1.書き方に関する問題
(正)(許)(△)(誤)のしるしの基準
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(正) |
規範的、標準的、一般的な形 国語表記の本則 |
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(許) |
現代仮名遣い・送り仮名の付け方など、国語表記の許容 |
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(△) |
やや一般的でない形 やや適切でない形 |
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(誤) |
表記・用法上の間違い |
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(て) (266) 出会い / 出合い (誤)彼女との出合いが、その後のわたしの人生に多大な影響を与えたと言ってもいいでしょう。 (コメント:「デアイ」は、「@人と人とが偶然に会うこと。めぐりあい。Aある人や物と会った最初。B川の流れなどが一つに落ち合う所。合流点。C売り手と買い手の言い値が一致して売買が成立すること」を意味する。漢字表記は、@Aの場合は「出会い」、BCの場合は「出合い」とするのが一般的である。冒頭例は@の用法であるから、「出会い」が適切である。なお、「新聞とのであい」「少年期にであった本」などは、人と人との出会いの比喩(ひゆ)的用法と考えられるから「出会い」も使われるが、「出合い」でもよい。「であいがしら」は、「出会い頭」とも「出合い頭」とも書く。)
(267) 手当(てあて) / 手当て (誤)家族手当ては一人につき二万円です。 (コメント:「送り仮名の付け方」には、「複合の語のうち、次のような名詞は、慣用に従って、送り仮名を付けない」とあり、その例の中に「手当」を挙げている。それによれば、冒頭例は「家族手当」が適切である。ただし、「傷の手当をする」のような場合は、「手当て」と「て」を送ってもよい。)
(268) 提示(ていじ) / 呈示(ていじ) (△)出席者から新たな問題が呈示され、会議はもめにもめた。 (コメント:「提示」は「(手に持って)差し出して見せること。ある場所に持ち出して示すこと」、「呈示」は「相手によく見えるように差し出すこと」を意味する。例、「証拠の品を提示する」「運転免許証を呈示する」。冒頭例の場合は、「新たな問題が提示され」が適切である。しかし、「呈示」でも誤りとは言えない。実際には使い分けのはっきりしない場合も多く、法令用語が「提示・呈示→提示、示す」としたのに倣(なら)って、新聞でも「提示」に統一している。)
(269)(正)定年(ていねん) /(△)停年 (△)来年はついに停年を迎える年になるのかと思うと、つくづく光陰矢のごとしの感を覚える。 (コメント:「勤務をやめて、退官・退職する決まりになっている一定の年齢」を意味する「ていねん」は、「停年」がもともとの表記である(「停」は「やめる。とめる」意)。しかし、現在では一般的に「定年」が使われ、法令・新聞でも「定年」を用いている。国語辞典では、「定年・停年」の順に両表記を併記するものがほとんどである。)
(270)(正)出入り口 /(許)出入口 (許)汚れて字も読みにくくなってしまったので、裏門の出入口の表示を付けかえた。 (コメント:送り仮名の付け方について。本則によると「出入り口」、許容によると「出入口」である。新聞では「出入り口」を用い、「文部省公用文送り仮名用例集」には「出入口」が掲げられている。なお、「出入り口(出入口)」は、「でいりぐち」とも「ではいりぐち」とも読む。)
(271)(正)手後れ /(正)手遅れ (正)病人の容態がだいぶ悪化しているが、手遅れにならないうちに手術したほうがよい。 (コメント:「ておくれ」は、「手後れ」とも「手遅れ」とも書く。前者は「なすべき手当・処置が時間的に後(あと)になってしまうこと」、後者は「遅(おく)れて間に合わなくなること」の意である。しかし、実際には両者を区別して使い分けることはほとんどなく、「文部省用字用語例」には「手後れ」だけが示されており、新聞では「手遅れ」を統一表記としている。)
(272)(正)的確(てきかく) /(△)適確 (△)医師の適確な診断によって、患者の病巣はごく小さいうちに発見された。 (コメント:「的確」は「本質をついていて、確かで間違いのないようす」、「適確」は「法律や規則に合っていて、確かで間違いのないようす。適正・適切で確実なさま」(法令用語として造られた語)と、両者の違いを区別することもできるが、一般的には本来の表記である「的確」が広く用いられている。新聞でも「的確」を統一表記としている(読みは「てっかく」とも)。なお、「適格(=資格にかなっていること)」は別語である。)
(273)(正)的中(てきちゅう) /(△)適中 (誤)猟銃の弾がたまたまそこを通り合わせた人に適中し、大けがを負わせるという事件が起こった。 (コメント:「的中」の本来の意味は「矢・弾丸などが的(まと)やねらった所にあたること。命中」(「中」は「あたる」意)であるが、転じて、「予想・予言などがあたること」の意でも使われる。この転義の場合は「適中」(「適」は「かなう。ぴったりとあてはまる」意)とも書く。例、「天気予報が的中(適中)した」。冒頭例は「的中」の本来の用法であるから、「適中」は誤りである。現在、原義・転義を含めて「的中」が一般的である。)
(274)(正)でく(木偶)の坊(ぼう) /(誤)でくの棒 (誤)家業は息子に継がせていますが、何年たってもでくの棒で弱っています。 (コメント:「木偶の坊」は、「(木を彫って作った操(あやつ)り人形の意から)自分では何もできない役立たずの人。気の利かない人。融通の利かない人。また、そのような人をののしっていう語」のこと。「坊」は、「きかん坊」「忘れん坊」「けちん坊」などと同様、親しみまたはあざけりの意を添えて付けられる語。冒頭例の「でくの棒」は誤り。「木偶」は常用漢字表・付表に掲げられていない熟字訓であるため、新聞などでは「でくの坊」と「木偶」を仮名書きにしている。)
(275)(正)出ずっぱり /(許)出づっぱり (許)主役の彼は、第一幕から第三幕まで出づっぱりで熱演した。 (コメント:仮名遣いについて。「出ずっぱり(=同じ俳優・人物がどの場面や場所にもずっと出ていること)」は、漢字で書くと「出突っ張り」であるが、現代語の意識では一般に二語に分解しにくいものとして、発音どおりの表記「でずっぱり」を本則とする。そして、「でづっぱり」を許容の表記として認めている。しかし、「出ずっぱり」では「出ない」を連想させるので、「出づっぱり」のほうが親切だという面もある。)
(276)(正)手引 /(正)手引き (正)この本は、高校生のための英作文学習の手引きとしてよくできている。 (コメント:送り仮名の付け方について。「手引」「手引き」のどちらも使われる。「文部省用字用語例」には「(書き表し方)手引、(備考)指導の手引 手引書 手引きをする」とあり、それによれば、「能楽(のうがく)の手引」「国語表記の手引」、「内部の者が手引きをしたと思われる事件」「友人に手引きしてもらって市内の名所を見て回る」などと使い分けることになる。)
(277)(正)手短(てみじか) /(誤)手短か (誤)二時ごろに客が来ることになっているから、一時からの打ち合わせは手短かに済まそう。 (コメント:送り仮名の付け方について。形容詞「みじか・い」の送り仮名は、「荒(あら)い」「潔(いさぎよ)い」「賢(かしこ)い」などと同じく活用語尾の「い」だけである。したがって、その上に「手」の付いた「てみじか」は、「手短」と書く。「きみじか」も同様に「気短」である。)
(278)(正)寺子屋(てらこや) /(誤)寺小屋 (誤)定年退職後、彼は近所の子供たちを対象とした寺小屋のような塾を開いた。 (コメント:「寺子屋」は、昔、僧侶(そうりょ)が寺で子供の教育に当たったところから始まるといわれ、その子供を「寺子」と言い、「寺子屋」の表記が生まれた。古くは「寺小屋」(当て字)と書かれた例も見られるが、現在では一般的でない。)
(279)(正)伝家(でんか)の宝刀(ほうとう) /(誤)殿下の宝刀 (誤)内閣は殿下の宝刀を抜いて衆議院を解散した。 (コメント:「伝家の宝刀」は、「代々その家に宝として伝わっている刀。転じて、いよいよという場合にだけ使用する、思い切った手段。切り札」のこと。多く、「伝家の宝刀を抜く」の形で使われる。「でんか」は「殿下(=天皇や国王を除く、男子の皇族・王族に対する敬称)」ではない。三種の神器の一つ、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)との連想で「殿下」と書いてしまったものか。)
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