【みかん最中(『福蜜柑(ふくみかん)』)の紹介】

果汁、果皮を混ぜ込んでいます。最中の餡は、
最中の皮への湿気移りを少なくする目的で、
保水性のある砂糖の割合を多くする必要が
ありますが、近年の嗜好『あっさり感』を出す
ため、極力、甘味は抑えています。

多くの皆さんに納得していただける味に仕上り
ました。三ヶ日にお越しの際は、是非、お求め
下さい。決して、失望させることはないと確信
しています。

なお、餡の着色には一切、合成着色料は使用していません。しっかり煮込んでいくと、
ある時間を過ぎるたところで、一気に、皮の色素が、餡をみかん色に染めていきます。
その変化は、まさに急変、驚くほどです。

価格:120円(税込)



【みかん最中の話】 2004/03/30

 自分が生まれ、気が付いたときには、みつわの 『みかん最中』 がありました。
それは、近隣の周知の名称として普通に存在していたのですが、ある日、突然、
他店からの申し出がありました。

「『みかん最中』を商標登録をしたので、以後、使ってもらっては困る」

父の生前、今から、15年以上前に父から聞いた話です。何の悪意もなく、
何十年も使ってきた名称に対する、まさに青天の霹靂の如く、降って湧いた
出来事に動揺する父は、

「自分の人生も、今からそんなに長くない。
せめて、自分が生きている間だけでも使わせてくれ。」


と返答するのがやっとでした。商標に対し、何の知識もない父の、寿命を
引き合いの精一杯の懇願に、招かれざる客も、しぶしぶ、引き上げざるを
得なかったようで、そして、それ以来、再び、訪れることもなかったようです。

その話を聞き、最初は 「何十年も使っていた名称に・・・、そんなバカな」 
と疑問を持ちました。その上、『みかん』『最中』も通常、
普通に使われる言葉、そんな言葉をつなげて、商標登録をしたから
使うなと言うのは、あまりにも理不尽としか思えませんでした。

平成に入り、父が亡くなり、さて、どうしたものか思案の挙句、とりあえず、
約束通り、今までの 『みかん最中』 の名称の袋を廃棄しました。

問題は、その後です。いままで、何十年にも渡り、みつわの商品名として
使ってきた名称に代わる、新しい商品名が必要になりました。ただ、多少の憤り、
意地もあり、がらっと違う名称にすることに、自分の気持ちの中に大きな抵抗
がありました。

そんな折、我妻が、実家の法事の席で、母方の叔父(弁護士)に、その話を
したのですが、

「普通名詞の羅列を商標として認めるには無理があるのではないか」
(既成事実として、その名称が登録前から使われていたことが証明できるのであれば尚更)

と、断定ではないにしろ、『みかん最中』の名称使用は可能ではないかと言うのです。
結果、かの店への配慮もしつつ、『みかん  最中』 とすることを決断し、
袋製作、商品販売を再開しました。今思えば、何とも中途半端なネーミングを
してしまったものだと、大人気なさと共に後悔をしています。

店の建替えに伴い、しばらく休止していた最中の製作を、今また再開したのですが、
その理由は、ここ最近、店に来るお客様の中に 「最中はありませんか?」
と言う人が増えたことです。

どうしてだろう?

どうも、インターチェンジを降り、信号右折、自店に来るまでの間に、『みかん最中』の
大きな看板が出現したおかげではないかと思われます。とにかく、その声に
対応しなくてはと、かつての配合に改良を加え、再開した次第です。

もし 『みかん最中』 の看板がお目にしたら、当店はすぐです!

そこから約100m余り、次の信号を過ぎた進行方向に向かって左手にあります。

それは、さて置き、今回、みかんの最中を復活販売するに当たり、再度、果たして、
『みかん最中』の名称は適当なのだろうかと、インターネットにて調べることにしました。

そこで開いた特許庁のページ、 Q&A の所に
『どのような商標が登録にならないのか 』 ⇒ 登録できないケース

 商標登録を受けることのできる商標は、次のような商標でなければなりません。

(1) 自他商品の識別力又は自他役務の識別力を有する商標であること。
したがって、次のような商標は、自他商品の識別力又は自他役務の識別力を
有しないものとして登録を受けることができません(商標法第3条第1項)。
(1)の1
商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる
商標(第1号)商品又は役務の普通名称とは、取引業界において、その商品
又は役務の一般的名称であると認識されるに至っているものをいいます。
例えば、「時計」について「時計」、「靴の修理」について「靴修理」などがこれに
該当します。

・・・途中略・・・

(1)の4
ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる
商標(第4号)例えば、「鈴木」、「YAMADA」、「佐藤商会」などがこれに該当します。

・・・以下略・・・

『桜餅』、『草餅』が登録できない(だろう?)と同じように、『みかん最中』も、
ほぼ黒?その名称を使用することに、何の制限もないけれど、商標としての
登録はできない?それに、商標登録は商標(= マーク)が主体であり、
商標自体は使っていないにも関わらず、文字を、それも固有名詞ならまだしも、
普通名詞を使うことに制限を加えることはできない?
特許庁の裁量如何にかかっているとも言え、何とも白黒の判断は難しいところです。

念のため、商標登録一覧を検索したのですが、
『みかん最中』・・・・・(検索中)・・・・・

検索結果 0件

あれ? 登録されていない?

一体、何だったのだろう。何のために袋は廃棄したのだろう。

逆に、『みかん最中』が登録されていない今、もしそれが商標登録できるので
あれば、今現在、登録可能と言う事なのですが、自分自身、店の商品に対して、
一切、商標を登録する気持ちもなければ、そんな馬鹿げたことの為に、
費用をかけるつもりもありません。ましてや、他店で使用していることを知っていて
出願するなどと言う野暮なことはしません。

さてさて、最中(もなか)の反響、人気(にんき)は、まずまずなのですが、
自分の大人気(おとなげ)なさも自覚したところで、
当店の『みかん最中』の名称は

みかんの最中 福蜜柑(ふくみかん)

に、改名?、追名?、しました。
とにかく、固有名詞さえつけておけば、とりあえずは安心?と言うことで、
『みかんの最中』は商品紹介部分、商品名は『福蜜柑』です。

以後、ごひいきに!

福々饅頭の『福』つながりで、これまた、何とも工夫がない? 確かに!

実は、『みかん まっ最中』(みかんまっさいちゅう)にしようかなどとも考えたのですが、
あまりにも親父っぽいギャグで、とりあえずは却下。でも、近い将来、採用されるかも・・・



【最中の味】 2004/06/28

アロマテラピーなどに使用する『オレンジオイル』、実は食品添加物としても使われます。
夏みかん等の皮をむくとき、皮の表面から霧状に飛ぶ液体、実は、これがその正体です。

本来、廃棄されるべき皮部分から取れる水分を蒸留、濃縮した液体が製品として
出回っているのです。ほぼ原価ゼロの添加物、かなりの濃縮がされていて、その威力は
驚異的で、キャップ1杯を10kgほどの液状体に入れただけで全体をみかん風味に
変えてしまいます。食品業界にとっては非常に便利な代物なのですが、ただ、
それだけの添加物、難点がない訳ではありません。

ご存知、みかんの皮には香りとともに、どちらかと言うと、えぐい苦味を含んでいます。
その苦味も一緒に濃縮されているため、味に影響を与えるのを覚悟して使用する
必要があります。

昨日、母親が知り合いとの会合で頂いたと、他店のみかん最中を持って帰りました。
早速、味見と言うことで、4等分(3人なのに?)して、舌鼓したのですが、苦味が
残ります。包装紙の使用材料の欄に『香料』とあります。みかんの風味で香料と
言えば、『オレンジオイル』?(と言うか、みかんを入れれば、香料はいらない?)

当店では、一切、『香料』、『着色料』、『保存料』等は使っていません。
食べ比べていただければ、はっきりと認識できると思いますが、
あと味に苦味も一切なく、すっきりとした風味が食べた後も続きます。
更に、使用する餡も今月から白手亡(シロテボウ)に変え、その豆を漉すことなく、
皮のまま、じっくり煮込みましたので、粘りと共に、味に深みが出ています。

更においしくなった最中、是非とも、お試しください。
自信を持ってお勧めします。

ちなみに、最後の1/4は、私が頂きました。



【味は、どこで感じるの?】 2006/02/06

これまでの記述で、当店では、みかん最中の味を、苦味、えぐ味のない、すっきりとした
フルーティーな味わいに仕上げることに腐心していることをアピールとしてきたのですが、
徐々に、その成果も広がりつつあるようです。最近、浜松市(今は三ヶ日町も浜松市の
一部ですが、旧浜松市)から見えたお客様の場合、住まいのすぐ近くにあるデパートがあり、
そこに、同じように、みかん最中が置いてあるそうなのですが、当店の味を知ってからは
機会あるごとに、ここまで足を運んで頂けるようになりました。菓子自体が嗜好品の類に
入る訳で、人それぞれの好みに依るところが大きいとは思うのですが・・・

人にとって物の味を感じるのは、舌ばかりではなく、頭でも感じる、言い換えると、
錯覚してしまう(だまされる?)部分があります。(発信側のイメージテクニック)
料理を表現するとき、『目でも味わう』と言われるように、料理に限らず、食品は、
『おいしそうに』、『カラフルに』、『形良く』見せることも、必要な要素となっています。
ただ、あくまでも『味』が大前提であることは、言うまでもありません。

商行為を含め、人間社会は、『だます、だまされる』心理が根底で働いています。
それがあるからこそ、発展したとも言えるのですが、自分自身、未だに、
人を出し抜くことに抵抗を感じますし、そんな行為は卑劣だと思っています。
店として、公に対して商品を紹介する場合、「果たして、これは不誠実ではないか?」
と、常に、自分に問い直します。まあ、要するに、小心者の所以に違いありません。

そんな中、ある広告文句を目にしました。

『この菓子には、健康に良い フラボノイド が、たっぷり入っています。
苦味は、フラボノイド がたっぷり入っている証拠です』


すこし、疑問に感じました。フラボノイドがどれほど健康に良いのかは、
はっきりと知りませんが、ただ、ひとつ言えることは、健康を期待する量を菓子で
摂取するとしたならば、その前に、確実に健康を害するに違いありません。フラボノイドが
健康に良いのならば、わざわざ、その効果を相殺してしまう菓子にしなくても良いのに・・・
これも、一種のイメージテクニックだとは思うのですが・・・

人間にとって、『健康になる』とか、『頭が良くなる』だとか言う文言に、めっぽう弱く、
正しい判断を狂わしてしまいます。もし、その効果を得る可能性が低いのならば、
それは計算高く、不誠実な表現に他なりません。小心者の自分には、とても、
こんな表現をする勇気がありません。自分だったら、誤解を与える表現は避けます。
食べる人の感覚(錯覚ではなく味覚)に判断してもらうように、端的に、

『おいしいです。あなたの舌で、お確かめください!』
注意:お菓子の摂り過ぎは、あなたの健康を害する恐れがあります。ほどほどにしましょう!


やはり、自分は菓子屋(商人)に向いていないのかも・・・



【三回 食して 納得】 2006/05/22

石の上にも三年ではありませんが、ここ最近、店頭で見て購入を決めるケースよりも、
みかん最中購入を目的に来店するケースが増えてきました。確かに、着実に出る数は
増えてはいるのですが、今まで出ていた商品の代替と言った面も無きにしも非ず、
何とも、微妙なところです。極端に増えること自体、そんなに期待していないし、
生産体制面からしても即応できそうもありませんので、今の、口コミでジワジワと
増える程度で良いのではないかと思っています。

店から車で5分も掛からないところに、東急が開発したリゾート施設があるのですが、
土地(中層マンション)などを提供しています。交通面から言えば、車に限りますが、
かなり利便性が高く、インターチェンジから専用の自動車道路を経由し、
5分ほどで到着します。多くが、富裕層の別荘と言ったところですが、その他には、
会社の保養施設、あるいは、個人の住宅(本宅)などとして住まわれている
ケースもありますし、また、一度、ここを訪れ、温暖な気候が気に入り、
老後(第二?)の人生の地として移り住む方もいます。

そんな中のお一人に、当店の最中を気に入っていただいた方がいます。
三ヶ日に来る前は、首都圏で防衛庁関係の職に就いていたようなのですが、
東京近辺で鍛え上げた舌で、お菓子に限らず、三ヶ日近辺の味を、
かなり辛口で批評されます。

そんな方に、当店の『みかん最中』を気に入っていただいて、大変、誇りに
感じるのですが、それぞれの店で味に違いがあり、人それぞれにも好みがあります。
他店の商品も賞味されたのか尋ねると、「もちろん」という返事と共に、
「本当に気に入るには、3回、食べ比べないと分からない」そうです。
3回も食べ比べたと言う事は、各店の味は違っていても、どこも、『おいしい』と
言うことに、変わりはないようです。

それよりも、そんなに食べて大丈夫なのかと、その方の健康の方が心配に
なりました。必ず、ペットの犬の分まで買っていかれるだけに、ワンちゃんの
健康もです。



【みかん最中:餡の紹介】 2007/10/16

最中に限らず、和菓子の(豆を使用した)餡の製造は、その原料である生餡の製造から始まります。和菓子業界には『あんこや』と言う職業があり、生餡製造だけを専門にしています。餡の良し悪しの多くが生餡にかかっているのですが、今、当店では、京都で修行した、腕も知識も豊富な『あんこや』から生餡を仕入れ、それに味を付けています。あくまでも『京都だから』ではなく、『腕、知識』を信用しているのですが、『餅屋は餅屋』、餡一筋だからこそ、そこに絶対の自信があります。

味付けは至って簡単と言っては語弊がありますが、材料全部、鍋に入れ、火をかけ、かき混ぜ、沸騰させて、はい、出来上がり。ある程度、順序とこつ(粉寒天は一度、熱湯と合わせて、いわゆる、ゼリー状のかんてんにする)はありますが、大体、そんなところです。ただ、肝心なのは、火加減と出来上がりを見る目です。火加減は個人の感覚になりますが、出来上がりは『糖度計』で確認できます。ただ、経験により、見た状態、味、粘りで出来上がりはわかり、実際に『糖度計』とのずれはなくなり、『糖度計』自体、必要ではなくなります。それと、最初の水が少なかったりなどして煮込みが十分でないと、餡と糖質が分離した状態で、出来上がった餡の舌触りもザラザラした感触(良い豆も、ここの判断を誤ると台無し)になります。それも、出来上がった餡のつやで判断できます。

最中は餡と、その餡を入れる皮からなっているのですが、当店ではその最中種(最中の皮)は、米どころ北陸に本社を置く、加賀種食品工業梶i業界1)で製作したものを使用しています。この業種も和菓子業界の一つで、大きい会社だからというわけではないのですが、品質は保証付です。生餡は菓子店自らが作る場合もあるのですが、この最中種に限っては、規模の大小は別にして、100%、『たねや』が作ります。米どころにある加賀種食品のモットーは『原料5割、技術3割、あとの2割はつくる者の心』、原料であるもち米(北陸産の良質なもち米「新大正もち」)は良質のもののみを使用できるよう、適した産地の生産者指定で契約栽培し、土壌・水質・育成度合いなども厳しくチェックし、公的な等級検査にも立ち会い、目を光らせています。『たねや』一筋だからこそ信頼に足る製品なのです。

みかん最中に使用される材料
(当然、多量の水も使用しますが、ここでは敢えて写真紹介はしていません)
 粉寒天(純天然品)
 生餡
 水飴
 グラニュー糖
 トレハロース
 シロップ漬けされた果皮(ミンチしたもの)

使用材料は以上のみで、香料、着色剤、保存料等、添加物(トレハロース以外)は一切使用していません。
トレハロースは澱粉から生成される二糖類の糖質(簡単に言えば砂糖の一種)です。甘さは砂糖の半分以下で、保湿性、材質劣化防止などの機能に優れ、他の素材の味を引き立てる役割も併せ持ちます。これらの利点は一部に過ぎず、そのほかにも多くの機能を持つと言われています。

果皮により、餡に色が付く様子です。沸騰してから、急速に色の変化が見られます。この色と餡表面のつやで出来上がりを判断します。最初の画像は果皮の入っていない状態です。徐々に色が濃くなり、さらに、つやが出て、滑らかになっていくのが分かると思います。