第25回原宿句会
平成4年8月2日 高麗吟行会

   


            東 人
木の橋の魔除けの護符や花木槿
高麗人の裔の耕し胡麻の花
空蝉に雌雄ありけり高麗神社
流れては杭に隠るる水馬
神杉の山に道なし日照雨蝉

            伊代子(荒田)
七変化変化の果の錆びにけり
堰水の平に迫る大緑蔭
二の鳥居次第に深き青葉闇
緑蔭に埴輪の胸の豊かなり
餌に集ふ緋鯉綾なす神の池

            希 覯 子
白靴のドレミファ橋を渡り来る
高麗の里茗荷盗人許されよ
夏の蝶ハングル文字の絵馬懸る
白木槿若光王廟屋根構へ
あめんぼう逆らふごとく遡る

            ま こ と
蜘蛛の圍の東司に入るを拒みけり
胡麻咲いて高麗の里人雨篭り
高麗川のドレミファ橋の子等の夏
名鐘の高麗の風韻涼醸す
池溽暑樹影欝々深濁り

            英 樹
頭まで濡らし茗荷を摘みにけり
でで虫をつつけば泡の吹きにけり
夏草や声上げて詠む東歌
巾着田の杭に帽子や夏燕
びしょ濡の蝉の脱穀てのひらに

            京 子
翅閉じて束の間の閑夏の蝶
高麗聖天白きむくげの潔さ
浮袋人なき店に吊されて
こぼたれて野に座す燈篭玉さんご
空蝉のか細き肢に糸の雨

            麗 水
高麗さまの緑陰の句碑季語を欠く
菅笠に喜雨いたりたる大師像
かの世より高麗王青田みそなはす
堰鳴って水飛ばしをり出水川
葉先より葱黄となりし土用畑