目には目を 歯に歯を

2003/09/01

初めから、詐欺を目的にしたものは別にして、迷惑電話を大きく分けると、
セールス関係(合法、非合法を含む)、情報収集関係(名簿作成業者?)、
そしていたずら電話、どれも、こちらの都合はお構いなしで、どうしても
迷惑をこうむる方は受身的な立場になります。いくら勇んで文句を言おうが、
勝手にに切断され、その勇猛さは空回り、ぶつけどころのない怒りに打ち震えた
経験は皆さんもお持ちの事と思います。まるで、こぶしを上げたところで、
目の前の敵がいなり、こぶしをしまうタイミングがつかめない状態、おおよそ、
そんな電話は、非通知でかかってくるので、『ナンバーディスプレイ』でも、
相手の電話番号を知る術はないに等しいでしょう。

まあ、暇つぶしに相手にするのも、なかなか楽しいものなのですが、こちらが
カッカしてしまうと、相手から切断され、同じ目に会いますので、この時、
肝心なのは、熱くならないことです。

自分の場合、迷惑電話への対応は、話を聞く前に、

「今、忙しいので、話を聞けない」

と言うのが最も常套です。相手もまた、常套的に

「また、かけ直します」

と来ますが、こちらは、相手の名前を記憶も、確認していないので、何度かけても

「今、忙しいので、話を聞けない」

となる訳です。

名簿作成業者?の場合、対象が高校卒業から結婚前の年齢をターゲットにしている
ようで、怪しまれないよう、同じ年齢層の人間を雇ってかけさせている場合が多く、
若いせいもあり、かなり、無愛想で、おまけに言葉遣いも乱雑、少し、カチンときます。

知り合いを装い、

「高校の時の△△ですが、○○君、居ますか。」

そこで、いきなり、こちらから、

「電話番号は? 住所は?」

突然の 逆職務質問 に、更に無愛想が加速、機嫌の悪そうな声で、

「はあ? ○○君、居ますか?」

こちらの質問に答えず、会話にならない。そこで、もう一度、

「だからあ! 『はあ?』 じゃないの! 電話番号は? 住所は?」

これで、確実に、

「じゃあ、もう、いいです」

あるいは、何も言わずに電話は切れます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5,6年前のこと・・・・・昼休み、2階でのトイレタイム、
下から、バタバタ駆け上がってきたおっかさん(妻)、どうも、自分に用事あるようで、

「おとうさん! おとうさん!」

と連呼している。

「なんだよ!」

と答えるが早いか、扉の外から、

「嫌がらせ電話がかかってくるから、おとうさん、電話に出て!」

「はあ!」

「だから、出て!」

「何で、かかってくるのが、嫌がらせ電話だと分かるんだ」

「とにかく、出て!」


さっぱり、要領を得ない。
・・・と、呼び出し音。
扉を開けると、そこには血相を変え、子機を手にしたおっかさん、その子機をこちらに
差し出している。仕方なし、受け取り、便座に座ったままの姿勢で外線ボタンをプッシュ、

「もし、もし」

「・・・・・」

「もし、もし」

「ガチャ、ツーツーツー」

「何なんだ、一体」


まずは、とりあえず、トイレから出て、やっと落ち着いて、・・・それから、
おっかさんを問い質すと、ちょっと信じられない話の内容、いくら動転していたに
しても、絶対に考えられない話に、ただ、ただ、呆れるばかり。犯人との電話での
最初のやりとりは、おっかさんが喋ろうとしないのでは分からないが、たぶん、
いかがわしい事を男が口にした?として、その部分は残念ながら、略して、以後、
なんとも頓珍漢なやりとり・・・

・・・・・<最初のやりとり、略>・・・・・・

おっかさん

「もう、電話、切ります!」

男、少し慌てて、

「ちょ、ちょっと待て。こっちは、そっちの状況をすべて、分かっている。

電話を切ったりしたら、家族に危害を加えるぞ!」


「ええ! そんな! 困ります」

 ????? うちのおっかさん、思い込みが激しいタイプ
 ????? 人の話を、すぐ真に受ける癖がある。

「それが嫌なら、電話番号を教えろ」

 ????? おい、お前から電話をかけてきたんじゃないのか?

「ええ! また、電話をかけてくるつもりでしょう」

 ????? おっかさん、かけたのが相手の方だと言うことをすっかり忘れている。
 ????? 電話番号を聞いてきたことに、何の疑問も抱いていない。

「いや、今後一切、電話はかけないから、教えろ」

 ????? かけないなら、電話番号、必要ないじゃないか?
 ????? と言うより、電話番号を知らないということじゃないか。
 ????? じゃあ、教えなきゃ、知らない訳だ。

ところが、びっくり、おっかさん、

「じゃあ、二度と電話はかけないで下さいね。

えーと、番号は○○○○○○○○○○」


 ????? おいおい、何で教えるんだ!
 ????? せめて、デタラメな番号を教えろよ!

犯人は、どうも、手当たり次第のダイヤルで、かけた番号を自分でもわから
なかったらしいのです。聞く方も聞く方なら、答える方も答える方、案の定、
すぐに電話がかかってきて、そこで、やっと、おっかさん、自分の浅はかさを認識、
先ほどの声を確認すると同時に、慌てて電話を切る。それでも、しつこくかかってくる。
たまりかねて、2階へ駆け上がって来て助けを求めた次第。

犯人、相当しつこいと言うか、陰湿。自分が対応してから以後も、懲りることなく、
一日、20〜30回の、まさに逆恨みの嫌がらせ電話、おっかさんが出ると喋り、
自分に代わると切れる。とにかく、電話の声で、男性だと分かると、話の最中に強制切断。

目には目を、歯には歯を、受話器を取り、しばらく、耳に当てたまま黙っている事にした。
相手もじっと黙って様子をうかがっている。お互い電話線を間にはさみ、沈黙のニラメッコ。
耐え切れず、10秒ほどで、犯人から電話を切る。いくら、 『目には目を』 と言っても、結局、
立場は圧倒的に相手が有利、こちらの有利は、唯一、電話代が犯人持ちということのみ。
(犯人以外は、1,2秒の間を置いて、「もし、もし?」と呼びかけてくるので判別可能)

時々、怒鳴って、牽制するのですが、怒鳴り終わる前に「ガチャ」。
それが何度も繰り返される。こちらから相手にかける術もなし、相手の気の
向くままに遊ばれている感じで、悶々と、鬱積した気分だけが膨らんでいく。

商売上いつまでも、お客か犯人かの判別で 『逆無言電話』 を続けるわけにもいかず、
仕方なく、4日後の定休日、電気店に走って、『ナンバー ディスプレイ』を購入、
すぐ、NTTへ申し込み、設置。その日の内に、多くの『ケンガイ(圏外)』
(『ヒツウチ』?)表示の中、1本の見慣れない番号を記録、ついに、引っ掛かりました。

どうも、犯人、公衆電話を含め、複数の電話を使っていたらしい。たまたまか、
うっかりか、あるいは非通知ダイヤルを忘れたのか、はたまた、公衆電話のつもりで
固定電話を使ってしまったのか、とにかく、こちら側は、しっかり記録。
すぐさま、受話器越しに、ナンバーディスプレイにそちらの電話番号が
記録された旨を早口で伝えたが、途中で相手が電話を切ったので、伝わったのか
どうか分からない。(公衆電話の場合は『ケンガイ』表示になる)

そこで、警察署に電話し、今までの経過を話したのですが、話は聞いてくれても、
警察からその番号に電話し、注意したり、あるいは、その電話番号の相手が
誰なのかを調べることも、警察としては出来ないと言う。これが、よく言われる
警察のスタンス 『民事不介入』 なのか。業を煮やし、

「じゃあ、自分が直接、相手に話して、警察に相談したことを

言っても構わないですか?」
 

「それは、一向に構わない」


それじゃあと意気込んだものの、 「知らない。言いがかりを付けるな」 と
言われるのは目に見えている。電話番号からすると、隣町の固定電話、今は
FAX機能の付いた電話も多いし、もし、仮に送信できれば、嫌が上にも、
言いたいことはすべて相手に伝わる。そこで、試しに、送信してみることに。

 「警察も動いている。覚悟しろ」

と言った内容を、こちらの素性も記入の上、送信、・・・ 

あらぁ、送信、出来ちゃったよ!


と、翌日、警察(ここの管轄署は隣町)から電話、

「今朝、受信したFAX用紙を持って、近くの青果店の主人がびっくりして、

飛んできた。見た感じ、悪さをしそうには、とても見えないし、言葉遣いも

キチンとしている。そちらの間違いと言う事もあるので、一度、その、

『ナンバーディスプレイ』と言うものを見せてもらえないか」



その日の午後、やって来た私服警官に、ナンバーディスプレイに記憶された番号を
見せると共に、実際、警官の携帯電話から、かけてもらって、間違いなく表示される
ことも確認してもらう。また、その場で、その警官から、駆け込んだ人物名、店の
名称を教えてもらったのであるが、こちらとは一切、関係ない人物、おまけに、
その電話番号はFAX専用(もちろん通話も可能)に使用すると言うことで、
電話帳には掲載されておらず、一般の人間が知ることの出来ない番号であることも
分かった。更に、その人間の話を信用すれば、電話機に登録した番号にだけ
送信(自動)するのに使っていると言う。

電話帳登録もしてないということは、こちらから、その番号を知る由もない訳で、
こちら側からのナンバーディスプレイへの番号細工(もし、可能としても)は無理、
逆に、ナンバーディスプレイの表示が間違いないとするならば、
そのFAX兼用機から手動で、こちらの電話番号がダイヤルされたことが
確実になる。どう見ても、軍配はこちら側なのに、結局、もう少し、様子を
見ましょうと言う事で帰っていってしまった。

どうにも、納得がいかず、NTTへ誤表示の可能性を聞いたのであるが、

「絶対、有り得ない」

との返事、その旨を警察に電話したのであるが、

「確かに、確実にダイヤルされたとしても、それが違法とは言えない」

なんとも、つれない。結局、実害なしと言う事で、それ以上のことは対応して
もらえなかった。(精神的被害は別にしても、ディスプレイの機器代(実害)が
かかっているのだけれど・・・)

でも、それを境に、パタッと、いたずら電話はなくなりました。
(正確には、 『ナンバーディスプレイに記憶された』 と伝えて以来)

これでは、犯人が、駆け込んだ人物でないにしろ、まさに、その青果店のFAXを
触ることの出来る 『男』(従業員?ご子息?) であると言っているようなもの、
用意周到に『非通知』や『公衆電話』でいたずら電話が続いていたのなら、こちらとしても、
その番号が、果たして犯人からなのか疑心暗鬼になるところなのだったですが、



・・・ ははは、何とも、分かり易い。