波の、音が聞こえる。


ごつごつとした石壁にぽかりと開いた窓の向こう、荒ぶる冬の海が見える。

この孤島をとりまく海が穏やかに波打つ事はなく、いつでも荒々しく白い波の歯をむき出しては岸壁をえぐるように強く打ち付ける。

『その波音さえもが、抱えた罪を断罪し続ける』

ふいに浮かんだ言葉に、そう表した詩人は誰だったろう、とぼんやり頭をめぐらせてたその耳に、キィと軋んだ音が届いた。








And, After 〜






コツコツと響く複数の足音を聞きながら、ゆっくりと振りかえる。

鉄柵の向こう、錆びたドアの向こうから現われた3つの影。
うち一つを挟んで引きずるように歩いてくる二人のいかつい男達が、ボロボロの男を正面の椅子に座らせる。

力のないぐったりとした様子の黒髪の男は、座る、というよりは少し大きめの椅子に置かれるような感じで、上半身がすっかり横に傾いてしまっている。


「ご苦労様。……それじゃあ二人とも、退出してくれるかな?」
「ですが、コイツは―――」
「大丈夫」

口を挟みかけた年かさの男を振り返って、にこりと笑う。

「そこの椅子にはディメンダーの呪いがかかっていて、いつだって彼等のプレッシャーがかかっているし、この柵にだって防衛の魔方陣が敷かれてる。
 それに、二人きりにしてくれるよう申請書にも申し出ているだろう?」
「ですが…」

ちょいちょいと左手に持ったボードを指差すが、それでもと、言い募る看守に困ったように肩をすくめる。

「確かに僕はここに来るのは初めてだけれどね。勿論、ここの設備に油断しきっている訳じゃないよ。
 危険な狂人だってちゃんと知ってるし、ほら、僕も魔法使いだから、ね」

細身がちの身体つきや、その柔らかな物腰がこの狂人と向かい合わせるには頼りなげな印象を与えているのだが、そんな自覚など全くない青年が、着込んだままの黒いコートのポケットから杖を取り出して軽く振ってみせる。

「闇の魔法使いだよ。専門は防衛術」
「ああ、それでしたら…」

ようやくほっとした顔をした男に、もう一度柔らかに笑う。

「それくらいの保身は考えているよ。それに、いくらこの男の管理を引き受けているダンブルドア校長だって、こんな面会に首を立てに振ってはくれないよ」
「確かにそうですね」

穏やかに諭すようなその声の主に朗らかに笑い返すと、くいとあごをしゃくってもう一人の若い男を促す。

「じゃあ、何かあったら呼んで下さい」
「持ち場に戻りますが、すぐに駆けつけられる距離にはおりますので」
「ありがとう、その時は大声で叫ぶからよろしく頼むよ」
「ええ」


ぱたんと閉じた扉に、それまでひらひらと振っていた手を下ろす。



「………なんというか」

じっと考えるように手を口元に押し当てて、少し首をかしげながら格子の向こうの男をみやる。

すっかり伸びきったぼさぼさの黒髪。ぼろぼろの着衣の端からのぞく、小枝のように細い手足。

幽鬼のようなその姿に一瞬泣きそうな顔になりながら、ポケットから出した香に手をかざしてぽう、と火を灯す。

途端、暗い部屋に広がる甘やかなその香りの元を、しゃがんで格子の間からそっと床に投げ出されたままの男の足元へとそっと置く。



「すっかり、見違えたちゃったね、―――――パッドフット」

立ちのぼるその香りにゆるやかに目を細めながら、鳶色の髪の男―――リーマス・ルーピンがぽつりと言葉を落とした。










どろどろとした泥塊の意識の縁から、ゆっくりと揺り起こされる。

(ダレタ――――)

ずっしりと重いはすの心も、その意識でさえもが、ゆるやかに覚醒へと促される。

うな垂れた瞳を眩しげに開けると、延び放題の荒れた黒髪の間から覗く、冴えた陽の光と一筋の人影。

「……ダ……ドア…?」

ばかみたいに壊れた頭の中。

それでも絶対に忘れない、決して手放したりなんかしない大切な記憶の蓋をそっと開け、失ってしまった沢山の大切なものの中から唯一残された名を確信を持って呼ぶ。

だが、かすれがちの声に答えたのは、胸をつかむような柔らかな声。

「……やあ、元気そうだね。シリウス」

二度と聞くことの叶わないはずの響くその声に、急速に意識が覚めた。






「……リー…ス」
「……もしかして、名前も忘れられた?」

音になりきらない声にしゅんとうな垂れた明るい翡翠色の瞳に、信じられないと目を見張りながら勢いつけて身を起こす。

長いこと身体と意識を切り離してしまっているせいで、うまく動かせない上体をそれでも真っ直ぐに起こすと、大きく息をついて邪魔くさい前髪をなんとかかきあげる。

「……帰れ。リーマス」
「なんだ、覚えてるんじゃないか。意地悪だな」
「……何を、しに、きた」

わざとアクセントをつけながら、変わらないその姿に安堵する自分を拒絶しながら、冷たい瞳で睨み上げる。

「何って。君に用事があるから来たんじゃないか」
「だったら、さっさと済ませて帰れ」
「うん」

抑揚の無い自分の声にまるで昔と変わらない調子で頷くと、ゆっくり近づいてくる旧友の気配に、たまらずに瞳を伏せる。

覚悟はしていた。
それでもいざ断罪される現実が目の前に来ると、たまらずに怖気づいた自分がひどく滑稽だ。

ゆるく口の端を上げて苦い笑いを浮かべたシリウスを、格子ぎりぎりまで近づいたリーマスがじっと見つめる。

「どうしても、言いたいことが、あってね。聞いてくれるかな?」
「……勝手にしろ」

それでもこの瞬間、律儀に尋ねてくる懐かしいその口調に心が悲鳴をあげる。

「…あのね、今度、」
「……。」
「ホグワーツの教師になるんだ。専門は、闇の魔法の防衛術」
「……。」
「ダンブルドア校長にこの間、正式に委任状を貰ったんだけどさ。なんと、セレブス・スネイプがいてね。早速すっごい睨まれちゃったよ」
「………。」
「スネイプって薬草学の成績良かったじゃない?今はなんとそっちの権威でね。
 校長の口添えで、ホグワーツにいる間は僕の対人狼の薬を調合してくれるって事になったんだけどさ〜。ものすっごいでっかい苦虫噛み砕いたような顔されちゃったよ」
「…………。」
「まあ、仮にも同僚になるんだし、大丈夫だって思うんだけどさ」
「…………リーマス」

延々と続きそうな話に頭を痛めながら、遮るように名を呼んでゆっくりと上げた視界の向こうには、もう二度と見る事が叶わないと覚悟していた柔らかな微笑み。

「飲んでも平気だと、思う?」
「……………帰れ」

変わらない、かすかに揺らめく明るい緑の瞳に溜息まじりに低く唸ると、椅子の上でがっくりと脱力した。




「やだな、答えて欲しいんだけど」
「……用件はそれじゃないだろう。まどろっこしい」
「あ、分かった?」

器用に片方の肩だけすくめたリーマスを、気合を入れなおしてぎらりと睨み上げる。

「昔からそういう奴だったな、お前は。綺麗に笑いながら、人を煙に撒く」
「…うん。よく怒られたよね」
「自覚があるなら、さっさと用件を済ませろ。……恨み言くらいなら、聞いてやるさ」

挑発するように獰猛にせせら笑うと、ようやく笑みが消えたその顔にひどく満足感を覚える。

「……ハリーの。ジェームスとリリーの息子の講師につく」
「…フン」
「彼には友人がいてね。赤毛の男の子と、金髪の可愛い女の子だよ。
 他にだってたくさんできたみたいだけどね。ともかくも、この2人との絆は強いんだ。何せ、アイツを一度、打ち負かした位にね」

びくりと身動ぎしたシリウスに気づかぬように、まるで読み上げるように言葉を続ける。

「2度、あいつは……ウォルデモードはハリーに干渉してきている。そのどちらもが、失敗に終わったけれどね。
 初めは部下に仕立てた講師を使って。二度目はハリーの親友の内気な妹を操ってね。
 ……さて、ここからが問題」

授業中の教師のように、腰に手をあてた反対の腕を上げて、ぴんと人差し指を立てる。

「二度目に襲われた親友……ロンっていうんだけどね。彼のペットはなんとネズミ。
 ………もう10年も、生きてるそうだよ」

弾かれたように顔を上げたシリウスの視線が、初めて真正面からリーマスのそれとぶつかった。

「……飼い始めた時から、もう成獣だったそうだよ。そして、ロンの妹は、懐かしきトム・リドルの日記を手に入れたせいで奴につけこまれた。……一体そんなもの、誰が手引きしたと思う?」
「……奴、か」
「そして、シリウス」

ぎらぎらと燃えるような黒の瞳を、緑の瞳が真っ直ぐにとらえる。

「君は今だ、檻格子の中だ。……自分の不始末を全て、僕に押しつける気かい?」
「……リー…」
「…その全てを。真実全てを、僕に隠していたくせに」

怒りと悲しみの入り混じった、強い瞳の光。

「逃げるなら、それでも構わない。それでも僕は、ようやく掴んだこの真実を、あの子を守るつもりだ。
 聞きたかったのはシリウス、君はどうするのか、だよ」

格子に向けて、腕を伸ばす。

その先にいるのは、かつての。叶うならばどうか、今でも共に在るはずの仲間。




ゆっくりと、幽鬼のような身体が立ち上がる。

気力も、その体力さえも根こそぎ奪われているはずの身体が、それでもゆっくりと近づいてくる。

見る影さえない、その、痛々しい姿を挑むように睨み付けたまま、よろめくおぼつかない足取りに近寄る訳でもなく、ただ腕を伸ばしたまま立ちつくす。

ゆっくりと、枯れ枝のような細い腕が持ち上がる。

泣きそうな顔で睨らむリーマスに、力強く触れてきた手の主が何よりも見たかった昔通りの笑顔で微笑む。

「…悪かった、リーマス」
「………そうだよっ」

どこにそんな力があるのか、強く握られた腕に引かれるままに鉄の格子に引き寄せられる。

触れられそうな位、間近にある懐かしい瞳に堪え切れなくて、ぽろぽろと涙が零れる。

くすりと笑ったシリウスが、鳶色の髪をかきあげて額に触れる。

確かに触れられる二人の間には、冷たい鉄格子が立ちはだかる。


それでも、

「ホント、悪かったよ。リーマス」
「…俺は、怒ってるんだよっ!」

そう言いながらまた涙を溢れさせる明るい翡翠色の目元を拭いながら、楽しそうに笑う。

「…怒ってるんだ、俺はっ」
「分かってる」
「わかってないだろっ、このボンクラ頭っ」
「……ボンクラって……あたたっ」

呆れたような顔のシリウスにむっとなったリーマスが、ぐいぐいと伸び放題の黒髪を引っ張る。

「ディメンダーなんかといちゃついてるから、パーになるんだよ、この、石頭っ」
「…いちゃ……お前、なぁ」
「反論する気かっ! できるならしてみろよっ!」
「え〜〜と」

ぎっと睨み上げてきた今や真っ赤な目にたじろきながら、それでも優しく髪を撫ぜる手は止めずに。

「……デキマセン、ゴメンなさい………ててっ」

しゅんとうな垂れた、その黒髪を思いっきり引っ張りながら。

赤みの混じる瞳を柔らかに細めて、ようやく全開の笑顔でリーマスが微笑んだ。






「で、さっきの続きだが」
「どの部分?」
「……ワームテールの話だ。確かか?」
「僕と校長が入手した譲歩を疑う訳?酷い奴だな」
「だから、からむなって……」

わざとらしくごつんと鉄格子に頭を押し付けたシリウスに、くすりと笑う。

「状況証拠ばかりだけどね。間違いないよ」
「そうか……」
「トムの日記が、偶然にもハリーの身近な奴に渡るなんて、そんなばかみたいな事、信じられる訳がないからね。
 きっとピーターも焦ってると思うよ」
「……ご主人様に、見限られないように、ってな」
「…シリウス。君、すっかり柄悪くなったね」

頭の上でくくくと笑う暗い声に、呆れながら溜息をつく。

「奴だけは…許せない。絶対に」
「……それは、俺も同じだけど、ね」

憎しみと怒りの混じった、呪詛に似たその誓いに視線を向けたシリウスが苦く笑う。

「だけど肝心の相棒は、ぜーんぶ俺に教えてくれないし」
「…すまない。けれど、闇の魔法が濃い場所じゃ、無理が利かないだろうって――」
「そんなのいい訳だろ。結局君は、俺を切り捨てたんだ」

きっぱりと言い切る台詞に、暗く光るその瞳が一瞬見開かれ、急速に光を失う。

「…すまな――――」
「いい訳はいいんだよ、どうだって。分かりたくなんかさらさらなかったけど、君の考えた事だって今ならば納得できちゃんだ。
 だから、二度と。 二度と同じ事を繰り返したら、今度こそ許さない。絶対に」

揺るぎないその瞳を間近にとらえながら、困ったような顔を浮かべる。

「…手厳しいな」
「当然だろう?……騎士の誓いは、絶対なんだし」

にっこり笑ったその言葉に、呆れたようにぽかんと口を開ける。

「……また、懐かしい、話を…」
「当然だろ?」

くすくすと忍び笑いをするシリウスの鼻を、ぎゅうとつまみ上げる。

「もう、一人だけしかいないんだ。手厳しくもなるって」
「……ああ、そうだな」

鼻の頭をさすりながら、忘れて久しいその昔を思い出してけぶるような笑みを浮かべる。




輝かしき、ホグワーツ魔法魔術学校
固い誓いを交わした、集う仲間

もう今はない、それでも未だ胸を熱くする、懐かしい記憶


それでもまだ。
その記憶の欠片は、ここにある。




「…誓って、二度と」
「そうしてくれ。昨今のお姫様は、結構強いんだよ?」

口を尖らせて怒るリーマスにもう一度笑うと、手を引き寄せてその甲に口付けを落とす。

「二度と……間違えない」
「……絶対だよ」
「ああ、二度と、な。…捧げられる杖がなくて悪いが」

あげられたその顔に、かつての面影がふわりと重なる。
再び捧げられた誓いを受け止めながら、胸の奥に凝った何かがようやく溶けていくことを知る。

「貴方に、忠誠を誓おう…」
「……我が魔法使いに、祝福と、栄光を」

ゆっくりと顔を上げた二人が、そっと子供じみた触れるだけのキスを交わした。




「……とりあえずは、この状況をどうにかしないとだな」
「がんばってね。影ながら応援するよ」

格子の間から腕を伸ばして、頭を抱えるようにぎゅっと抱きしめててきたシリウスに、まるで他人事のようにリーマスが答える。

「何だよ、手伝ってくれるんじゃないのか?」
「揃って君と犯罪者になる気はないんだけど?」
「げっ」

うめいた声ににっこりと笑いながら、するりと腕の中から逃げ出して手の届かない位置まで距離をおく。

「じゃあ、僕は帰るから。また、後…っていうか、ホグワーツでね」
「……ちょっと、待て。リーマス」
「何でさ。『用事を済ませてとっとと帰れ』って言ったのは、君だろ?パッドフット」

懐かしい名を呼びながら、いっそ清清しいほどの笑みを浮かべる。

「用事は済んだから、言われた通りに帰るよ」
「……お前、なぁ」

ガシャンと格子に腕と頭を押しつけて、うなだれているシリウスの足元にしゃがみこんで、床の上に置いたディメンダーの効力を弱める香をたぐりよせる。

「だって、自分で言ったんじゃないか」
「ああ、ハイハイっ……スイマセン、俺が悪かったですっ」

ああそうだ、こいつは根にもつタイプだったんだよな〜と、ようやく色々なことを思い出しながら、やけっぱちに大声で喚いたシリウスに、けらりと笑う。


「窓の外に、希望を一つ。それ以上は無理」
「…了解」
「あと、これね」

香を手に持って立ち上がったリーマスが、ぽいと放ってきた丸薬をうな垂れたままぱしりと受け取る。

「ま、それないと、いくら君でもディメンダーにやられちゃうからね」
「……感謝、デス」

手の中にある小さな2つの粒は、ディメンダーさえ届かない深い意識の淵へ再び沈む為の薬。

幾度となく足を運んでは、諭すように、時に叱りながらそれでも真実を見抜いた優しい恩師。

守れなかったことで自分を苛み続ける自分を憐れといい、そして許さないと断罪してくれた、どこまでも慈悲深く、そして強い彼は、全てを陽の元に晒すことを頑なに拒む自分に苦く笑って、黙ってこの薬を渡してくれた。

『いつか、また、あれはハリーを襲うだろう。再び合い間みえるその時まで。狂愚に逃げる事は許さない』

そういえば、全てを承知で人を焚きつけるのは昔から上手い人だったよなぁ、と、校長の姿を思い浮かべてクスクスと笑う。


もつれた糸は丁寧に解きほぐされ、未来へと回る歯車へかけられた。

――――そして今、時は、来た。


必ず、守る。
命に代えても。

同時に。
もう二度と、何も手放さない。



「…それじゃ、ね。因みに、次に逢った時には何も知らない同士って事で」
「…ああ」

ぽいっと口に丸薬を放り込んでどっかりと椅子座りなおすと、淋しそうに笑うリーマスに視線を向ける。

「ホグワーツで、また、逢おう。話したい事も、話さなきゃいけないことが山ほどあるんだ」
「お互いにね」
「それまで……もう少し、待っててくれ。必ず、行くから。…………ムーニー」
「――――うん」

瞬間、胸を突かれたように瞳を見開き、ついでけぶるような笑みを浮かべた鳶色の瞳に静かに笑うと、再び重くなる意識に満足気に身を委ねる。



「……僕も、だよ。シリウス」


話したいことが、聞きたいことが沢山ある。
それでも今はまだ、冷たい鉄格子の向こうに君はいる。

だから、今はまだ。





再び壊れた人形の様な姿に戻った友人にそっと瞳を伏せると、香の火を消して看守を呼ぶ為にくるりときすびを返してドアへと向かう。


彼の戻る窓の鉄格子には、透明袋が一つ。
中には主を待ち続けてやまぬ杖と、フルーパウダーが少し。

人の魂を奪うしか能のないディメンダーが気づくはずもない、それは希望の欠片。




軋むドアを開けると冷たい石壁の続く細い廊下を移動して、奥まった場所にある看守部屋に用事は済んだと声をかける。

手早く書類にサインをすると、出口まで案内すると言う男に丁重に断わって、外へと続く廊下を歩き出す。



静かに吹き込んでくる風にコートの前を合わせながら外へ出ると、途端、強い風に髪をあおられる。

唸るように耳に届く波音。
風さえもが行く手を阻むかのように荒々しく吹き荒れるけれど、それだって大丈夫。


もうその姿なんて見えやしない、けれども大丈夫だと確信できるのは、きっと彼だからなんだろう。


次に出合った時にはどうしてくれようかと、くすくす笑いながらリーマスが歩きだす。





――――ああ、それでも多分。

きっと、兄弟のように、抱きしめてしまうんだろうな。













そして、また。



かつての歯車を巻きこみながら、運命は静かに回り始める。









’02 8/11 冬花

冬花ちゃんより頂いたハリポタ創作です〜♪
冬花ちゃんのサイトのカウンターを申告したら何か書いてくれるというので
遠慮なく(本当に全く遠慮なく;;)「シリルー書いてv」とお願いして書いてもらいました♪
えへへ〜、さりげなく主人と下僕(爆)な雰囲気が漂っているところもかなりツボなのです。
冬花ちゃん、忙しい中書いてくれてありがとね〜!!
といいつつ、アップをするのが1月以上遅くなって本当にごめんなさい;;