船橋西図書館 大量廃棄、西部氏らの著書 市教委、再購入へ
[2002年05月10日 東京朝刊]

 千葉県船橋市の船橋市西図書館(木村洋一館長)が昨年八月、評論家の西部邁氏、上智大名誉教授の渡部昇一氏らの著書を大量に廃棄した問題で、船橋市教委は九日、廃棄は不適切だったとして廃棄本を再購入する方針を固めた。

 同図書館では西部氏の四十四冊、渡部氏の二十五冊をはじめ、「新しい歴史教科書をつくる会」名誉会長の西尾幹二氏の九冊など保守系論客の著書が大量に廃棄され、市教委が廃棄の経緯を調査してきた。

 これまでの調べで、市教委は(1)廃棄は図書館ぐるみではない(2)特定の職員個人による行為−との見方を強めている。同時に廃棄された本の多くが、正当な基準からは逸脱して廃棄されたとの判断を固めた。このため「廃棄された本は公金で購入した市民の財産。元に戻さなければならない」(市教委幹部)と再購入の意向を固めた。

 市教委では再購入にあたり、公金を支出すると無駄遣いになるため、いったんは公金を充て、その後廃棄の責任者に支払いを求める方向で検討を進める。