんのう」「じゅんのう」と読む。)

 

(36)(正)かん(間)、はつ(髪)を入(い)れず /(誤)かんぱつ(間髪)を入れず

(誤)事件の通報が入(はい)るや、かんぱつ(間髪)を入れず巡査は派出所を飛び出した。

(コメント:「間髪を入れず」は、「(間に髪の毛一本さえも入れるすきまがないということから)事態がほんの少しの猶予もないほどに切迫しているさま。転じて、ある事態が生じたとき、すかさずそれに応じた行動に出るさま。即座に。すぐさま」の意を表す。例、「打ち合わせ後、間髪を入れず実行に移った」。読みは、「かん、はつを入れず」が正しい。冒頭例のように「かんぱつを入れず」とは読まない。なお、「間髪を移さず」「間髪を置かず」などの言い誤りもしばしば見られる。)

 

(37)(正)かんぱん(甲板) /(△)こうはん

(△)夜、こうはん(甲板)に出ると、ひんやりとした潮風(しおかぜ)が心地(ここち)よく頬(ほお)をなでた。

(コメント:「甲板(=船の上部の、木または鉄板を敷きわたした広く平らな床。デッキ)」の読みは、「かんぱん」とも「こうはん」とも読むが、前者のほうが一般的である。しかし、専門用語「甲板室」「甲板渡し(=商品を本船に積み込むまでの費用と責任を売り主が負うもの。エフ オー ビー)」などの場合は、「こうはんしつ」「こうはんわたし」と読み、「かんぱんしつ」「かんぱんわたし」とは読まない。)