2.読み方に関する問題
(正)(許)(△)(誤)のしるしの基準
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(正) |
規範的、標準的、一般的な形 国語表記の本則 |
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(許) |
現代仮名遣い・送り仮名の付け方など、国語表記の許容 |
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(△) |
やや一般的でない形 やや適切でない形 |
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(誤) |
表記・用法上の間違い |
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(き) (38)(正)危急存亡(ききゅうそんぼう)のとき(秋) /(誤)危急存亡のあき(秋) (誤)今やわが社は危急存亡のあき(秋)といった状態です。ここを脱するには、社員一人一人が精一杯努力するしかありません。 (コメント:「秋」はふつう「あき」と読んで四季の一つを指すが、この季節は人間にとって最も大切な穀物が実る時であることから、特に重要な時期という意味を含ませて「とき」と読む場合がある。「危急存亡(ききゅうそんぼう)の秋(とき)」はその例。意味は、「危難が迫っていて、現在のまま生き残れるか滅びてしまうかという重大な瀬戸際(せとぎわ)。生きるか死ぬかの境(さかい)」のこと。この言葉は、中国、三国時代の諸葛亮(しょかつりょう)の「前出師(ぜんすいし)の表(ひょう)」による。なお、国語辞典に当たってみると、「危急存亡の秋(とき)」の形で掲げるものがほとんどであるが、「危急存亡の際(きわ)」「危急存亡の時(とき)」もいくつかのものに見られる。)
(39) きこつ(気骨) / きぼね (誤)部員みんなの不満を背負って、あの鬼部長に直談判(じかだんぱん)に行くとは、彼もなかなかきぼね(気骨)のある男だ。 (コメント:「気骨」は、「きぼね」と読むと「心遣い。気苦労。心配」の意(例「きぼねの折れる仕事」)、「きこつ」と読むと「自分が正しいと信じたことは、どんな障害にも屈(くっ)しないで貫(つらぬ)きとおそうとする強い意気。信念をまげない性格。気概」の意(例「きこつに欠ける若者」)となる。したがって、冒頭例の場合は「きこつ」と読むのが正しい。)
(40)(正)きそう(寄贈) /(正)きぞう (正)画伯(がはく)は自分の制作した作品を市の美術館にきぞう(寄贈)した。 (コメント:「寄贈(=品物などを無償でおくること)」は、「きそう」とも「きぞう」とも読む。どちらが優勢とも言えない。しかし、「贈与(ぞうよ)」「贈呈(ぞうてい)」「贈答(ぞうとう)」などの「贈」は「ゾウ」(呉音)と読み、「ソウ」(漢音)とは読まない。) (40―補1)(正)きそん(既存) /(△)きぞん (△)新しい事業所はきぞん(既存)の施設を活用することとする。 (コメント:「既存(=既すでに存在すること)」は、「きそん」が本来の正しい読み。しかし、最近の国語辞典には、「きぞん とも」「俗に、きぞん とも」と付記するものもある。したがって、「きぞん」もまったくの誤りとは言えないであろうが、「きそん」が一般的である。「既」―「キ」は漢音。「存」―「ソン」は漢音、「ゾン」は呉音。) (41)(正)ぎゃくて(逆手) /(正)さかて (正)野党側は、大臣の不用意な発言をさかて(逆手)に取って反撃した。 (コメント:「普通とは逆の握り方(「順手」の対義語)。相手の攻撃をそらし、それを逆用して攻め返すこと。意地の悪い卑怯(ひきょう)なやり方」を意味する「逆手」は、「ぎゃくて」とも「さかて」とも読む。例、「逆手(ぎゃくて・さかて)で鉄棒を握る」「相手の出方を逆手(ぎゃくて・さかて)に取る」「法律を逆手(ぎゃくて・さかて)に取ったあくどい商売」。しかし、「柔道などで、相手の関節を反対に曲げて痛めつける技」の意では「ぎゃくて」であり、「さかて」とは読まない。逆に、体操の「逆手車輪」「逆手懸垂」、「刀を逆手に握る」などは、「さかて」が一般的である。また、相撲の「逆手(さかて)投げ」も読みが固定している。)
(42)(正)きょうじ(矜持) /(△)きんじ (△)彼は特待生としてのきんじ(矜持)を持って、日々学業に励(はげ)んでいた。 (コメント:「矜持」(「矜恃」とも書く)の読みは、「きょうじ」が標準的である。意味は、「自分の能力・地位などをりっぱだと信じて抱く誇り。プライド」。例、「いつまでも旧家のあるじとしての矜持を捨てぬ男」。「きんじ」については、国語辞典によって、慣用読みとするものと誤りとするものとがある。なお、「矜。恃」は常用漢字表にない字。)
(43)(正)きょうそん(共存) /(正)きょうぞん (正)この地球上で我々人間は単独で生きているのではない。あらゆる生物ときょうぞん(共存)して生きているのである。 (コメント:「共存(=二つ以上の異なるものが、いっしょに生きていくこと。また、そろって存在すること)」は、「きょうそん」とも「きょうぞん」とも読むが、国語辞典を見ると、前者を本見出しとするものが多い。しかし、「きょうぞん」も誤りではない。)
(44)(正)きょうばい(競売) /(△)けいばい (△)画商はヨーロッパで仕入れた名画をけいばい(競売)に付した。 (コメント:「競売(=買い手に競争で値を付けさせ、最も高い価格を申し出た人に売ること)」の読みは、「きょうばい」が一般的である。「けいばい」は、ふつう、法律用語として、差し押さえの物件を競売法(けいばいほう)に定められた手続きによって売る場合に使われる読み方である。)
(45)(正)きよみず(清水)の舞台から飛び降りる /(誤)しみず(清水)の舞台から飛び降りる (誤)十年前、しみず(清水)の舞台から飛び降りる思いで転職に踏み切ったが、現在家族五人が人並みの暮らしをしていられるので、まずはよかったと思っています。 (コメント:「清水の舞台」は、京都清水寺(きよみずでら)の本堂の前の、懸崖(けんがい)に張り出して造られた板敷(いたじ)きの部分をいう。したがって、「清水」は「きよみず」と読む。京焼(きょうやき)の「清水焼」も、「きよみずやき」であって「しみずやき」ではない。「清水の舞台から飛び降りる」とは、危険を顧みず、思い切って実行することのたとえをいう。なお、「清水の欄干(らんかん)から飛び降りる」も誤りである。) |