最近のニュースから               



選挙の議員定数格差無効訴訟の判決


検察審査会・強制起訴制度


過失犯の厳罰化の傾向


司法試験合格者数の見直し


裁判員制度の見直し


アスベスト広島弁護団
 
平成23年11月に、アスベスト被害に関する広島弁護団が結成された。今後、2040年までの間に日本で40万人のアスベスト発がんが予測されるとのこと。広島では昨年80人のアスベストによる労災認定があったが、損害賠償請求訴訟は少ない。アスベストの七割が建築現場で使用。建築作業員のアスベスト被害者が多い。しかし、建築会社は零細企業が多く、損害賠償請求をするうえで、倒産、建築会社の特定が難しいなどの問題がある。中皮腫やアスベス肺がんのできる医師が少ないため、アスベスト被害の判断がなされていないのではないか。

家事事件手続法制定
 平成23年に家事事件手続法が制定され、平成25年1月から施行された。今後、遠隔地にいる当事者が、電話会議やテレビ会議を利用する調停が可能になるが、設備がまだ設置されていない。

年院退所者の再犯4割
 2011年の犯罪白書によれば、少年院退所者の4割が25歳までに罰金以上の刑罰を受けているとの新聞報道があった。ただし、4割の中には30キロ以上のスピード違反による罰金などを含んでいる。また、処分を受ける少年の7割が保護観察処分であり、この場合には更生率が高いので、必ずしも非行少年の再犯が多いということではない。

オウム事件の裁判終了
 平成元年の坂本堤弁護士一家殺害事件や平成7年の地下鉄サリン事件を起こしたオウム関係の裁判が、11月21日にすべて終了した。坂本堤弁護士は私の大学の1年後輩であり、殺害された坂本堤弁護士の奥さんは、学生の頃私が大変お世話になった宇都宮弁護士(現、日弁連会長)の事務所の事務員をしていた。

法科大学院制度の見直し
 11月21日の国の「政策仕分け」で法科大学院制度の抜本的見直しが求められた。弁護士を大量増員するために法科大学院を作ったのだが、法科大学院を作り過ぎた。弁護士の就職難、弁護士の人気低下により、法科大学院の受験者が約4分の1に減少し、8割の法科大学院が定員割れしている。他方で、国は法科大学院に年間200億円以上支出している。

弁護士の受任規制強化
 日弁連は、過払金請求の報酬額は25パーセント以下、任意整理の報酬は1社5万円以下、債務減額報酬は減額分の10パーセント以下とすること、弁護士が受任する場合には原則として面談を義務づけるという基準を作った。これは、平成23年4月から適用される。
 これは、弁護士の数が増えて、過払金請求事件をめぐり、トラブルが増えたことを考慮したものである。過払金請求事件については、弁護士や司法書士の広告や勧誘活動が激しく、電話だけで弁護士が受任して、高額な報酬をとるケースが増えている。この規制は司法書士には適用されない。


武富士の会社更生法申請
武富士が平成22年9月29日に会社更生法の申請をし、裁判所の保全命令が出された。これにより、更生計画が確定するまで、過払金の返還や強制執行が一切できなくなる。過払金等の届け出は平成23年2月28日までである。

貸金業法の完全施行
平成22年6月18日から貸金業法が完全施行され、グレーゾーンの廃止、総量規制、貸付規制などがなされます。

生活保護受給者は法律扶助費の償還免除

消費者庁設置法案の可決
平成21年5月29日、消費者庁設置法案が可決され、今後設置に向けて準備作業が行われます。

検察審査会法の改正
 従来、検察審査会で「起訴相当」の議決がなされても、起訴するかどうかは検察官の判断に委ねられていました。そのため、検察審査会で「起訴相当」の議決をしても、検察官が起訴しないことがしばしばあり、検察審査会の議決はあまり意味がありませんでした。その結果、従来は、検察審査会はほとんど利用されない制度でした。
 しかし、今回の検察審査会法の改正で、平成21年5月21日から、検察審査会が「起訴相当」の議決をすれば、自動的に起訴されることになり、検察審査会の議決が現実に機能する制度になりました。

裁判員制度
 殺人、強盗致傷、危険運転致死などの重大な刑事事件について、20歳以上の有権者から選ばれた裁判員6名、裁判官3名で事実認定と量刑について裁判員が判断する制度です。被告人に不利な判断をする場合、量刑の判断には、裁判員1名以上および裁判官1名以上を含む過半数の評決が必要です。
 2009年5月21日から実施され、この日以後に起訴された事件が対象になります。

被疑者国選弁護人
 現在、国選弁護人は、@起訴後と、A殺人、強姦、強盗などの重大事件については被疑者段階からつけられていますが、平成21年5月から、Aが拡大され、ほとんどの刑事事件(罰金で済むような事件を除く)について被疑者段階から国選弁護人がつくようになります。国選弁護人にかかる費用については、国が負担する場合と、被告人に償還させる場合があります。
 従来、国選弁護人以外に、弁護士会が当番弁護士を派遣し、弁護士をつける必要のある事件について、弁護士会の費用で法律扶助に基づく弁護人がついていました。したがって、従来、被疑者段階では、重大事件や争いのある事件、被害弁償の必要な事件などについて弁護人がついていたのが、ほとんどすべての刑事事件に弁護人がつくようになります。

少年審判への被害者の参加
 殺人や業務上過失致死事件などについて裁判所が許可した場合に、被害者側が審判に参加したり、記録の閲覧やコピーができるという少年法の改正制度が、平成20年12月15日から施行される。

国籍法改正

 従来、日本人と外国人の間に生まれた子供について、子供が生まれた後に父である日本人が認知した場合、日本人と外国人が結婚しなければ子供の日本国籍がないとされていました。すなわち、父(日本人)と母(外国人)が結婚していない場合に子供が生まれたとき、父が認知すれば親子の関係が戸籍上明確になります。もし、認知しなければ、その父の子かどうかは法律上確定できません。父が認知しない場合には、認知の裁判が必要になります。仮に、父が認知しても子供の日本国籍はなく、その後、父と母が結婚した場合にはじめて子供の日本国籍が取得できるというのが、従来の国籍法でした。
 しかし、この国籍法の規定は憲法に違反するという最高裁判決(平成20年6月)を受けて、国籍法が改正されることになりました。上記の場合、父親が子供を認知すれば、子供の日本国籍が取得できるとする改正法案が平成20年9月3日に作成され、次の国会で審議される予定です。現段階では改正法が成立していないので、役所に申し出ても保留扱いになるものと思われます。

ヤミ金から借りた元金を返還する必要はない
 最高裁平成20年6月10日判決は、ヤミ金から借りた金は不法原因給付にあたると判断しました。したがって、ヤミ金から高利で借りた場合、借りた人が利息を支払う義務がないだけでなく、借りた元金そのものも返還する必要はありません。
 従来、ヤミ金から借りた元金を返還する必要があるかどうかについて、役所や警察署の対応は消極的でしたが、今後は、返還する必要はないという対応に統一されます。


刑事被害者参加制度等
 刑事被害者参加制度損害賠償命令制度平成20年12月1日から実施されます。 
 刑事被害者参加制度は、殺人、強姦、強制わいせつ、逮捕、監禁などの犯罪被害者が刑事裁判に出席して、被告人への質問や意見を述べることができるというものです。 
 損害賠償命令制度これらの刑事裁判の際、被害に関する損害賠償請求の申し立てができ、裁判所は4回以内の審理で、損害賠償を命じることができるというものです。 
 いずれの場合も、被害者は国選弁護人に依頼することができます。
 注意すべき点として、
 @犯罪に伴う損害賠償でもっとも問題となるのが交通事故による損害賠償ですが、これは損害賠償命令制度の対象になっていません。これは損害賠償命令制度が、内容に関して争いが生じにくい故意犯に限っているためです。交通事故による損害賠償は内容的に争いが生じることが多く、裁判に時間がかかる場合があるからです。交通事故による損害賠償については、別に民事訴訟を起こす必要があります。
 A損害賠償命令が出ても、当然にその内容が履行されるわけではありません。加害者が支払をしない場合には、民事執行、すなわち、加害者の財産を差し押さえて換価しなければなりません。加害者に換価すべき財産がない場合には、事実上、損害賠償命令の内容を実現できません。重大事件の加害者に資産がないことが多く、加害者が服役すれば、損害賠償命令が出ても、事実上、回収できないのではないかと思われます。加害者の妻、親、子供、親族には損害賠償の義務はありません。
 なお、殺人や傷害致死などの犯罪被害者に対し、国から一定の給付金が支給されます(犯罪被害者給付金制度)。

振り込め詐欺
振り込め詐欺が急増しています。平成20年1月から3月までの3か月間までの被害額は78億円です。
振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払い等に関する法律)が平成20年6月21日施行。これは、振り込め詐欺に使用された口座を凍結し、一定期間内にその口座に振り込んだ被害者が申し出をすることにより、口座の残金の分配を受けるという制度です。
振り込め詐欺をす防ぐためには、警察等の取り締まりも重要ですが、騙されないための注意が必要です。振り込んだ直後であれば、警察や銀行に通報することにより、口座を凍結することも可能ですが、少し時間が経てば金を引き出されてしまいます。その場合に振込金を取り戻すことは容易ではありません。
詐欺に遭わないためには、冷静によく考える簡単に信用しない何事も常に疑う習慣他人に相談する金を渡さないなどの点が重要ですが、逆に言えば、これができにくい人が騙されるのです。そういう人は振り込め詐欺に限らず、詐欺に遭いやすい人です。詐欺は、冷静に考える時間を与えない、疑いを持たせないための複雑なトリック、他人に相談させない、金の交付を急がせる、などの特徴があります。詐欺は、詐欺師との知恵比べです。もし、その点に自信がなければ、自分では何もしない自分では何も決めない中止する他人に相談してから決めることが必要です。
 

DV防止法改正
V防止法が改正され、改正法が平成20年1月11日から施行されました。
 改正法の主な点は、接見禁止命令が、一定の要件のもとに、被害者の親族に対しても認められた点、暴力だけでなく生命等に対する脅迫のあるも保護命令の対象となる点、従来、電話等による接触を禁止することができませんでしたが、電話等による接触を禁止する命令を出すことができるようになった点です。


生活保護申請
の代行
 生活保護の申請をしても、役所がなかなか受理しないという問題があります。
 生活保護の申請を弁護士に依頼することができ、2007年から弁護士費用について法律扶助を利用することが可能になりました。法律扶助を利用すれば、弁護士への相談料、生活保護申請の代行の費用を法テラスが立て替えてくれ、法テラスへの返還義務が原則として免除されます(要するに、無料ということ)。
 申請を却下された場合や、生活保護を取り消された場合には、不服申し立てができ、これにも法律扶助をを利用できます。ます。




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