平成14年第2回船橋市議会定例会  平成14年6月7日

議長(千葉満) 中村実議員。(拍手)

[中村実議員登壇]

●中村実議員 中村でございます。若干出番にもうちょっと余裕があると思ったんですが、突然に来てしまいまして──じゃ、ちょっと待ってくださいね。

 では、始めさせていただきます。

 今回、要望項目を幾つか挙げてはいるんですが、図書館の問題に関しまして専念したいという意向がありまして、西部地域のまちづくりですとか、学校教育、給食の問題に関しましては若干の要望をさせていただいて、また次回以降とさせていただきます。

 西船の南口のエスカレーターも、ようやく藤代市長を初めといたしました総合交通計画課の皆様のご尽力によりまして、開業供用1歩手前となっております。本当に地域の期待にこたえていただいていることに厚く御礼を申し上げます。また、さらにこれから西船を初めといたしました交通バリアフリー問題に関しまして、市長を先頭に全力で進んでいかれることを心より期待いたしまして、まずは一言御礼を申し上げさせていただきます。

 そしてまた、今回、私、環境整備資金の問題、これは中山競馬場の売上高が来年減少が予想されておりますので、その金額といったものが約1割ほど、現在8億幾らですが、7億2000万か4000万減額になってしまうと聞いております。これらのお金といったものが地域にとりまして大変有益な財源となっております。つきましては、その財源の使い道に関しまして、今後、市の方といたしましても、先方の意向といったものが十分に反映されるような形の仕組みづくりといったものをお願いしていきたいと思います。学校の給食設備、葛飾中の給食も5月8日から始まったんですが、その財源といったものにも充てられるわけであります。これから改修、そしてまた改善工事を行っていくに当たりましても、ぜひ有益な活用をお願いしたいと思います。

 それでは、図書館の問題を始めさせていただきます。

 西図書館は、かつては西船図書館と申しておりました。私にとりましては、よく遊びに出かけた場所でもあります。そしてまた、物心つきましてからは、ここの図書館におきまして多くのことを学び、感動や喜び、そしてまた悲しみといったものを分かち合ったものでありました。だれもが、あえて特には意識することはなく、究極の市民サービス、これが図書館の仕事であると思うんですが、究極の市民サービスといったものをやりとりする大切な場所であるわけであります。利用者と図書館自体、そして図書館の職員の方々との間の信頼関係といったものは、ここ船橋でも営々と築かれてきたものであります。その信頼を積み重ねてこられた方々のご努力に思いをいたしますと、まさに頭が下がる思いでございます。

 社団法人日本図書館協会が採択をいたしました「図書館の自由に関する宣言」前文には、「図書館は、基本的人権の1つとして、知る自由を持つ国民に資料と施設を提供することを最も重要な任務とする」とあり、第1項の(1)に、「多様な対立する意見のある問題については、それぞれの観点に立つ資料を幅広く収集する」とあります。(2)には、「著者の思想的、宗教的、党派的立場にとらわれて、その著作を排除することはしない」とあり、(3)には、「図書館員の個人的な関心や好みによって選択をしない」とあります。

 こういったものは、当たり前のことと言ってしまえばそれまででありますが、この宣言といったものは、やはり図書館における憲法であり、信頼関係をあえて文面にしたものと解釈されるものであります。図書館で働く方々のほとんどの方々はこの宣言を日常業務の中で体現されておられるわけでありますが、図書館の自由が侵害されるようなことには体を張ってでも戦うとお話を伺ったこともあります。日々の仕事の中で、黙々、営々と信頼は築かれていくものなんだろうなと、私もつくづく考えさせられたものであります。

 図書館の自由に関する宣言の第5項の(3)にある、「図書館の自由に対する国民の支持と協力は、国民が図書館活動を通じて、図書館の自由のとうとさを体験している場合にのみ得られる。我々は図書館の自由を守る努力を不断に続けるものである」の体現であります。今回、除籍がございました。まさに宣言の根本思想に反するものと受けとめざるを得ません。我が船橋で、それも西図書館におきまして起きてしまったこの事件、憂慮すべき事件でありますし、図書館の存立にかかわる重大な事件として認識をされているのであります。

 かつてレイ・ブラッドベリの「Fahrenheit451」という、近未来小説でありますが、これをある種のあり得ない話であろうと私は読みました。そしてまた、フランソワ・トリフォーの監督で映画化されましたが、「華氏451度」ですが、そしてまた、これ、焚書坑儒の例えに当たるのか、宗教的なそういう内輪もめになるのかわかりませんが、ジャン・ジャック・アノー監督の──これは私もよく見たんですが──「薔薇の名前」という映画がございます。これは、近未来どころか、現実にやはりそういったものが起き得るものではないかなと私は思ったものであります。そしてまた、非常に身近で、私どもの近くで起き得る危険であるということを今回知らされたものでありました。

 やはり「薔薇の名前」1つとりましても、あれはたしか修道院の中での話だったと私は覚えているんですが、要は私どもの日常生活、そしてまた遠く西洋におきましては、宗教に関係して戦争も起きる、そういう地域でありますから、そういった地域における問題であるというような認識程度であったわけでありますが、これは我が国におきましても全く例外ではないということを感じております。

 図書館におきまして専門性が議論される必要性があると思います。私なりに持論はありますし、問題提起したいことはやまやまではあるんですが、これも時間をとられてしまいますので、次回以降にさせていただこうと思います。

 ただ、専門性を主張するということは、それなりに、例えば司書という専門職があるわけであります。その司書という専門職として、それだけの責任が伴っていくわけでありますね。専門性を主張すればするだけ、それだけの責任が伴っていく、いわば司書という専門職といたしまして、十二分に問われるべき問題があると私は思います。

 そしてまた、この図書館に関しまして、図書館といったものが、社会で問題として耳目を集める事柄があるわけでありますが、そういった事柄にこそ、資料情報といったものを提供しまして、私たち市民の関心にこたえるべきでありまして、昨年夏の教科書採択に関する議論などに対しまして、その議論に資するための資料を提供するといったことは責務であったわけであります。

 しかしながら、その教科書採択に関しまして、議論の一方の西部邁氏、西尾幹二氏、そして渡部昇一氏の書籍が除籍をされまして、まさにその当事者であると言えます新しい歴史教科書をつくる会が刊行いたしました「新しい歴史教科書を「つくる会」という運動がある」、こういった書籍のほかに、その会の理事の方々の書籍といったものが、ことごとく我々市民の目に触れさせないようにされてしまったわけであります。

 これだけ重大な事件が起きていながら、いわゆる役人の論理といったものがあるわけでありますが、役人の論理からすれば、この事態といったものを、ああでもない、こうでもないと言いわけがされているわけでありますが、しかしながら、この事件におきましても、その判断の基準といったものは、最優先されるべきものは、やはり私たちの市民感覚であり、そしてまた社会通念であると私は思います。

 焚書坑儒という言葉がございます。書を焼き、儒を穴埋めにすと書き下すわけでありますが、先ほど申し上げました「華氏451度」、これはいわゆる発火点であります。火がつく温度であります。秦の始皇帝が言論統制を図り、書物を焼き捨て、そしてまた儒者を逮捕して穴に生き埋めにした歴史的事実による言葉でありますが、近代におきましてはスターリンであるとか、ヒットラーであるとか、そういった方々によります行為が歴史的には新しいものと言えますが、目的といったものは、その影響力、感化する力といったものを抹消しようとしたものでありまして、自分と考え方が異なるから目に触れさせないようにする、許されまじき行為であるわけであります。

 ごくごく普通に今回の事件の事実関係と経緯を聞いていけば、事件は焚書そのものと客観的に言わざるを得ませんが、一体全体この事件をどのように認識しておられるのか、見解を問うものであります。

 続きまして、西図書館の館内の環境につきましてお尋ねをいたします。昨年の1月から8月までの間の環境ですね。環境と言いましても、気象状況、気温ですとか、そういった話になってしまうと思うんですが、どういう状況であったのかをお聞かせいただきたいと思います。

 そしてまた、西図書館におきまして、西図書館の300番台、このあたりは社会科学系統の本が並んでいる書棚がありますが、以前、除籍の原因として結露があったためとの記者発表がありました。昨年の8月の時点におきまして、除籍をされた書籍、この300番台が置かれていた書籍の環境の状況、これはどういう感じであったか、お聞かせをいただきたいと思います。

 続きまして、北図書館にあります共同倉庫の関係につきましてお尋ねいたします。昨年の8月に、北図書館の共同倉庫と西図書館との間での本のやりとりはどういうものであったか、お聞かせをいただきたいと思います。そして、その行き来をしていた書籍の中で、今回除籍をされたいわゆる107冊の本があります。今回その弁償の対象になった107冊でありますね。今回除籍をされた107冊の中で、その中に含まれていたものがあれば、その内容をお聞かせいただきたいと思います。

 続きまして、記者発表の中で、昔の話ではありませんが、今となっては除籍理由を明らかにできないとありました。そのときの事件が発覚した後の実行行為者の説明はどのような内容であったのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 そして、今回、昨年8月、教科書採択に関しまして議論が大きく分かれておりまして、けんけんがくがくがあったわけでありますが、その1つの当事者として、新しい歴史教科書をつくる会、こちらが教科書をつくったわけであります。そして、市販もされておりまして、私も買いまして中身を読んだわけでありますが、その新しい歴史教科書をつくる会の歴史の教科書といったものが、西図書館には置いてあるわけですね。書棚に行きますと、手にとってだれもが読めるような状況になっております。

 ところが、千葉県内──船橋市内ですと、例えば中学校の社会科ですと東京書籍ですけれど、この地域におきましては、例えば西図書館、いろんな図書館がいっぱいあるわけでありますが、船橋市内とこの船橋出張所管内では、社会科と言えば東京書籍になっちゃうわけでありますが、例えば自分の子供はどういう教科書を使っているんだろうか、そういったご関心が多くおありではないかと私は思うんです。そしてまた、今の子供たちがどういう教科書を使っているといったことを認識することで、大人にも大きな発見がたくさんあると思います。そういった意味で、学校という最も公的な機関におきまして使われている、まして子供たちが統一されて提供されている資料としての教科書といったものも、我々の知る権利を実現するためにも配置をしていくべきであると考えますが、ご所見を伺いたいと思います。

 以上で、1問終わりとさせていただきます。

[生涯学習部長登壇]

●生涯学習部長(石井英一) 図書館行政に関しましてご答弁申し上げます。

 まず初めに、昨年1月から8月までの西図書館の環境、気象条件はどういうことだというご質問についてお答えいたします。株式会社CRC総合研究所運営お天気データベース調べによりますと、1月、晴れ16日、曇り13日、雨2日、2月が晴れ12日、曇りが13日、雨が3日、3月が晴れ18日、曇り6日、雨7日、次に4月、晴れ18日、曇り8日、雨4日、5月、晴れが8日、曇りが15日、雨が8日、6月が晴れが6日、曇りが18日、雨が6日、7月が晴れが20日、曇りが9日、雨が2日、8月が晴れが9日、曇りが19日、雨が6日となっております。

 続きまして、西図書館300番台書棚周辺で結露があるため除籍と発表したが、昨年の8月時点で除籍対象の状況はどうであったのかというご質問にお答えいたします。

 4月12日の記者会見の際、本人からの事情聴取の中で、結露による汚破損があったという理由で除籍を行ったということであり、発表いたしましたが、調査の結果、300番台は冷暖房の吹き出し口となっており、夏に冷房を入れた際、室外との温度差により湿気が生じ、結露が発生いたしますが、これは300番台の一部であります。今回、除籍対象とされた図書のうち、どの図書が結露による汚破損に該当したかは不明であります。結露いたしますと、図書の表紙がぬれて、本と本がくっついてしまいます。放っておくと本の中までしみ込み、しみてしまうという状況になります。

 続きまして、北図書館から8月中に戻された本の中で、今回の107冊の書籍の著作はどれだけあるのかということにつきましてお答えいたします。今回除籍された図書のうち、北図書館から戻された図書については20冊でございます。

 続きまして、今となっては除籍理由を明らかにできないとあるが、事件発覚直後の実行行為者の説明はどのような内容だったのかというご質問についてお答えいたします。

 当初、除籍について否定しておりましたが、数度の事情聴取により除籍したことを認めたものです。しかし、このことについては多くの方々に多大なるご迷惑をかける結果となり、本人も深く反省をしておりますが、なぜやったのかは自分でも説明ができず、わからないと申しております。ただし、思想や信条でやったことではないと申しております。(傍聴席で「ふざけんなよ。そんなばかなことがあるかよ」と呼ぶ者あり。「注意しなくていいの」と呼ぶ者あり)

 次に、新しい歴史教科書をつくる会の中学校歴史教科書を西図書館で見つけたが、他の教科書もそろえて知る権利に供するべきと考えるがというご質問についてお答えいたします。通常、教科書関連の図書は、教科書展示場ですべて見ることができますが、一般の書店でも市販されております。図書館におきましては、特別に購入しておりませんでしたが、今後必要があれば検討してまいります。

 以上でございます。

[傍聴席で「簡単過ぎるんじゃないですか」と呼ぶ者あり。「議長、注意した方がいいよ」「注意しろよ」と呼び、その他発言する者あり]

●議長(千葉満) 傍聴者の皆さんにお願いいたします。静粛に傍聴されるようお願いいたします

[中村実議員登壇]

●中村実議員 今、1問目でお尋ねしたんですが、教育委員会としての見解、これをお尋ねしたんですが、逆にご回答の中で、その要旨といったものがありましたので、それ以上はお尋ねいたしませんが、2問とさせていただきます。

 この107冊、これが私、一番問題になると思うんですが、この107冊、この除籍の手順といったもの、実際に例えば107冊だけの本がありますから、107冊、私も積み重ねてみたことはありませんが、段ボール箱で何箱かになるのか、ちょっと見当がつかないんですが、1人でできる作業ではないと思います。ですので、具体的にその107冊の除籍の手順といったものが、どのような方法で行われていったのかをお尋ねしたいと思います。そしてまた、いろんな指揮命令系統といったものがあるかと思います。どなたかの指示によって行われたのかどうか、そういった業務の内容に関しましてお尋ねさせていただきます。

 そして、この107冊のうち、除籍をされたのが8月であるわけであります。8月の13、14、15、ほか25でしたか、26でしたでしょうか、何日間かに分けて除籍をされているんですが、本来であれば除籍といったものは北図書館の共同倉庫に行って、それでもかわいそうだけれど、この本の命は終わらせなければいけない、そうなったときに初めて除籍をするわけでありますが、この中で、107冊のうちに開架図書の状態で除籍をされたものが何冊あったのでありましょうか。そしてまた、閉架図書の状況から除籍をされたものは何冊あったのでありましょうか、お聞かせをいただきたいと思います。

 そして、あと図書館全体の中で、これももう107冊に私は限定させてお尋ねさせていただいているわけでありますが、この107冊のうちで図書館全体の平均貸し出し回数といったものがあると思います。例えば1冊の本があれば、2週間まるまるずっと借りていく人もいれば、1日、読んだらすぐ返すような人もいると思います。これはまちまちであると思うんですが、図書館全体での平均貸し出し回数といったものははじき出せると思うんですが、その中で除籍の条件といたしまして、だれも借りないというのでしょうか、貸し出し回数が極端に少ないようなもの、それも除籍の対象の1つになると聞いておりますが、それを比べるに当たりまして、図書館全体の平均貸し出し回数、これと比べまして、図書館全体の平均貸し出し回数を上回る書籍は107冊のうちに何冊あったのでありましょうか、お聞かせをいただきたいと思います。

 そして、これは私も図書館に勤めている方から聞いたんですが、最終本でありますとか、西図書館にしかないような蔵書、例えばある本を借りたいと思って、西図書館になければ、じゃ北から取り寄せます、東から取り寄せます、方法はいろいろあるわけです。例えば、宮部みゆきさんの「模倣犯」のような、ものすごく借りたい人がいっぱいいるような場合ですと、同じ本がずらっと並ぶ可能性はもちろんあるんですが、そうではなくて、なるべくであれば私たち市民の需要にこたえるために、うちの館ではないですけれど、じゃ、それであればメール便で北から取り寄せましょう、そういったものがあるわけですね。逆に、例えば今すごく需要があるからといって、将来的にそれが継続するとも限らないわけでありますから、現在、例えば「模倣犯」の人気といったものも、これから5年、10年、ずっと続いていくと思いませんから、その調子で買っていくといったことは、これは逆に税金の使い方として不適切だと思いますので、そういった意味で、西図書館のみの蔵書であるとか、最終本といった扱い、これは私は厳重に扱いがされてしかるべきだと思うんですが、今回除籍をされました107冊の本のうち、最終本、または西図書館のみの蔵書といったものがどれだけあったのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 以上で2問を終わります。

[生涯学習部長登壇]

●生涯学習部長(石井英一) 第2問にお答えいたします。

 まず、107冊の除籍の手順はどのように行われていたのかというご質問についてお答えいたします。本人がコンピュータの除籍を処理を行ったことは認めております。また、本人からの指示により、図書を書架からとってきたり、図書の処分を行っていたことも判明しております。

 次に、107冊のうち開架書庫──閉架書庫の冊数はとのご質問にお答えいたします。今回除籍された107冊の内訳は、開架書庫が87冊、閉架書庫、これは共同書庫でございますけれども、20冊でございます。

 次に、107冊中、図書館全体の貸し出し平均冊数を上回るものは何冊あるかということでございますけれども、図書館の平均貸し出し回数は1.7回でございます。これを上回るものは66冊でございます。

 次に、107冊のうち、西図書館のみの蔵書は何冊あるか、最終本のことでございますけれども、これについてお答えいたします。西図書館のみの蔵書は17冊でございます。

 以上でございます。

[中村実議員登壇]

●中村実議員 ご回答ありがとうございました。こうしてお話を伺っておりますと、今回の事態といったものがどれだけ事件性があるものであるかといったことがつまびらかにわかってくるわけであります。船橋市の中に、例えば事件といったものがいっぱいあるわけであります。税金にかかわる部署の方ですとか、保険の収納する方のところで、例えばお預かりしてきたお金をきちんとした手続をしない、要は横領してしまう、そういった事件が船橋市でもかつてあったわけであります。この事件におきまして、図書館におきましての図書といったものが、いわば金銭出納する人にとってのお金と同じだけの、どれだけ大切なものであるかといった認識が私は欠けているように思うわけであります。

 本の値段といったものが、例えば西部邁さんの本が1,800円であったとしたら、それを金額に換算していきますと、この107冊の金額といったものが、私はこれは大変大きい金額だと思うんですが、その金額の多寡を論ずるのではなくて、あくまでも私たち市民の公共公有財産であるといったものを侵害してしまう。これが過失であろうとなかろうと、故意であろうと、過失であろうと、これはもはや重大な事件であるわけでありますね。

 この中で、私もちょっと先ほどお尋ねの仕方がおかしかったんですが、要は最終本、これが西図書館での最終本という意味といいましょうか、西図書館にしかない本という意味での最終本であったわけでありますが、ちょっと私も理解が足りなかったものですので、若干紛らわしい表現になってしまったんですが、やはり本といったものを大事にするということ、そしてまた、本といったものを人に読ませないようにしてしまうということが、どれだけの重大な罪であるかといったことが全く認識されていないということを、私は今回の一連の動きの中で認識をしたわけであります。

 そして、懲戒審査委員会がありますが、これはあくまでやはり懲戒審査委員会といったものは、これは、ある意味、役人の論理の限界でしかないといいましょうか、それ以上のことを期待するのがおかしいのかなと、私は思ったわけであります。

 教育委員会議がこの処分の関係で開かれたわけであります。私はだめもとで傍聴させていただきたいと──人事案件ですから、だめと言われるのがわかっておりましたけれども。そういった中で、その処分がどういうふうなものが出されるか、ずっと待っていたわけであります。で、また、役人の論理としての限界点を越えるものが私は教育委員会だと思うんです。

 実行行為者、本人が減給10分の1掛ける6カ月であります。こういった処分が、これを聞いて納得できる人たちというのがどれだけいるかといったことが、全く今回かやの外に置かれてしまっているわけであります。この10分の1掛ける6カ月といったものが、役所に勤めている人にとっては──私も役所の人に何人か聞いたわけであります。10分の1掛ける6カ月といったのは、これは役所の方の感覚からすると、どうなんですかと。これは重いんですよという方もおられます。とんでもない、まあ、これはせめて停職がしかるべきではないでしょうか、そういうふうに言われる方もおられました。

 そういう役人の論理があるわけでありますが、この中で、やはり言論の自由であるとか、何というんでしょうか、私もうまく言えないんですが、お金をどうこうするといったこと、これも重大な犯罪ではあるんですが、今回の事件といったものは、要は思想信条の自由、良心の自由、そしてまた図書館の自由の宣言に反する、これは大変な出来事であると私は思っております。とりわけ今回また私も1つ大変な発見をしたんですが、要は我が国におきます人権のダブルスタンダードですね、これが仮にこの焚書坑儒の被害に遭った書籍とその著者といったものが、反対のセンター──レフトの方々の本であったら、どうなっていたのであろうか。それを思いますと、本当に日本じゅうが天地がひっくり返ったような騒ぎになっていると思います。

 かつて山口県と広島県で同様な事件が起きております。日本図書館協会といたしましても、そういったかつての事件といったものを、今回まさに想起してしまいまして憂慮にたえないと。今後どういうコメントが発表されるのか私は知りませんが、図書館に勤めている多くの方々は、この事件を本当に深刻な図書館の危機であると認識しているわけであります。

 にもかかわらず、いわば役所の方々にとっては、役所の中での悪いところというのは、まさに身内意識といったものが余りにもあるわけなんです。身内意識といったもの。それとまた、いわゆる人権といったものに対しましての、いわば強者の人権、弱者の人権といったものをどういうふうに勘案されていかなければいけないといったことが、非常にこれ、とらえられ方がおかしくなっているんです。

 だからこそ、これがまさに戦後の人権のダブルスタンダードの1つであると思うんですが、この中で減給10分の1掛ける6カ月、これを金額でその実行行為者が給料を幾らもらっているか、私は知りません。ただ、多く見積もったといたしましても、お金の問題ではないわけです。お金で片が済むのであったら、本当にこれは警察は要らないわけであります。

 だからこそ、こういう人権問題といったもの、どれだけ今回の事件といったものが重大な思想に対する、とりわけ今回の新しい歴史教科書をつくる会の関係の方々といったもの、この方々のいわば精神的な苦痛もそうであります。そしてまた、そういった方々が問題提起をしていきたいと思っている考え方に対しましての、これは明らかに弾圧以外の何物でもないわけであります。(「傍聴席で「そのとおり」と呼ぶ者あり)

 こういう思想的な弾圧といったものが起きたときに対して、どういう判断をすべきなのか。これは、まさに我々が本当に──私はある図書館の司書の方が、こういう図書館の自由の宣言をある場所で話を聞いていて、要は図書館の自由の宣言に反するようなことがあってもいいのでないかと、要は、良書主義、選書主義とか言うらしいんですが、だれだれの本は気にいらない、だれだれの本の数が多いんじゃないか、減らしたっていいんじゃないか──そんな話をした人がいたら、冗談じゃないと。そういうことを言う人とは、本当に体を張って、私はそういう自由を守りたいとおっしゃっているんです。これがほとんどの多くの図書館員の方のお気持ちだと思うんです。そういった全国のまじめに黙々と努力をして培ってきた、私たち国民の信頼にこたえてきている図書館員の方々に対しましても、これは重大な裏切り行為であるわけであります。

 もちろんですが、今回の出来事といったもの、懲戒審査委員会におきまして、どういう議論があったのかは私もわかりません。そしてまた、逆にこの中身といったものがどういうやりとりがあったのか。これは私、情報公開でその資料を取り寄せてみようと思うんですが、恐らく墨塗りで真っ黒になると思います。それを覚悟でやるわけでありますが、やはり事の次第の重大性といったものを認識する必要があるわけです。10分の1掛ける6カ月、私がもしも──私、もう市役所へ入りたくても入れないですけれど、そういう立場であれば、絶対にそれはおかしい。そんなことで税金をお預かりしている市民の方々に対して申しわけがない。そしてまた、これは本当に我が国1億国民にとっての重大な問題であるわけなんです。ですから、そういったものを平気で看過してしまう。

 その中の懲戒審査委員会の委員さんの方々の中では、個人的にはいろんな考え方があったと思います。しかしながら、役人の論理といったものを超えることはできないわけです。ここに私は1つの問題があると思います。そして、その役人の論理を超えなければいけないのが教育委員会の仕事であります。ですから、私はまさに──この教育委員、5人いるわけであります。落合先生もそのお1人であります。教育委員会議のことに関しましてお尋ねをいたしますと、何かと合議制ですからと、そういうお話になってしまうわけであります。

 私も今回、砂田清子委員長にお出ましを願いたかったんですが、通告の際に教育委員長と書かなければだめだといつも言われるものですから、今回それを書きそびれまして、お出ましを願えなかったわけでありますが、例えば東武百貨店におきまして、時計のショーケースがあって、そこから時計を盗んでしまった人がいる。それを東武百貨店の警備員さんがつかまえた。逆につかまえなくても、後で私はやっぱりとんでもない悪いことをしてしまったから、その時計を返しにまいりました、逆にその代金を持ってまいりました。それで済んでしまったら、まさに我が国の警察制度の根幹、司法制度のあり方にもかかわってきてしまうわけであります。

 そういったものが平気で看過されてしまうんですかと、私、委員長にお尋ねしたいところであったんですが、残念ながらその機会は逃してしまいました。私も別にファンだからというわけではないんです。あくまでもお話を伺いたいという、そのためにお出かけをいただこうと思っていたんですが、やはり教育委員会として、いわば役所の論理を超えていかなければいけないわけであります。これからこれと同じ事態が起きないかどうか、これは断言はできないわけであります。

 そして、これは私自身の考え方でもありますし、私もいろんな方のお話を伺いました。今回の出来事、一連の新聞報道から、私も事実関係を報告したりしている中で、こういった出来事といったものが10分の1掛ける6カ月では済まない。これはもちろん停職でも済まない。これはやはり懲戒免職が相当な処分であると、これは私自身そう思いますし、どなたもそう思われるわけであります。(傍聴席で「そのとおり」と呼ぶ者あり)10分の1掛ける6カ月という、余りにもこれは逆に発表するのに本当に恥ずかしくなかったんであろうかと、私は思うわけであります。そしてまた、それを追認してしまうような教育委員会といったもの、その教育委員会の、これはもはや独立といった問題も私は絡んでくると思うわけであります。ぜひとも私たち市民は怒っているんだということを、これで私たちは納得をしているわけではないということを、市長部局の皆様、そしてまた教育委員会の皆様に対して、私はしっかり認識をしていただきたい。それを一言申し上げまして、私の質問を終わります。

 以上です。(傍聴席で拍手する者あり)