【平パン】
何のCMか、それも全国ネットかどうかも分かりませんが、・・・
そこで語源が紹介されている、古く、馬を庭に『引き出して』贈ったことから
言われるようになった『引出物』は、葬儀、結婚式などの宴会で、膳部に添えて、
客に贈る土産物、また、広く招待客に贈る品物を言います。
所変われば品変わる。ここ、三ケ日では、葬儀の日、式を終えた後、食事を振る舞い、
形式上、初七日まで済ませるのですが、帰り際、その法事の引出物が渡されます。
その中に、実にローカル?な品が一品、付きます。
この地区では『平坪』と言われる物なのですが、菓子屋で作られる焼き菓子、
クッキーのようでクッキーでない、スポンジケーキのようでスポンジケーキでない、
その中間のような平たいお菓子(=『お平』)で、二枚が1セットで、
一緒に『お坪』といわれる小さな菓子(干菓子、ゼリー)が添えられます。
ただ、菓子と相場が決まった訳ではなく、『お平』は油揚げだったりする場合もあります。
かつて、葬儀の折には、今のように葬祭業者に一括で任せるのではなく、
喪主、あるいは隣組などが奔走し、その支度をしたものです。
頼まれる側のひとつに菓子屋も入る訳なのですが、その一品は、
実は菓子屋によって都合のいいように仕組まれた?品物のようです。
別称 『平パン』 『固パン』 と言われるこの品は、店頭でも販売しているのですが、
つい最近、それを見た、小田原から来たと言うお客の話しによると、小田原では 『へそパン』 と
言われていて、同じように引出物の一品に加えられているそうなのです。
その一方、昔、豊川市の西端『国府(こお)』のスーパーマーケットに並んでいるところを
目にしたことがあります。この奇妙な品、少なくとも、小田原から豊川辺りまでは、何とか
侵食を果たしたようなのですが、時代と共に、新興勢力に押される形で、
その勢いは、風前の灯火といった感があります。
その存在以上に奇妙なのは、何ゆえに 『平坪』 などと呼ばれるようになったかという点です。
平たいから 『平』 などと想像できなくはないのですが、 『坪』 はいったい・・・
古語からの引用になりますが、
おひら【御平】:平椀(ひらわん)に盛った料理。
おつぼ【御壺(=坪)】:膳部(ぜんぶ)にのせる、壺に入れた食物。
要するに、お膳に乗ったご馳走や、その代替品をそう呼ぶようになったと勝手に解釈しています。
焼く前の状態
焼き上がり(画像では大きさの比較になりませんが、かなり、大きくなっています)
さて、この奇妙なもの、見てくれに反し、そのおいしさは、かなりの評判、
作り方も至って簡単、まず、失敗のないお菓子です。
【材料】
小麦粉(薄力粉) 410g
上白糖 250g
アーモンド粉末 50g
バター 80g
イスパタ(アンモニア系膨張剤) 12g
水 25g〜30g
卵 3個
バニラエッセンス 少々
黒ゴマ 少々
【作り方】
1.常温で柔らかくなったバターに砂糖、アーモンド粉末を合わせ、途中、バニラを加え、
ポマード状(ザラザラ感がなくなるまで)になるまでよく練ります。
ホイッパーが使えるような状態になったらホイッパーを使ってください。
2.卵を全卵の状態で加え、更にホイップします。
3.水に溶いたイスパタを加え、全体を均一の状態にします。
4.最後にふるった小麦粉を加え、小麦粉の白さが消える程度によく混ぜ合わせます。
5.冷蔵庫で1時間以上、休ませます。
6.十等分(100g前後)に分け、手で丸めます。
7.麺棒で厚さ12mm、直径8cm位の円に伸し、表面に霧を吹き、ゴマを散らします。
8.160〜180℃のオーブンで25〜30分、表面が狐色になるまで焼きます。
9.オーブンから出し、粗熱が取れたら、ビニール袋等に入れ、密封します。
小麦粉を合わす前までの段階では、練り過ぎは気にしなくて結構です(むしろ、練り過ぎましょう)。
小麦粉を合わす段階でも、生地を冷蔵庫でじっくり休めるので、しっかり合わせる位でOKです。
焼くと、かなり大きく(上にも横にも)なりますので、十分な間隔をあけて天板に並べてください。
大きさは、もっと小さくしても構わないと思いますが、焼く時間は、焼き色を見て調整してください。
オーブンから出した後、袋等へ入れ、密封させるのは、乾燥を防ぐ意味合いがあります。
アーモンド粉末、イスパタ(膨張剤)など少し、材料を揃える必要がありますが、ごく普通に、
スーパーなどで手に入ると思います(イスパタのベーキングパウダーでの代用は不可)。
画像の物は店で売っているもので、重量も、上で紹介したものより、
50%ほどアップしたものになります(厚さは同じ)。