3.言い方に関する問題
(正)(許)(△)(誤)のしるしの基準
|
(正) |
規範的、標準的、一般的な形 国語表記の本則 |
|
(許) |
現代仮名遣い・送り仮名の付け方など、国語表記の許容 |
|
(△) |
やや一般的でない形 やや適切でない形 |
|
(誤) |
表記・用法上の間違い |
|
(え) (52)(正)枝(えだ)もたわわに /(誤)実もたわわに (誤)日当たりのよい山の斜面には、大きなみかんが、実もたわわになっていた。 (コメント:「枝もたわわに」が正しい。「たわわ」は、「実った果実の重みで枝などがしなやかに弧を描いて曲がっているさま」をいう。冒頭例の言い方では、みかんの実が弓のようにしなっていることになってしまう。なお、「(枝も)たわわに実ったみかん」とは言う。)
(53)(正)絵(え)にかいた餅(もち) /(誤)絵にかいた団子(だんご) (誤)そんなプランは所詮(しょせん)絵にかいた団子だ。もっと実現性のある案を出してほしい。 (コメント:「絵にかいた餅(=役に立たないこと。実現する可能性がないこと)」が正しい。同意の漢語に「画餅(がべい)」があり、「壮大な計画も不況の影響で画餅に帰した」などと使われる。冒頭例のように「絵にかいた団子」とは言わない。なお、「餅」は常用漢字でない。追記―平成22年11月告示の新しい「常用漢字表」には「餅 ヘイ・もち」が追加された。)
(54)(正)笑(え)みがこぼれる /(△)笑顔がこぼれる (△)「今日(きょう)の講義はこれまで。あとは自由時間にします」と言う先生の声で、教室に笑顔がこぼれた。 (コメント:「笑みがこぼ(零)れた」が適切である。「色気(いろけ)がこぼれる」「こぼれんばかりの愛嬌(あいきょう)」などとはよく言われるが、「笑顔(えがお)がこぼれる」は耳慣れない言い方である。しかし、最近の国語辞典の中には、「笑顔がこぼれる」を用例に掲げるものもあり、冒頭例も全くの誤りとは言えない。)
(55)(正)得(え)も言(い)われぬ /(△)得も言えない (△)渓谷の紅葉に目をやりながら、露天風呂(ろてんぶろ)に肩までつかり、えも言えない心地よさに酔いしれる。 (コメント:冒頭例も誤りとは言えないが、この連語の古くからの言い方としては「得も言われぬ(=なんとも言葉では表せない。なんとも言えない)」が一般的である。例、「風になびく、夕焼けに染まった葦原(あしはら)のえも言われぬ美しさ」。)
(56) える(得る) / うる(得る) (△)いつでも出発しえる(得る)態勢を整えておこう。 (コメント:「利益を得る」「適当な人を得ることができない」などは「える」が普通であるが、動詞の連用形に付く「出発し得る態勢」は、「うる」が一般的である。「考えうるケース」「実現しうる計画」「納得しうる回答」なども同様。これらの「うる(得る)」は「…することができる」の意を表す。)
(57)(正)縁(えん)は異(い)なもの /(誤)縁は奇(き)なもの (誤)彼は乗り捨てられてあった自転車を届けに行った家の娘さんと結ばれたとか。まさに縁は奇(き)なものですね。 (コメント:「縁は異なもの(味(あじ)なもの)」が正しい。意味は、「男と女の関係は、どこでどう結ばれるか全くわからず、まことに不思議なものであり、また、おもしろい味わいのあるものである」ということ。冒頭例のように「縁は奇なもの」とは言わない。)
|