〜2005年12月 挨拶履歴



2005/12/15

 12月14日の建築確認構造計算書偽造(強度偽装)事件での証人喚問がありました。翌日の民放での、その事件に関する解説があったのですが、あるコメンテーターが

「キーワードは『だれが、最も、もうけたのか』です。これが解明の手掛かりになります」

と力説していました。まるで、犯人を作り上げようかという言動です。

 お茶の間の納得の行く、面白い筋書きを作るような事を、見識者が、さも、尤もらしく発言する、それも、マスコミを使って大衆に呼びかける行為は、その見識者の常識を疑いたくなります。今の自由経済の日本の社会では、いくら気に入らなくても、『いかに、もうける』かは正義であり、それを、『あいつが大もうけしているからケシカラン、怪しい』と言う、世間好みの推論は、更に事件を見えにくくします。
 一番の問題は、『鉄筋量を減らせ!』(木村建設支店長)が果たして、『法令を犯してでも、偽造しろ』と言うことになるかです。『これ以上、無理です』(姉歯建築士)=『これ以上、減らしたら法令違反』になるのかです。

 今のところ、はっきりと『法令を犯せ』と、姉歯建築士に指示していないということは確かなようです。ある建築専門家(1級建築士)が

「『鉄筋量を減らせ』=『法令違反』は、建築関係者の常識である」

と言うのですが、これも少し、認識がずれています。

 現場では建築士の免許もない、知識も浅い人間が多いし、建設会社の支店長だから建築の知識が豊富とは限りません。
 おおむね、今の日本の、それぞれの会社組織において、いかに上の地位に就けるかは、その道の知識が豊富だからではなく、『いかに金もうけがうまいか』や『いかに多くの金を生むか』なのですから。



2005/12/8

 12月7日、構造計算書偽造(強度偽装)問題解明のための衆議院国土交通委員会は、姉歯設計士の欠席する中、最初に計算ミス(改ざん)に気付いたアトラス設計の渡辺設計士、そのミスを指摘された検査会社ERIの鈴木社長、その後、ヒューザーの物件を検査したイーホームズの藤田社長を参考人に質疑が行われたのですが、新たな疑問点を感じました。
 渡辺設計士は、最初、依頼を受けた物件を、ある理由(たぶん、仕事の許容量オーバー)で、その設計を平成設計を紹介したのですが、後に、平成設計から監理業務まで出来ない理由で、現場監理部分は請け負うことになったと言います。結果的に、その時点で躯体部分の鉄筋量、梁の大きさに疑問を感じ、構造計算を試みて、誤りに気付き、確認申請を再提出する事態になったと言います。平成設計の構造計算を担当していた姉歯設計士は、当初、再計算すると言うことだったのですが、途中から、この仕事を自分から下りています。そして、この物件は、総合経営研究所が企画(なかば、ブローカー?)していました。
 さて、総合経営研究所は、当然、ここで、姉歯建築士のミスを、既に知っていたということになります。しかし、後に、総合経営研究所が企画する全国各地のホテル建設に姉歯建築士が、再び、携わっています。そして、再び、偽装された構造計算を見過ごしています。これは、いかにも辻褄が合いません。普通ならば、一度懲りている姉歯建築士は避けるはずです。意図的と思われても仕方ありません。
 誠実、実直が外見的印象の姉歯設計士、とても、悪人には見ません。運命のいたずらか、精神的、経済的に追い詰められた時期に、とんでもない人間たちに出会ってしまったと言うことなのでしょうか・・・
 しかし、他人を犠牲にして糧を得るという認識があったならば、どんなに落ちようと、生きるすべはあったと思うのですが・・・



2005/12/1

 建築確認申請の構造計算書偽造問題での、各マスコミ(特に民放)の姿勢に大きな反発を感じます。確かに、偽造は事実として存在します。ただ、今の時点で確かなのは、姉歯設計事務所が偽造したと言う事実だけです。発注者、施工業者、元請の設計事務所が、偽造を指示した事実は今のところ、ありません。『うさん臭い』?、『暴利を得ている』?、ただ、それだけで悪と決め付け、無理矢理、犯人に祭り上げようとしています。国会で大声を出そうが、態度が大きかろうが、それが、偽造指示の証拠でも何でもありません。
 正義云々は抜きにして、資本主義経済の下では、労働者や下請け業者に圧力をかけて、コスト削減を図ったり、うまい方法(濡れ手に泡)で大もうけしたりしても、なんら問題は無いはずです。小泉首相が、かつて国会で、自分の実体のない勤務で報酬を得ていた事実を、「人生、色々、仕事も色々」と肯定したように、道義的に反しようが、非難されようが、法的に問題なければ(あったとしても、わからなければ)OKの世の中です。
 あるニュース特集の中、ヒューザーの小島社長の家の前で、「建築したマンションとは比べものにならないくらい堅牢な建物だ」と、わざわざ、建築士を引き連れ、リポートしていました。その土地建物の時価総額が何億円であろうと、あるいは、建物に必要以上の耐震(免震)対策が講じられていようと、そのことと、今回の問題に何の関係があると言うのでしょうか。こんなくだらないリポートに、何の意義があると言うのでしょうか。それとも、その建物、土地が存在するのは悪業の結果とでも言いたいのでしょうか。
 自分も、ああいう態度、生き方を正当と考える人間(小泉首相も含め)を誉める気持ちはありませんが、しかし、『嫌いだから犯人だ』と言う論法は、更に誉められたものではありません。今のマスコミの態度は、かつての松本サリン事件報道を髣髴させるものがあります。



2005/11/25

 姉歯建築設計事務所の構造計算書偽造問題が、社会に大きな波紋を広げています。もちろん、偽造した姉歯設計事務所の責任は逃れようも無く、重大です。ただ、何でそんなことをしなければならなかったのかと言う大きな疑問が残ります。
 建設業界では構造計算を専門(今回の姉歯設計)にしている設計事務所があります。いわゆる、本体設計事務所から下請けと言う形で仕事をし、本来から言えば、建築主や建設業者との接点はありません。当然、報酬も元請の設計事務所から受け取ることになります。
 構造計算を偽造しても、しなくても、その計算に対する報酬は存在します。偽造すれば報酬が増えるなんて言うことは考えられません。鉄筋量が増えれば工事費が増え、普通一般、建築費に対するパーセンテージで設計料が決まるのであれば、逆に、報酬(元請の設計事務所)は増えます。ただ、下請けの姉歯設計にとって、そんなことは実質的に関係の無い(計算費自体は変わらない)ことで、要するに、わざわざ偽造するメリットは何もありません。
 建築主(不動産業者)、建設業者、元請の設計事務所は関与を否定していますが、メリットを受ける可能性があるのは第一に建築主、そして、安価な建設ができることを武器にその設計、建設を請け負う建築業者、元請の設計事務所です。
 テレビ画面で姉歯設計事務所が映し出されたのですが、単なる自宅(兼、事務所)、それも、決して、大豪邸ではありません。そうです。偽造で大もうけは出来ません。
 国は、1級建築士の更新制度を検討しているようなのですが、お門違いです。何となく、『民に出来ることは民に』の弊害から、国民の目をそらせようとしているかのようです。今の建築契約の仕組みを変えない限り、問題は解決しません。
 『うちは、設計施工が自慢です』を謳い文句にする建築業者がいますが、皆さん、注意しましょう。業者と設計事務所が一緒だったり、癒着した場合、どんなことが発生するか考えてください。<



2005/11/09

 アスベストが大きな問題になっています。自分が就職した時、最初の現場が温泉ホテルの建設、そこでは確かに、鉄骨へのアスベスト吹き付けを目にしていますし、その後その現場へ、工事が終了するまで、数え切れないほど足を踏み入れています。アスベスト吹き付けを経験したのは、それ一回で、以後、設計図でも、アスベスト吹き付け仕様を目にすることはありませんでした。
 ただ、建設省(当時)から、なぜ、使用しなくなったのかの説明も、将来の健康被害の可能性も指摘されることはありませんでした。聞けば、それ以前に肺癌、中皮腫になる危険性が取り沙汰されていて、お役所自体も、その危険性は十分に認識していたように思われます。
 そして今、国民への健康被害の補償、公的機関のアスベスト撤去費用が予算を圧迫しそうな気配になってきました。公的と認められる被害は、その救済策が論じられる分、まだ、ましだと言えます。何も知らなかった民間建築主は、自らの健康被害を恐れつつ、その撤去費用を自分で負担しなくてはなりません。これって、少し、おかしいのでは?
 業界の利益を最優先した国家政策、そして、そこで得られた業界の利益は、今考えれば、人柱の上に成り立つものだったとも言えます。今や、官民を合わせると、アスベストで得られた利益を凌ぐ対策費が必要とも言われます。
 そう言えば、自分が小中学校の理科の実験で、石綿製品がごく普通に使われていたような・・・、いやいや、一般家庭で魚を焼く、便利な網として使われていたような・・・、あ〜、おそろしや、おそろしや・・・



2005/10/29

 「何回も言った話をコイツも言ってる」

 この方の人生の縮図のような御言葉に感服いたしました。

 静岡7区の民は コイツ様を選びました。



2005/10/20

 日本海の巨大くらげの発生は、今までは、10年に1回の頻度だったらしいのですが、ここ4年で3年の発生。おかげで、漁師が解雇されるまでの事態に、地元の漁民の声、

「天罰だよ。すべて、人間のおかげ!」

今の日本海のくらげは、地球温暖化による海温上昇(くらげが死滅する温度まで下がらない)、生活廃水によるの近海の富栄養化(爆発的な経済肥大を続ける中国沿岸付近で発生)とも言われていますが、くらげ発生に限らず、地球温暖化によって発生する被害を真っ先に被るのは、自然を相手にして糧を得ている人間、文明の恩恵を受けることの少ない国の人々、さらに、貧困層など、地球温暖化に、あまり貢献しなかった者たちです。

 最近発生したハリケーンは、観測史上最強、最大風速が80m/sに及ぶと言われています。それでもアメリカは、CO2と地球温暖化の因果関係に科学的根拠がないと、京都議定書にサインすることを拒む。地球がなくなろうと、経済は生き残るとでも言いたいのでしょうか。



2005/10/11

 今回のごり押し解散総選挙、小泉自民党の送り込んだ『片山さつき』候補のおかげで、ここ静岡7区は、一躍、全国の注目を浴びたのですが、わずか、700票余りで敗れた、前自民党議員の『城内実』氏の政治生命は終わったとさえ囁かれ、その未来は、かなり、厳しいと言われています。
 それにしても、不思議でなりません。まだ、初当選して2年の新人議員が、それも、小泉首相の所属する森派に属し、出身は郵政とは関係のない外務官僚(まあ、国会での所属部会が郵政民営化としても)、その彼が、なぜ、自民党執行部に逆らい、そこまで、郵政民営化反対にこだわり続けたのだろうか。

 過疎地の郵便局存続(そればかりではないにしても)に、こだわったとしても、選挙の趨勢を決めるのは、そんなことは、どちらでも構わない(困らない)都市部の大きな票に他なりません。どの道、流れは決まっていました。民主党も、さっさと賛成してしまえば、今回の惨状はなかったはず。
 それにしても、総選挙後の世論調査で
「自民党は勝ちすぎだ。ここまでの議席数は問題がある」
との意見が7割に上ったと言います。開いた口が・・・・・

 ちなみに、自分は『片山』とは書きませんでしたが、政府は、国民が小泉内閣の方針全てを認めたと解釈し、この機に乗じ、国民負担をドド〜ンと増やして行く(既に増やしている)らしい。ああ、おそろしや!
 歳出削減は、忘れ去られ、法人税も据え置き、行き着くところは消費税大幅アップ、どうも、話の筋が違う。予算の膨大な無駄遣いをなくしたり、公務員給与の一律カットなど、やるべきことをやってから言うのであれば納得もするのですが・・・
 そう言えば、首相就任当時、あれほど、口をすっぱくして、こだわった国債による借金、30兆円抑制は話題にも上がらず、議員年金廃止問題も『人の噂も75日』とばかり、おくびにもださなくなりました。何か・・・、ひょっとして・・・、騙されているのでは・・・



2005/9/30

 先回、中国人青年を預かったことを話題にしたのであるが、妻が

「中国ではない。香港だ」

と異論を唱えた。

 あれ?香港は中国に返還されたのでは?今でも、香港は国?そう言えば、彼は、

「香港に観光に訪れる人は、今まで日本人が多かったけれど、最近は中国人に取って代わった」

と言っていた。その言い回しって、香港にとって、今でも、中国は外国と言う意識で捉えられているのか?

まあ、それよりも、最近、中国の人が、たくさんのお金を持って訪れると言う事自体が面白い。まさに、最近の東南アジアの経済事情が連想される。



2005/9/21

 兄夫婦の頼みで、知り合いの中国人青年(大学1年)を、4日間、預かる 羽目 ことになったのですが、彼は中国語は当然として、英語も通じるのですが、日本語はチョットだけ。そんな、ある夕食の場面、メニューはカツカレー、カツをご飯の上に乗せるようにと発した自分のセリフ、

「Ride on this」

と、カツを指差しました。
彼は、少し、いぶかしい表情をしたのですが、すぐ、うなずき、納得したようです。

でも、その一瞬の間は?????
ぅん? 何か、おかしいのかな?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

彼が我が家から去ってから考えてみました。
あっ、そうか!
『Ride on this』=『カツの上に乗れ!』
そりゃあ、確かに、びっくりする。



2005/8/23

 誘う方も誘う方だけれど、それを請ける方も請ける方。日本放送買収騒ぎで、自民党の議員がこぞって批判したホリエモンを「どうぞ、立候補してください」と、今度はその自民党が応援?って、誰が見てもクエスチョンマーク。これが政治と胸を張る政治家を、どう、信じていいのだろうか? 口先三寸、二枚舌は政治家の特技と言えども、とにかく、大義名分だけは、ご立派に掲げる政治の世界、この行為はどう見ても、意義が見つからない。節操がない。
 一方、日本放送の時は、権力にくみせず、それに挑むホリエモンの姿勢に拍手を送ったのであるが、まさに「ブルータスよ、お前もか」の気分。それとも、これも想定内、単なる、金儲けの一手段?
 日本放送買収の結末と言い、今回の選択は、明らかに、アンフェア、姑息としか言いようがない。



2005/8/9

 店の前に、ある朝突然、バス停が出現しました。それも、『浜松行き』だけで、『三ヶ日行き』は元の場所(ここから西へ30mほど)を動いていません。臨時のものなのかと、しばらく様子を見ていたのですが、その後、一向に動く気配がありません。
 しばらくして、店に来たお客さんから情報を入手しました。何でも、バス停の地主さんが、その土地を売却したのですが、その新しい地主が、バス停の提供を拒否し、困ったバス会社は、NTT西日本に、店の前(NTT西日本の無人電話交換所)のバス停設置を申し込み、許可されたと言うのです。と、言うことは、半永久的に店の前がバス停になってしまったと言う事?
 毎朝、二階ダイニングキッチンの窓から、ちょうど、バス待ちの高校生の顔が見えます。当然ですが、頻繁に店の前でバスが停まります。車の流れが店の前で止まります。プチ渋滞が起きます。とにかく、今までの平穏な?生活が脅かされているような気分です。
 まあ、あまり気にしないようにはしていますが、でも、初めての人は戸惑ってしまいそうです。反対方向へのバス停が、反対車線に存在しないと言う現実に。



2005/7/18

 最近のニュースでアスベストによる健康被害が報告されているのですが、その規模は日を追うごとに拡大しています。
 実は、自分が建設会社に就職した頃が、断熱用建材として使用が禁止される時期になるのですが、どう計算しても、2年ほど、その危険期間と就業期間が重なるようです。
 就職1年目、蒲郡市三谷温泉のホテル工事で鉄骨へのアスベスト吹付けを見ていると言う記憶から、その現場内へも立ち入っていると思いますし、更に、翌年、岡崎市内の小学校で、夏休み中の期間の天井裏のアスベスト除去工事も記憶があります。
 今、肺癌や中皮腫の原因と声高に叫ばれているのですが、当時は、自分も含め、それほど、危機意識はなかったように思います。行政自身がことさら、危険を煽るのを避けたのと、本人たちも「自分たちは別!」と言う意識、更に、実際、その時点では被害とする実態が見えていなかったからだと思います。
 30年の潜伏期間の後の発症、まさに、体の中の時限爆弾といわれているのですが、それでも尚、「自分は大丈夫だろ」と楽観的に捕らえているのは、典型的な、『くさい物には蓋をしろ』的な人間の性(さが)?
 あれから、もうすぐ、30年、時限爆弾がセットされていなければいいのですが・・・



2005/7/7

 トップ画面のダム湖の画像の中の岩肌や岩石をご覧になったと思うのですが、

スケール的に分かりづらいところがあると思います。でも、実際には、目のくらむ距離感があります。湖面に浮かぶボートを見てください。そこに乗船するのが人間のスケールです。ダムの堰の上から湖面を眺めると、吸い込まれる感覚です。
 しかし、これが満水状態でも、違った意味で吸い込まれるような感覚に襲われるに違いありません。きっと。