*幻夢想〜言霊*
旅 路
てく てく てく
時には立ち止まり
大きくのびをする
誰もいない荒野
月と星一つ
頬をなでる風
てく てく てく
再び、歩みはじめる
また、明日太陽はのぼる
きっと、必ず、絶対に
希望の橋
パラ パラ パラ
雨が降る
赤・黒・青・黄
傘の花が咲く
パシャ パシャ パシャ
水たまりをける
雨雲去り、陽があふれる
明日へかかる虹の橋
憧 憬
しん しん と降る雪
暖炉のぬくもり
サンタの贈り物
子供たちの歓声
妻のほほ笑み
ささやかな家族の幸せ
ローソクの炎 ゆらめく
賛美歌が流れる
聖夜の団らん
冬ごもり
凍てつく大地
身を切るような風の冷たさ
じっと耐え忍び
森の土の奥深く
大輪の花を咲かせるため
耳をすませば 聞こえるよ
身をまかせよう 風の吹くままに
抗うことなく 時刻(とき)は過ぎゆく
再び巡りくる
光りあふれる春を思う
抱 擁
小高い丘 彼女と彼はやわらかな草の上に座っている
彼女の頬をつたう涙をそっと彼がぬぐう
彼女:ねぇ、どうすればいい?
彼:思うままに
彼の姿が徐々に薄れる
彼女:ねぇ、今度はいつ会えるの?
彼:君が望むなら・・・
彼女:ねぇ、どうやって?
彼:ただ 念じればいい
ふわっと 温かい空気が彼女を包み込む
胸にあふれる熱い思い
一人じゃない、一人じゃない
そう、明日へ立ち向かう勇気
彼:いつも君を見守っているよ
鼓 動
とくん とくん とくん
穏やかな春の陽だまりの中
雲のベットにねそべって
時間などないような空間
もう少し あと少し 眠りたい
ねたみ そねみ 嫉妬
負の感情に押しつぶされそうだ
苦しい 苦しい 眼を開けたくない
さみしい さみしい つらいんだ
心にぽっかり空いた穴
どうすればいいんだろう
今はただ 眠りたいんだ
桃の香り 小鳥の鳴き声 蝶のはばたき
精霊たちのささやきが聞こえる
楽しいよ 嬉しいよ 温かいよ
急がなくていいんだ 焦らなくても
自分の思うままに
とくん とくん とくん
生命(いのち)をつなぐ音
瞑 想
彼が彼女のそばにそっと歩み寄る
彼:どうしたの? そんなに哀しい顔をして
彼女:どうしてかしら? みんなが悪く言うの
彼:よく考えてごらん
彼女:分からないのよ、本当に
彼:眼を閉じてごらん
彼のひんやりとした手が彼女の眼を覆う
彼:大きく深呼吸して地球を想像してごらん
二人の意識が大気に飛ぶ
この惑星(ほし)には何十億もの人がいる
幾千、幾万の意識や感情がぶつかりあっている
何故、人は他人を欺き、貶め、蔑むのか
許容し、受け入れられないものだろうか
他人を羨んだり、怨んでも、妬んでもいけないよ
平穏な日々を過ごそうよ
ほほ笑み返してみようよ
きっと分かりあえるから
めぐり逢えた喜びに
いつか思いはひとつになる
懐かしく思えるように
同じ時刻(とき)を過ごせたこと
祈りが世界を包み込む
たった一つの希望
願いはきっと届くよ
彼女は静かな寝息をたてる
彼:ゆっくり、おやすみ