かまきりケーキ

2003/07/17

今の世の中、何が起きてもおかしくない時代、心構えはしているのですが、
その覚悟をも超越する事態が起き、うろたえてしまうこともしばしば。

客の来ないある日(いつも来ないけれど)の昼下がり、
何気なく店の外を眺めていると、自転車通学らしき女子高生が道向こうで
自転車を止め、こちらに向かって歩いて来ました。

「いらっしゃいませ!」

と笑顔で出迎えると、妙に落ち着き払った様子で、

「かまきり、さわれますか?」

おおっと、いきなりの不意打ち。


????? い、いったい、何なんだ ?????

菓子屋に入ってきて、『かまきり、さわれますか?』って ???

『かまきりケーキ』でも、作って欲しい ???

ひょっとして、もしかして、『かまきり』って、意外にいける ???



既に思考能力の限界を超し、コントロール不能、なかば放心状態のまま、
しばし、目を合わせ、気まずい沈黙の時間が・・・・・、それでも何とか、覚悟を決めて、
「いやあ、何と言うか、さわれないこともないと言うか・・・」
(覚悟を決めたと言うより、覚悟半ば、ビビリ半ば、受け答えが、至って尋常)

その言葉を聞き、女子高生、少し、ほっとした様子で、

じゃあ、お願いします。

と、指差した先は、 <下に続く>














道向こうの『自転車』。









要するに、下校途中、自転車のカゴに『かまきり』がいるのに気付き、
そこがちょうど、うちの店の前だったと言うのです。
それにしても、あの落ち着きようは、いったい???
もし、入った店が 佃煮屋 だったら、もっと、現実味があったりして・・・

いやいや、そんなことよりも、今回、話の切り出しは
 「さわれますか?」 と言う 確認 ではなく、
 「取ってください。」 と言う 依頼 の方が先なのでは・・・
確かに、確認してからの方が確実には違いないけれど、・・・

という事で、もちろん、取って差し上げました。

とにかく、よかったぁ、 ケーキ じゃなく、 自転車 で。(← 実感)

でも、本当は苦手なんです。 『かまきり』 。