原宿句会11月例会点盛り


戸恒東人
ときをりは牡蠣を叱りて牡蠣割女 利○笹室◎希◎和◎白◎
秒読みや棋士の背中の襖開き 笹白室
散る紅葉眉に紅さす舞妓かな 筝○
大門を閉ぢて木の葉の散りかかる

森利孟
襖閉め根の無き松の枝伸ばす A正白希○
あやかりの掌の入る手締め酉の市 A宮○白○
牡蠣舟の小揺れて汐の上り来る ○和宮
「開店」の札置く小径欅散る A

小室美穂子
饒舌の下に冷たき牡蠣啜る B利◎正○白
襖背に閉ぢて小声の似あふ部屋 A笹○○希
添水打つ音の律儀に詩仙堂 A
血縁という一点や鵙高音

宮丸千恵子
音と立てて見られてしまひ穴惑ひ C笹和
絵襖の鷹の目の射る勅願寺 B利
木の葉落ち尽くし寄宿舎長方形 A希
水叩くやうな音して熟柿落つ

小見山希覯子
西行とおぼしき姿古襖 B筝◎
木の葉散る絵画館前好きな道 A室○
塾に行く子のいでたちも冬に入る ○和
牡蠣飯や夫に添へ足す二三粒 A笹○

藤沢正
高麗寺の門を潜ればゆきばんば A宮◎
山雲に濤声いたる襖かな A室
木の葉散る街角に聴く手風琴 A希
牡蠣食むやモンマルトルに酌むワイン

山之内白美
キャンドルに炎の立ち牡蠣の瑞々し A○正
おたふくの笑みに憂ひや三の酉 ○利
唐紙を隔てし部屋の笛の音 A
エスプレッソの白磁の器木の葉散る

笹本翠月
菊人形仕上げの酒を吹きにけり A利室和○
渦の巻く風に木の葉の急ぎ散る
通されし部屋に重みの奥襖
牡蠣鍋や食の豊かな伊豆の海

藤原和博
喉越しに熱を吸ひとる酢牡蠣かな B筝
マニキュアの両手で開ける白襖 A筝
身に入むや我が子の故郷いづくにか ○筝
散る木の葉突き刺すやうな喉ぼとけ

田島筝円
粗塩で洗ふ牡蠣の身拉致報道 ○正◎
ひと筋に香の流れて冬襖 A
白菊や周五郎の妻凛として
梢訪ふ屋上に散る木の葉かな