求償権:国家賠償法第1条の2 公務員天国は許さない!

議長(田久保好晴) 日程第16の報告については、お手元に配付したとおりであります。

 日程第17の西図書館所蔵図書除籍事件については、教育委員会から発言を求められておりますので、これを許可します。

 教育長。

[教育長登壇]

教育長(石毛成昌) 西図書館所蔵図書除籍事件について行政報告をさせていただきます。

 本件につきましては、関係著作者を初め多くの皆様にご迷惑をおかけしましたことを、まずもって深くおわび申し上げます。

 本件は、平成14年4月、西図書館において、一部特定の著作者の著書がなくなっているとの指摘があり、調査の結果、船橋市図書館資料除籍基準の要件を満たしていないと思われる107冊が、13年8月に除籍・廃棄されていることが判明しました。

 その原因について、市教育委員会で調査を行った結果、当時、西図書館に在籍してした司書が、独自の判断で除籍・廃棄したことが判明いたしました。

 市教育委員会では、二度とこのようなことが起きないよう、直ちに除籍についての手続の見直しを行い、3段階のチェックを行うよう、再発防止策を講じるとともに、14年5月29日、当該司書については減給10分の1、6カ月の懲戒処分とし、当時の管理監督職員4名につきましても、減給、戒告、訓告の懲戒処分等を行いました。

 また、廃棄した書籍につきましては、早急に市民の閲覧に供することが重要と考え、処分を受けた職員の申し出により、その職員の負担で原状回復を図りました。

 その後、14年8月13日、関係著作者等から船橋市及び当該司書に対し、本件に関する損害賠償を求める訴訟が起こされました。一審の東京地方裁判所及び二審の東京高等裁判所では、船橋市及び司書には原告に対する法的責任は生じないという判断から、原告の請求を棄却する判決が出されましたが、上告を受けた最高裁判所は、船橋市に対する原告の上告を受理し、17年7月14日、「公立図書館の図書館職員である公務員が、図書の廃棄について基本的な職務上の義務に反し、著作者または著作物に対する独断的な評価や個人的な好みによって不公正な取り扱いをしたときは、当該図書の著作者の人格的利益を侵害するものとして、国家賠償法上、違法となる」という判断から、船橋市に関する原判決を破棄し、東京高等裁判所に差し戻すという判決が下されました。

 これを受けて、東京高等裁判所で再度審理が行われ、17年11月24日、船橋市に対し、関係著作者等8名に対して各3,000円及びこれに対する13年8月26日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払いを命ずる判決が出されました。その後、原告よりこの判決を不服として、上告申し立てがありましたが、18年4月7日、上告が棄却されたことにより判決が確定いたしました。

 賠償金の支払いにつきましては、18年4月28日付で関係著作者等8名に対して各3,000円及び遅延損害金701円、1者当たり3,701円、8者合計額2万9608円の支払いを行いました。

 公立図書館は、さまざまな図書、資料等を偏りなく収集し、提供することで市民の方々の学習意欲にこたえること等を目的とする公的な場です。船橋市では、多くの市民に図書館を利用していただけるよう、図書資料の充実、公民館図書室の増設等、サービスの充実に努めておりましたが、その中でこのような問題が発生いたしましたことは、大変遺憾なことと思っております。

 本件につきましては、関係著作者の方々初め、多くの方々にご迷惑をおかけし、図書館行政に対する市民の信頼を損ないましたことについて、改めておわびいたします。

 今後、この判決を真摯に受けとめ、市民から愛される図書館運営に努めてまいります。

 以上で、報告を終わらせていただきます。

議長(田久保好晴) 質疑の通告がありますので、順次発言を許します。

 中村実議員。(拍手)

[中村実議員登壇]

中村実議員 ただいまの報告に対しましての質疑を行います。

 私も、船橋市西図書館焚書事件、こちらの問題に関しましては、これまでもここ議会におきましても問題提起、そしてまた議論を行ってまいりました。もちろん議論を尽くし得たとは私も思ってはおりませんが、本日この場におきましては、1点のみお考えを教示いただきたく、質疑を行わせていただきます。

 国家賠償法、こちらの法律がございます。第1条、「国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずる」とあります。

 そしてまた、第2項といたしまして、「前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する」とあります。求償権、すなわち償いを求める権利であります。やはり、私たちの負担した大切な税金から、これだけの多くの金員が支出をされるわけであります。そしてまた、その金員といったものが支出されるに当たりましては、市民の方の理解が得られるか否か、すべてのかなめであるわけであります。

 そこで、お尋ねするものでありますが、まさにこちらの国家賠償法の第1条2項が想定しておる事例というのが、まさに今回の事例であると考えます。

 そこで、しかるべき求償の権利を行使すべきと考えますが、市として、そしてまた教育委員会としての見解をご教示いただきたいと思います。

 以上です。

[財政部長登壇]

財政部長(上村義昭) 当該司書に対して求償するのかということのご質問でございますが、平成18年4月23日付で、船橋市損害賠償事務処理規定第13条の規定に基づきまして、市長から求償審査会を招集するよう命令を受けておりますので、この審査会において審査することになります。市長は、この審査報告に基づいて求償するかどうかを決定することになります。

 以上でございます。


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