油もしたたる、いいオカメ



キィキィキィ、キュッキュッキュ

ケージのある部屋から、か細い鳴き声が聞こえてきました。何度も何度も繰り返され、一向に止む気配がありません。今までに聞いたことのないパターンの鳴き声が心配で、オカメに気付かれないように、そ〜っと、顔半分だけ部屋に入れ、様子をうかがうと、奇妙なスタイルで、その奇妙な鳴き声を出しています。止まり木を下り、ケージの底の金網部分に胸を付け、お尻を上げた状態で、時々、両足を小刻みに、胸の下で前後に動かしています。まるで、痙攣でも起こしているような状態です。

これは、ただ事ではない

びっくりして、ケージのそばに行き、顔を近づけると、オカメは

なに?

といった感じでこちらを見て、そして、止まり木に戻りました。苦しんでいる風ではありません。

自然界で小鳥は捕食される側の立場。少しばかり体調が悪くても、それを捕食する側に覚られないように、そんな素振りは見せようとしないと言います。それは生まれつき備わった一種の防御本能なのですが、ペットとしての立場になっても、その本能がなくなるわけではなく、人間の視線を感ずる場合、たとえ体調が悪くても元気を装います。

この なに? は、自分の弱さをわざと見せないようにしているのかな?

しばらく、隣で様子を見ることにしたのですが、ついつい、居眠りをしてしまいました。

キッキッキ、キュッキュッキュ

再び、その奇妙な鳴き声に起こされたのですが、なに?と言われないように、起き上がることなく寝たままの姿勢で、薄目を開け、じっと観察しました。先ほどと同じ姿勢です。でも、七転八倒という風でもなく、その様子を、いくら観察し、そして、いくら考えても謎は解けません。

ひょっとして、精神状態に異常をきたしているのだろうか

だからと言って、獣医に心のカウンセリングをしてもらう訳にもいかず、心配しても始りません。起き上がって、ケージに顔を近づけると、先ほどと同じように止まり木に戻ります。そんなことがあって、しばらくの間、そのことが頭から離れませんでした。



それから2日、

そう言えば、あの姿勢、今までにも何度か見た覚えが・・・

過去、雀や鳩、カラスなど他の鳥が・・・、そう、砂浴び、水浴びのポーズです。

そう言えば、ここしばらく、やってないなあ

長く、暑かった夏も終わり、やっと秋らしさが増す季節になってきたのですが、涼しくなったせいもあり、しばらく、水浴びをさせていませんでした。早速、天気のいい日の午後、ケージごとベランダに出し、ケージの外から水スプレーをしました。久しぶりのバスタイムに羽を広げ、翼の下へのスプレーも要求するほどでした。止まり木に止まったままのバスタイムなのですが、その時のスタイルが、お尻を上げる、まさに、あのポーズです。久々の風呂に、なぜか、喜んでいるように見えます。

小鳥など、定期的に水浴びさせ、清潔を保つことも必要ということですが、水スプレーも目的は同じです。一つ注意しなければならないのは、冬場であっても、寒いだろうと、お湯を用意することは避けなければなりません。鳥の羽は常に油を塗った状態にあり、お湯を掛けることは、その油を落としてしまい、鳥本来の保温性能を奪うことになり、健康に害を及ぼす恐れがあります。

その油、いったいどのように羽に塗られるかというと、最も特徴的な鳥のしぐさ、毛づくろいによって自然になされます。尾羽の付け根の上部には脂腺と言うイボ状の突起があります。そこから出る油をくちばしに付け(口に含み)、その上で、からだ全体の羽の毛づくろいをすることにより油が塗られると言う訳です。鳥にとって毛づくろいは、羽の生え際の、羽を格納していた殻のかすを取り除いたり、古くなった羽を抜いたりする以上に重要な役割があるのです。


尾羽の付け根で、くちばしに油をなすり付ける

風呂上りのオカメは、身体を震わせ水切りをした後、早速、毛づくろいを始めました。


油の付いたくちばしで毛づくろい


2008/1/17

コタツで仰向けに寝転がっていると、すぐ、顔の下でオカメインコが身体を低くし、例(砂浴び、水浴び)のポーズをとり、キュッキュッキュッと鳴き始めた。どうも、おかしい。何故か、なまめかしい。ひょっとして・・・・・

発情ポーズ?

早速、インターネットで調べると・・・、どうも、そうらしい。最初に鳴き声に気付いたのが生後6ヶ月、寿命が18年前後として、単純に人間の4〜5倍の加齢速度と判断すると、2、3歳の赤子も同然。そんな年齢で発情ポーズを始めるとは信じられないのですが、寿命が短い分、想像以上に成鳥になるスピードも速いのかも知れません。

ちなみに、盛んに、さえずりを始めるのがオスらしいということで、このポーズはメス特有のものということです。この先、モノマネをする可能性は、ほぼ消滅しました。

わが姫のために、ムコ殿候補に新しいヒナをとは思うのですが、たとえオスであったにしろ、2匹を一緒に飼うと、お互いが鳥語で会話するため、人間様の言葉に、余り興味を示さず、結果的に、モノマネをする可能性は低くなるそうです。それに、今でさえ、必殺掃除人役で手を焼いているのに、更にウバ役まで、自分に押し付けられる(100%の可能性)ことを考えると、二の足を踏みます。

う〜ん、どうしよう。

鳥会えず とりあえず、悩みは棚の上に・・・